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seiji_arita
2024年4月5日 21:09
「邪悪な光」悲観的な色あいを帯びた幻想と攻撃的な響きを持つ光が仄かに漂う表に現れているのは ただの見せかけに過ぎない 徹底された秘密主義 歪んだ鏡が映し出す恐ろしく執拗な性質を持つ陽の光何かの始まりを意味するものもう全ての時が動き始めているその光に恐怖し逃げ出した人々次第に力を増すその邪悪な光に眼を背けたそして誰ひとりとして居なくなった僕ひとり
2024年3月24日 19:34
「半月の夜」風か吹き始めたのは そう 孤児の様に置き去りにされた野良猫と出逢った時からだったその夜 君に眼隠しをしてSEXをした 君の望み通りに半月の夜は何故か無口になる空は雲に覆われて雨が降り始めた鮮明に見た夢が不鮮明な現実に呑み込まれてゆくいつか見た半月 雨はまだ降り続いている窓を打つ雨音 青い海風が忘れられた深い森の木々を洗い淘汰する
2024年1月24日 23:36
「マーマレード」薔薇の模様の透かし彫りのカーテン揺れた気がした 閉ざされた窓きっと気のせいだ明かりの灯って無いシャンデリアそれは何処か悲しみに似ていた夜の翼が見えない糸を作りその細い無数の糸が僕を縛り付けていた此処はいったい何処なんだろう 独り呟いた忘れなさい 誰かがそう答えた確かに聴き覚えのある女の声だったホットウィスキーにスプーンですくった
2023年10月6日 02:15
「真夜中のジュリエット」心の中に誰の言葉が残ってますか誰の温もりが残ってますかまたひとつ 命が消え去り 命が芽生える全ての星は君の為に歌う真夜中のジュリエット僕は残像の中に手掛かりを探す失ったものと 手にしたもの今 見えない強さだけが此処にある
2023年9月8日 22:06
「夏の太陽」気まぐれな風実体の無い言葉を撒き散らした誠実で間違えなど無い 時計の針の音が全てを支配してゆく僕の知らない太陽が僕の知らない空に輝いていたそれも見慣れてしまえば 何も感じない適当なものなど何ひとつ無くそれと同様に明確なものなど何ひとつ無い僕はいったい何処に居るんだろう君と居た場所からは そう遠くないはず確か昨日まで此処にあった気がした
2023年9月6日 21:44
「口紅」君が僕を求めたから 僕は此処にいる僕が君を求めたから君は此処にいる彼女の髪に触れていた彼女は半分吸った煙草を僕に手渡したフィルターに付いた口紅を愛おしく眺めて 僕は煙草を口にした午後の強い日差しが包み込む 違う場所でしか叶わない夢を持つふたりを同化していく様に見えた夏も終わりに近づいていた
2023年9月2日 22:56
幾筋かの線を引き流星が流れ闇を切り裂く満ちた静寂は消えた何もかもが夢で何もかもが現実眠れない夜に微笑むあの娘の様に見えた僕が此処に来たのは 君が僕を呼んだから死んでしまった夢の断片 時間を彷徨い 今 光となり共に歩む
2023年8月26日 15:07
「九月の風」時の彼方から吹き込む九月の風混じり合った何種類ものピースそんな物でこのパズルは出来ている繋がる事の無い断片と断片で違和感を生み出す別に私に名前が無くたって誰も困らないわそう言って彼女は笑ったその時の笑顔と声が今でも僕の中に眠ってる入り口があれば出口もあるよ 安心しなよ僕は最後にそう付け加えた九月の風はもう此処には居なかった
2023年7月30日 04:32
「あの娘の夢」これが最後だと それだけ聞かされた別に驚いたりしないよだって それが君だから全部知ってる君の嫌なところ 嫌いなところ幾つだって言えるさ僕の嫌なところも 嫌いなところも君は沢山知ってるよなそれでも僕は此処に居るそれでもまだ君は傍に居るそれが答えだと思う涙が乾いたら笑って歩こう言葉はもう何処かに忘れた心だけが残った夢だけ見てる
2023年7月15日 03:42
「此処に居る」別に綺麗じゃ無くてもいい汚れていたって欠落していたって構わない吠え続ける獅子の叫び止まない蝉時雨 過去の残像音を消し去り色彩を失くした世界約束するよ 必ず守る静寂の中の迷子欲しいものはただひとつ僕はいつまでも此処に居る 君の直ぐ傍にPhoto : Seiji Arita
2022年11月11日 18:02
「此処に」放り出された街人並みに飲まれ途方に暮れる手を離さない最後の約束僕は此処にいる見えないの細く繋ぐ蜘蛛の糸輝く雫は君の涙ずっと此処に君の傍にPhoto : Miho