見出し画像

詩|影とダンスを

私は影を見つめる

私の足元に落ちた影を
踏み潰し、連れ回す

日が昇ると、次第に影は小さくなる

私は影があったことさえも
忘れてしまう

あちいあちいと日陰を探し
無機質な影にすっぽりと包まれ
ほうと一息安堵する

夕暮れに影が伸びる
私はおかえりと言う

踏み潰して、連れ回して
なんだか要らぬもののように
扱ってきたのに帰ってきた

懐かしい友との再開に
私は橙色のスポットライトを
浴びてダンスする

夜になれば私も闇に溶け込んで
影と一緒に眠りにつこう



自分の影の部分は見たくないもので、
影が小さくなれば喜び、人の影に雲隠れする。

年輪を重ね、
人生が夕暮れに差し掛かる頃、
影とともにダンスを踊れる度量を持ちたいものだ。

そして眠りにつく時は、影を抱いて夢に堕ちていきたい。




この記事が参加している募集

#私の作品紹介

96,392件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?