マガジンのカバー画像

自選集:詩

35
密室で延焼する憎悪と、古戦場に揺れる花と。
運営しているクリエイター

#小説

skit talk - Internet idol 2019

skit talk - Internet idol 2019

「わたしのところまで直接言いに来るのはまだいいんだよ。別に効いてないし。でもさ、わざわざ5chにスレ立てて悪口書き込むのはやめてくれない? 本当にそうなのかもって思っちゃう。そんなに嫌われることしたっけ」

127:ブスなのに調子に乗ってるところがむかつく
128:だったらわざわざ幸せアピールすんなよ。金とか男の話とかさ
131:しらねえよ

「いいじゃん別に! プロとしてやってるわけでもないし、

もっとみる

それでも進んでいきたい、薄皮でくるまれたような淡い世界を

調子に乗っていたのか また転んでしまった

格好つけてみたけど まるで似合わなかった

身分不相応な言葉たち 慌てて引っ込めた

新たに書き始めた それがいま見せてるこれだ

そこの君、少しだけ聞いていってくれよ 開いてみてくれよ

……じゃあ、準備はOKかな? 始めるとしようか

何か悲しいことがあったとする

そんなとき君ならどうする?

僕はいつもこうしてる その方法を示そうと思う

まず必

もっとみる
罪深き好意(行為)

罪深き好意(行為)

誰かに拒絶される度に考えてしまう

好意を持つことって悪いことだったのかなと

いや、まあ、自分の場合は、そうか……

さらに慎重になる

もう諦めたくなる

二度と勇気を出したくなくなる

今までのことも全部勘違いだったのか

驕っていただけなのかという考えが頭から離れなくなる

諦めるごとに老いていくのかもしれない

他人の失敗をあざ笑っているほうがずっと安全だ

誰かみたいに無神経にはなれそ

もっとみる

かたなきず

野武士の一振りで右腕を切断された

開いた断面から鮮血が噴き出す

彼は下卑た笑みを浮かべてこちらを一瞥し

捨て台詞を吐いて去っていった

これが、負けたくないという一心で臨んだ戦いの幕切れだった

蝉のけたたましい声だけが鳴り響いていた

辺り一面に

残された身体と右腕

地面には武士の誇りの欠片

とにかく安全なところを探す 隠れる

間に合わせの応急処置をする

どうなるかわからないが傷

もっとみる
キャッチャー・イン・ザ・ライの夜

キャッチャー・イン・ザ・ライの夜

サリンジャーの小説『キャッチャー・イン・ザ・ライ』やそれについて語っている本を読むたびに、ネット上に何か文章を書いて発信したいと思ったときの始まりのモチベーションを思い起こさせられる。

それは「過去の自分に届くように書く」ということだ。もちろん時間をさかのぼることは(現状)できないので、共通したところがある人に届くように書くということになる。

あの絶望的な日々。わずかにすら心が通じ合うことはな

もっとみる

人と比べて自分に無いものを数えるより、まだ有るものを活かしていたい。どんな人間も最後には土へと還り、骨しか残らない。最期に向き合うのは、別れを告げる世間の目線ではなく、もう偽れない自分の本心。あの世にはどんな財産も持ってはいけない。精一杯やった満足感だけが、静かに瞳を閉じさせる。

物事の解釈は時と共に推移していく。熟考した岐路での決断についてさえ、後にならないと自分の心がはっきりしない事もある。壊さないと作り直せない。殻を破る時には痛みを伴う。馬鹿げた失敗だと思っていた行動が、後に強烈な存在感を放つ重要な布石として輝き出す。熟練の囲碁打ちの一手のように。

[日記2 3/24] 骨は捻じ曲がり、満足に立てない。心は奇妙なこだわりから自ら砕いた。血は青い。瞳は見当外れの怒りに燃えている。口角は道化師のように吊り上がる。そんなヒトモドキが見た幻覚を根拠に、正しき人々の異端審問が行われる。その幻覚は、ヒトモドキ自身の罪科を写しているのに。

[日記 3/24] ここは汚れ過ぎてる。もう壊れてる。あの雄々しさはもはや過去。期待するのはやめよう。大本営発表みたいな話を真に受けるなんて馬鹿げてる。自分だけでもうまくやる方法を考えないと。今は不正義でもいい。この場所が終わるとき、この場所のルールも同時に息を引き取るのだから。

天使が飛んだ日

天使が飛んだ日

耳を塞いでも鳴りやまぬ罵声 外は灰色の雲と降り止まぬ雨

今日も少女は暗い部屋で 一人膝を抱えるだけ

「私は何も間違ってない! あなたが悪いんでしょ!」

「俺に偉そうな口を利くな! ぶん殴られたいのか!」

家の中ではいつも終わらぬ口論 拷問みたく傷増えていく心

今日も少女は出口のない迷路 どうやら一人取り残された模様

「いい加減ちゃんとお金入れてよ! あの子だけでも良い子に育てないと!」

もっとみる
街を歩く

街を歩く

どの大陸の海岸と繋がっているのか、溢れかえるような人の波

都会の中で「悪人」も一瞬だけ違う表情を見せることがある

僕は少しの戸惑いを覚える 抱える

君の苦労が報われていればそっちが表の顔だったのかな

誰も彼もが火の車 心が腹ペコ状態

他人をだましてでも今日の晩飯を手に入れていく

僕も例外じゃないけどね

「飾らない姿なんて見せられるわけないじゃない」と

手首に傷痕のある夜の蝶の声が聞

もっとみる

「これが僕の欠点? 君の弱点の間違いじゃないか? 君にとっての不都合だから、そんなに大きな声を出しているんだね。だったら何度でも何度でもリピートしてあげるよ。核心突いてくよ。これは僕にとっての長所だ。黙らせたくてたまらないのなら、叫んであげるね。一人でも多くの人に届くようにね?」

全員が付いてこれるとは思っちゃいない。同じ地点に留まりたい人達は、僕らが危険を承知で向こう側に歩き出そうとしたり、真実を探し求めている姿を見るだけで強い劣等感を覚えていることも知っている。それでいい。ここから先は勇気のある者だけで進む。じきに冬が来る。早く不毛の大地を抜けないと。