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エッセイ・思い出

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選挙も政治の話もほんとうは面白い

選挙も政治の話もほんとうは面白い

いよいよ都知事選ですね。都民ではないですが選挙の行方を見るのは好きです。
投票そのもの自体に疑問を持っている方は私が尊敬している故・小田嶋隆さんの文章をぜひ読んでいただきたいです(ウインク)

「誰かを落とすための一票だってある」
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00116/00031/


大学生の時、初めて選挙に行った時は「選挙権が使え

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一瞬の思い出

一瞬の思い出

高校受験が終わると暇になった。それまで部活や受験に追われていた。中学3年生の短い春休みは時間にゆとりがある夢のような時期だった。井上靖の「しろばんば」を読んでみた。暇で本が読めるという状態は、いいもんだなと思った。他にやることもなかったので純文学と言われる作品をいくつか読んだ気がする。そのうちに夏目漱石の「こゝろ」を読んだ。暗い話だなと思った。進学した高校は校則がやたら厳しかった。廊下を歩いていた

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「頑張れ」のかわりを探している

「頑張れ」のかわりを探している

私はひとに「頑張れ」と言うのが適切であろう場面で「頑張れ」と言うことに抵抗があるので口ごもってしまう。ただ、自分が言われる分には気にならない。おそらく本心で他人に対して「頑張れ」「頑張ってください」と、ひとつも思っていないからだ。誰1人残らず現実で頑張っているのに、これ以上一体何を頑張れと言えるのだろう。だから代わりの言葉を探す。「体調に気をつけて」「元気でいてください」「ご自愛ください」「健康に

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ひみつ

ひみつ

自分の本名を変えて「◯◯子って呼んでね」と周囲に言っていた明るい女性は「40歳になるまで生きていないと思う」とはっきり言っていた。私は密かに100歳まで生きてやる、と思っていたので、その意味が当時よくわからなかった。

追いやられたような場所にあるアトリエは、隣の部屋でインスタレーションが随時行われており、生ゴミの臭いが漂ってくることもあった。私はよくそこで寝ていた。池の近くに喫煙所があり今はど

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実習

実習

大学院時代は暗黒期で、いまだにあまり思い出したくない時期だ。私は学部生の時分に就活がうまくいかず、半分逃げるように、違う大学の院に進学した。しかしそこは将来学校の先生になりたい学生が大半を占める大学だった。
完全に場違いだった。学校の先生になるつもりはなかったが「取れるなら取っておくか」程度のノリで教員免許を取得することにした。そうすると、学外でさまざまな実習を行うことが必修となる。
その中で、特

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切り絵教室

切り絵教室

小学校1年生の頃、切り絵教室に通っていた。
今思えばおそらく区が提供してくれる類のもので、子供であれば誰でも気軽に参加できる教室だった。切り絵だけではなく他の教室もあり、事前に色々な教室を見学できた。ダンス教室も見学したが、同じような背格好の子供たちが、これまた同じ動きをしているのに圧倒されて「これではない」と瞬時に感じたのを覚えている。集団で揃わなくてはいけないダンスよりはマシだろうと、切り絵教

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馬鹿野郎じゃねえか

怖い体験(※心霊系ではないです、人間の方です。怖いのはだいたい人間)をした。
とある店に行き、帰り際にトイレに向かっていたら目に入ったのはふらりと女性トイレに入る白髪の初老の男性。あまりにも自然に入って行ったのであれ?目の錯覚か?と思った。恐る恐る伺うと既に個室に入っていたようだ。一旦外に出てなかったことにしようかと思ったが(仕事帰りで脳疲労が半端ない状態)、瞬時に諸々を天秤にかけて、「クソしょう

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言葉を知ること

言葉を知ること

なんかうまくまとまらないので載せるか迷ったけれど、せっかくここまで書いたので載せます。自戒です。

久しぶりにボロネーゼを作る。3年くらい前にイタリア料理にハマり、自分で言うのもなんですが、だいぶだいぶ美味しいパスタなどのイタリアンを作れるようになった。料理は片付けが億劫だが、疲れているのに何か拵えようと思えたこと自体が上出来。できたてはあまり美味しくなかったので、塩と胡椒とチーズを足したら、別

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日記 明け

日記 明け

あまり眠れなかった。職場も心なしか気だるい雰囲気。苦手な人に新年の挨拶を、一応やっとくかと思ってやってみたら、ものすごい笑顔で返ってきて、へえこの人ってこういう表情もできるのかと思った。もしかして今まで孤独だったのかもしれない。全然違う部署からやってきた人。過去に攻撃されたことがあるから笑顔に絆されてはいけないと気を引き締める。新年早々やらかして、早く辞めちまいたいという念が沸々と湧いてきたが、恐

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休み明け 働きたくない

休み明け 働きたくない

休み明けは働きたくない気分がマックスになる。怠慢と言われたら身も蓋もないが、金稼ぎに興味がない(簡単な計算もできない)。そもそも労働に対して熱意や意欲がない。しかしこの熱意や意欲がないというのは恐ろしい側面がある。極めて淡々としているのでかえって長続きする。勤続可能となる。変化を嫌う惰性の力というのは侮れない。ぬるま湯の中で慣らされたカエルは、徐々に水温が上がっても、そのことに気付かずに茹で上がっ

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メリークリスマス

メリークリスマス

子どもの頃からクリスマスが大好きで、12月が近づくとワクワクする気持ちはあまり変わっていない。私はサンタクロースの存在をかなり良い年齢まで信じていたし、実は今でも遠くて寒い国のどこかにいるんじゃないかと心の片隅で思っている。
3、4歳頃の時分だったと思うが、24日のイブの夜にふと目が覚めた。真っ暗だが静まり返った冬の夜は空気が澄んでいる。その時「シャンシャンシャン」と、鈴の音が聴こえた。とても綺麗

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寒い

寒い

まだ学齢期に満たない頃、公園で遊んでいたらホームレスの人が汁粉のようなものを食べていた。レストランの入り口に飾ってある食品レプリカを食い入るように見つめていたら、いつの間にか迷子になっていた経験がある私は、おそらくその時も汁粉に釘付けになっていたのだと思う。ホームレスの人は「美味いぞ。食べるか。」と言って、汁粉のような食べ物を差し出してきた。「知らない人から話しかけられてもついていっちゃダメだ」と

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白い背景のあのブログ

白い背景のあのブログ

私は引っ込み思案なので対人が苦手だと思っていたが、もしかしたら人のことが結構好きなのかもしれない。
だから誠実さに欠けるとムカつくし、世の中がちゃんとしてないと感じると、腹が立つのだ。一方的ではある。
基本的に人が好きだという驚くべき事実が、疲れやすさの原因のひとつなのではないか、と思ったのが発端でまとめきってない状態でいつものようにこうしてメモしているのだが、うまく言語化できていない気がする。ま

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それは最初から知っていること

それは最初から知っていること

たまに無性に寂しくて悲しい夢を見る。
理由はわからないが、しんとした寂しさが一面に存在している夢。起きた後も余韻がしばらく続く。
それでも1時間も経たないうちに日常を、働かなくてはいけない。もうその時点では夢のことなどすっかり忘れて、そんなことは最初からなかったかのように人と話したり笑ったりしている。
夢というのは不思議だ。夢が普段見えない深層心理や無意識を表すものであれば、私が無意識に抱えている

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