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詩|花弁にファスナー



お水を
あげても、
咲かない花が
あって。もしかし
たら満月の夜に咲く
のかなと楽しみにしてた
のだけど。咲いてちょうだい
よと、頭を撫でたら、ファスナー
がついてたの。白いお花に白いファ
スナー。私は恐る恐るファスナーを開け
たわ。ゆっくりと、とてもゆっくりと。白
い花は唇をあけるように一枚ずつ花弁を広げ
少しずつ匂いを放ち、あたりは甘い匂いに包
まれた。飲み込まれてしまいそうなその匂い
に、私は思わずファスナーを閉じてしまっ
たけれどきっと明日になればまた、こっ
そりとファスナーを開けてしまうよ
うな気がしてる。甘ければ甘い
ほど、その誘惑は狂おし
いほどに私を夢中に
するでしょう





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