詩｜monochrome

あいちゃんは
行ってみることにしました
生まれて育った家に

遠足気分でたどり着いた家には
思い出がいっぱいありました


かえるの鳴き声
綺麗な星空
草のにおい
喧嘩したこと

子どものころの思い出がいっぱいです

寂しいできごともありました
しあわせなできごとを
少しだけ
背中を
そっとおすように思い出しました


立ち上がればこんなに色んなものが
小さかったのだろうかと思いました

冷たい水で
手を洗えば
トマトを丸かじりしたことを思い出しました

仲の良かった友達
人気のアニメ
ぬかるんだ土の感触
猫が可愛かったこと
野原を駆け回ったこと
はじめてのおつかい


ひとりぼっちでいたら涙が溢れそうです


ふぅっと深呼吸して
下手くそな鼻歌を歌いました

ほっとするような思い出を
まるっと写真にとじこめました

未来の話に目を輝かせ
昔話に頬がほころびます


目を閉じればいつでもそこにあるような
モノクロームの思い出を
優しく
ゆっくりとしまったら
夜空に
らんらんと星が輝きだしました

りんりんと鈴を鳴らして
るんるんと歩きだしました


レシピどおりにはいかないけれど
老後のことも気になるけれど
私はいつでも元気だよと
をもいでに
じま「ん」できるように