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#文学

夏の終わりの王国

夏の終わりの王国

もう夏至だ、太陽の時代だ!とうきうきしたのはついこの前なのに、気づいたら暦の上ではもう立秋を過ぎている。

なんてびっくりなんだと思いながら、去年も同じことを言っていた気がするし、きっと来年も同じことを言っているのだろう。

夏も終わりが近い。

そういえば川上弘美さんの小説『ニシノユキヒコの恋と冒険』には、「夏の終わりの王国」という章があって、そこに以下のような会話がある。

この文章は最初、X

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さよならではなく、またねと笑って

さよならではなく、またねと笑って

もらった一万語はすべて「さよなら」に使い果たしたい、悪く思わないでくれ、という内容の詩を見かけたことがある。うろ覚えだから間違っているかもしれない。けれどたしか、寺山修司さんの詩だったと思う。

なんでこの詩を思い出したのか。たぶん、大学を卒業してしまったからだろう。

「さよなら」を言うためだけに一万もの言葉を用いたら、それは一体どれほど豊かな別れの言葉になるだろう、とふと思ったのだ。果たして私

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いつかこの日々が

いつかこの日々が

こんばんは。
あけましておめでとうございます。

とても久しぶりにここにきました。気がつけばもう2月だ。かなり長い間、私はnoteを書いていなかったらしい。

本日はまず、ご報告からなのですが、先日無事に卒論を提出しました。

締切は1月22日(月)の午後5時でした。卒論内容についての発表はありません。2月5日(月)~8日(木)にかけては口頭試問がありました。これは先生方に、卒論の内容について質問

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お砂糖とミルクを混ぜて

お砂糖とミルクを混ぜて

金木犀の香りがふんわりと風にのって鼻をくすぐる、わずかな季節も過ぎ去って、ここ最近は朝夕の寒暖差が大きく、不安定な大気はしょっちゅうざあざあ降りの雨を私たちの上に落としていく。冬が近いのだ。

とはいえ昼間の白い月とか、水分量が多く、陰影のついている豊かな雲だとか、外を歩いていて日陰から日向に出たときに肌をほんのりあたためてくれる太陽の光だとか、そういうのをわりと楽しめているような気がする。

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