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ある晴れた春の日の午後について

その年の春の晴れた日の午後、免許を取り立ての小僧だった僕は、知り合いの自動車工場から譲ってもらったボロボロのニッサン スカイラインをドライブして、国道 8 号線を西に向かっていた。

FM ではヴァン・ヘイレンの「ジャンプ」が流れていた。

何の根拠もなく、やがて来る未来には明るい日々が待っていると、多くの人が信じていた時代だったし、僕もそう思っていた。

国道8号線は、西へ西へとまっすぐ続いていく。

僕は、車の窓をフルオープンにして、お世辞にもハイフィデリティとは言えないカーステレオの音量を上げて、デイヴ・リー・ロスと一緒に歌った。

  「ジャンプ!」

国道沿いに広がる畑から、時折ひばりが飛び立つのが見えた。
耳を澄ませば、レンゲにとまる蜂の羽音まで聞こえてきそうな、のどかな午後だった。

そうして、僕は1つ歳を取った。

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