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【詩】傷跡

死が訪れる系の映画やドラマ、漫画を見ていて思ったのですが、絶対いなくならないでほしい人がいなくなった時、人は悲しいを超えてただただ“痛い”のではないかと思ったんです。残された人はすごく苦しそうな顔をしていて、悲しそうというより“痛そう“だと思いました。もし自分がそういう状況に置かれたら、こんな気持ちになるのかもしれないって想像して書いた詩です。
(縦書きに挑戦してみました。画面に表示するのむずいな…)




(横書きver. ↓)

傷があることに気づかないでいた
きみが消えてしばらくしてから
思い出の雨が降って
慟哭の稲妻に打たれて
傷口にきつく沁みてから
ようやく痛みが始まった
 
きみはいなくなった
もういなくなった
痛む傷口が悲鳴をあげる
 
いっそ痛みの海に身を投げて
窒息してしまおうか
 
でもきみの記憶が、それを許さない
きみがぼくの命丸ごと愛していたから
ぼくを壊したくても壊せない。
 
雷雨のち激痛
こんな天気にしたきみはひどい
でもそれは
きみを本気で愛していた証拠だから
きみに本気で愛されていた証拠だから
声にならないこの痛みを
憎むことなどできないよ
 
傷跡になってほしい。
きみの存在を、わかりやすく残してほしい
この世界に耐えられるように
 
雨が冷たい 雷が恐い 傷口が痛い
 
傷跡がほしい
 
     
                 
 
 
 
 
  

 
 

書いた後に思ったことなんですけど。傷跡を実際に残せたとしても、それを見るたびに相手を思い出して余計苦しくなってしまう恐れがある。でも多分それを考える余裕すら無くて、いいから早く存在を残して欲しいということばかり考えてしまうんだろうなぁと思いました。










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