#イラスト
ぽっかりと空いた穴が、教えてくれる。
冷たい風が吹いた。
風は肌を撫ぜる。
肌を撫ぜたはずだったのに、
風は僕の中に入ってきて
僕は体の中に穴が空いてるって気づいた。
知りたくなかった。
ぽっかり空いた穴なんて。
秋はこれだから嫌だ。
寂しくなる。
春に花が咲いて、
夏に弾けて、
いつの間にやら穴が空いて
秋になって落ちてゆく。
僕は地団駄を踏んだ。
踏めるだけ踏んだ。
足元が緩んでいく。
足が沈んでいく。
僕は泣い
詩|花弁にファスナー
お水を
あげても、
咲かない花が
あって。もしかし
たら満月の夜に咲く
のかなと楽しみにしてた
のだけど。咲いてちょうだい
よと、頭を撫でたら、ファスナー
がついてたの。白いお花に白いファ
スナー。私は恐る恐るファスナーを開け
たわ。ゆっくりと、とてもゆっくりと。白
い花は唇をあけるように一枚ずつ花弁を広げ
少しずつ匂いを放ち、あたりは甘い匂いに包
まれた。飲み込まれてしまいそうなその匂い
に、私
詩|魔女は、ファスナーを抱え空を飛ぶ。
ある日、魔
法の箒を手
にいれて、
私は魔女に
なった。す
べての仕事
を放棄して
夜な夜な空
を飛んだ。
ある晩、満
月にファス
ナーをつけ
て私は満月
を二つに割
ったんだ。
ひとつは、煎
餅にして、お師匠
様に渡そう。もうひと
つには、もくもくの雲のク
リームをのせて、キラキラのア
ザランみたいな星をちらして私がぱ
くりと食べちゃおう。その晩はまっくら
闇になっちゃうけど、それも魔女のお仕事