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夜道の街灯と、君が教えてくれたこと
・・・
僕たちはあまり外食をしないほうだったけど、秋の夜には地酒を出す居酒屋にも行ったりした。
居酒屋の帰りはいつも、少し涼しくなった風に当たりながら、人がいなくなった古い商店街をテクテク歩いた。
まばらにある蛍光灯式の古い街灯は随分頼りなさげだったけど、僕は君とこの夜道を歩くのが好きだった。コインランドリーの大きなガラス戸の光でさえ、とても優しく涼やかに感じた。
電信柱にかかっている変わった看板を僕が不思議そうに見ていたら、
「それはね、仲人をやっているお店なのよ。ここではそういう風に言うの。」
と君は教えてくれた。
君は他にもいろいろなことを教えてくれた。
仕事のこと、会社への往き帰りに出会った人たちのこと、会社の裏の隙間に住む野良猫のこと。
夜道で君が教えてくれることのひとつひとつが僕にとっては宇宙の一大法則だった。
僕たちは夜道を歩きながら、よく空を眺めた。
狭い路地の形に切り取られた、狭い夜空には星がポツポツと光っていた。
・・・
どうしてこんなことを思い出すのだろう。
今でも見上げれば星が光っているのに。
どうしてこんな気持ちになるんだろう。
どうして今ここにいるんだろう。
・・・
(文・写真: セキヒロタカ)
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