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短いお話など。書いています。
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#コラム

温泉と言えば

温泉と言えば

あまり投稿が目立たない時間帯に書いてみる。

僕の中での温泉といえば、河津の今井浜。

東伊豆のね。

ちょっと前までは、写真を見返すのも結構きつかったけど、ようやく「良いところだったなぁ」って思えるようになってきた。

東伊豆の海岸だから朝日が部屋からすごくキレイに見える。

ここに来ると、その辺のオッチャンもどこか芸術的で映画のようだ。肖像権、大丈夫かな?(笑)

朝日を浴びるサーファー。この

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終わり、について

終わり、について

宣言明けの昨日は、本当に久しぶりのマーシーオーガモンで浅井さんの追悼。浅井さんが好きだった「春夏秋冬」をみんなで歌った。

今の音楽活動を始めた頃から本当に良くしてもらってた浅井さんはもういないんだよな。
僕の書いた歌「終バスにて」のモデルのラーメン屋さんはドラッグストアになってた。
Calm South も今年いっぱいで当面ライブは休止になる。

ずっと続くことなんてありはしない。
いつか終わり

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生き続けることに疑問を持つ君に

生き続けることに疑問を持つ君に

以前、子供のいる知り合いから電話があって、

と訊かれたので、答えた。

  ・・・

実は、生きる必要なんていうものは、存在しない。

冷静に考えたら、生きて行くのは生きるのをやめるより辛いことだ。人生、良いこと 1 つに対して、悪いことはその10倍くらいはあるからね。

じゃあ、なぜみんな死なない?

それは種の保存のために、無条件に「死とは恐ろしいものだ」という感情が本能にプログラミングされ

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ある晴れた春の日の午後について

ある晴れた春の日の午後について

その年の春の晴れた日の午後、免許を取り立ての小僧だった僕は、知り合いの自動車工場から譲ってもらったボロボロのニッサン スカイラインをドライブして、国道 8 号線を西に向かっていた。

FM ではヴァン・ヘイレンの「ジャンプ」が流れていた。

何の根拠もなく、やがて来る未来には明るい日々が待っていると、多くの人が信じていた時代だったし、僕もそう思っていた。

国道8号線は、西へ西へとまっすぐ続いてい

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Isolation、夏の入り口、屋上にて。

Isolation、夏の入り口、屋上にて。

あれは、僕が大学に入りたてで、まだ「学生寮」に入っていた頃のことだ。
田舎の大学だったけど学生寮はさらに田舎にあった。
夜のアルバイト上がり、終バスまでに乗って帰るというプランはほぼ絶望的で、夜遅くに人のいない田舎道をとぼとぼ歩いて帰るのが日課になるようなところだった。
当時、寮にはエアコンがなく、夏になると暑すぎる部屋を出て屋上で風に当たっていたのだけど、周りは山と田んぼばかりだったのでそれでな

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終わらない夏休みのような人生

終わらない夏休みのような人生

長い夏休みのような人生だな、と思う。
永遠に二学期が来ないような夏休み。
かき氷、蝉の声、入道雲。
夜の夏祭りのことだけを考えていればいい夏休み。

気付いたらずいぶん遠いところまで来ていた。

人生はもっとざらっとした手触りがあるものだと思っていた。
きっと世の中の多くの人生はそうだろうし、人生とは本来そうあるべきだと思う。

でも、そういう人生じゃないな。
誰のためにも、なっていない。
何も遺

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晴れた休みの日と、装置としてのカメラと、君について

晴れた休みの日と、装置としてのカメラと、君について

「今日は本当に良い天気ね。」

君はそう言って、カメラという装置で僕らの上に広がる空気を透き通ったガラスの箱に、どんどん詰めていった。

カシャ

ガラスの箱に空気をひとつ詰めるたびに、君はガラスの箱を光にかざして検査し、大事そうにひとつひとつしまっていく。

こんな良く晴れた日に、その作業をする君を眺めているのが僕は大好きだ。

  ・・・

時折、君はガラスの箱をひとつ持って僕のところにやって

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夜道の街灯と、君が教えてくれたこと

夜道の街灯と、君が教えてくれたこと

  ・・・

僕たちはあまり外食をしないほうだったけど、秋の夜には地酒を出す居酒屋にも行ったりした。

居酒屋の帰りはいつも、少し涼しくなった風に当たりながら、人がいなくなった古い商店街をテクテク歩いた。

まばらにある蛍光灯式の古い街灯は随分頼りなさげだったけど、僕は君とこの夜道を歩くのが好きだった。コインランドリーの大きなガラス戸の光でさえ、とても優しく涼やかに感じた。

電信柱にかかっている

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図書館に行くことについて

図書館に行くことについて

図書館、っていい響きですよね。静かで整然としていて。

いろんなことがすべてルールに則っています。
すべてのものは名札と番号が付けられ、きちんと整理されて、棚にしまわれます。『日本造船年鑑 補遺版』 から 『お父さんの英会話』 まで分け隔てなく。

そこには感情に左右されたりすることはひとつもありません。穏やかに、静かに、時間も整然と過ぎてゆきます。

図書館のように生きて、図書館のように老いて、

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諦める事は諦めない事より難しい

諦める事は諦めない事より難しい

「諦めないこと」が素晴らしいように言われることが多いけど、諦める方が余程難しいと思うんですよ。

よく「オレ、簡単に諦めちゃうんだよね」なんていう人がいるけど、それは「諦めてる」んじゃなくて、単に「努力するのを止めた」だけだったりする。努力するのは止めたけど、心のどこかでは「たなぼたで手に入らないかなぁ」なんて思ってる。それって、諦めてない。

「諦める」っていうのはそんな生半可なことじゃなくてね

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