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写真家にのみやさをりのお仕事。
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#写真

『SAWORI』

『SAWORI』

にのみやさをりさんの写真集「SAWORI」を見た。

厳然と、そこにあるものなのに、それはほんの瞬間で、霧雨でも降ってしまえば溶けて流れ落ちるような、「その時」あるいは「今」、ばかりが、震える手で抱かれるように写っていた。

「日常」はこんなにも脆く、瞬間瞬間は、指の間をすり抜ける砂のように、次々と、「戻ってこないもの」になってしまう。

傷だらけの今も、愛し合っている今も、泣き濡れている今も、向

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欠損する記憶/写真家・にのみやさをり

欠損する記憶/写真家・にのみやさをり

にのみやさをりさんの手によって切り取られた「瞬間」、そのたった一枚を見るたびに、私は彼女の「絶命」を見、そこからの必死の命の「鼓動」を聴く。

彼女が被写体に与える「命」、もしくは被写体と対峙した時の「死」、そのじりじりとした灼けるほどの交換は、彼女が次々と失っていく「今このとき」と引き換えに、生々しいほど 躍動し、存在そのものを問うて迫ってくる。

彼女の写真集を見るとき、私は一番良いコンディシ

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写真展やります

写真展やります

にのみやさをり写真展「Sの肖像~二十代の群像より」を催します。

10月3日~15日(※日曜祝日休み)12:00から22:00(土曜のみ13:00からになります)
CAFE NOOK 東京都渋谷区代々木1-37-3岩崎ビルB1 03-3373-7009

二十代の群像。私が出会った幾人かの二十代の若者を、ひょんな縁から、約十年の間追い続けて来ました。
そもそもどうしてそうなったのか。
それは自分の

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夏の思い出。

夏の思い出。



We went on our first family vacation in a long time. My husband, son, daughter and granddaughter all enjoyed riding the waves. However, my dog Sasuke was scared of the sound of the waves and wouldn'

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茅野カヤ・にのみやさをり二人展「旅をするひと」後記

茅野カヤ・にのみやさをり二人展「旅をするひと」後記

「旅をするひと」にご来場くださった皆様、気にかけてくださった皆様、誠にありがとうございました。
お陰様で充実した展示になりました。

この記事では展示風景写真を載せていこうと思います。
お越しになれなかった方も少しでも展示の様子を見ていただけたら嬉しいです。

会場は代々木のcafe nookさん。

豊富なフードメニューと美味しい珈琲やドリンクがたくさん!の落ち着いたカフェです。

扉を開けると

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個展「SAWORI」に寄せて

個展「SAWORI」に寄せて

省みると。私はこれまで極力、「背景」を排除して写真を作ってきた。被写体となる風景や人物の、それまでの歴史という「背景」を排除し、できるかぎりその風景なり人物なりのその場のその部分のみに視線を集中させ、切り取ってきた。何故なら、私が被写体とする人やモノはたいてい、「背景」に押し潰されそうに喘いでいるモノたちばかりだったからだ。だからそんな彼らを、私は背景からいっときでいい、自由に解放してあげたかった

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個展を催します

個展を催します

2015年にRANGAI文庫からKindle版として出版した写真集「SAWORI」の改訂版を出版したその記念に、個展を催します。
「私たちは旅に出よう 背景のある旅に」―――。
背景のある旅とは。日常とは。当たり前にそこにある、でも決して当たり前などではあり得ないモノたちの存在、その大切さ、いとおしさを、改めて問いかけるような、そんな展示にしたいと思っています。

◆にのみやさをり写真展「SAWO

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写真集「SAWORI」販売始まりました。

写真集「SAWORI」販売始まりました。

2015年に手製写真集「SAWORI」を出版した。その際kindle版もRANGAI文庫から出していただいた。
それをどうして今更?と訊かれることもあるのだが。改訂版、今こんな時代だからこそ、出さなければ、とそう思った、というのが私の応えです。
こんな、ひととひととが面と向かって顔を晒して会うことが難しくなっているような世の中だから、だからこそ、生きるって何、生活するって何、と、改めて問いたいと思

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みやさんとの夏の日

みやさんとの夏の日

去年の夏、佐賀まで出かけた。絵描きのサバイバーであるみやこさんを撮影した。
みやさんは、小林茂監督の親しいお友達だ。小林茂監督が昔週刊金曜日に連載されていた私による記事を見つけてみやさんにそれを伝えてくれた。その縁で、彼女は当時私が為していた相談電話に繰り返し電話してきてくれていた。
でも会うのは。この時が初めてで。
会った瞬間、ああ、この人の人生はどれだけ重くしんどかったろう、という思いがこみ上

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