記事一覧

一休さん

取材して文章を書くことを仕事にしているのに、 人に話を聞きたくなくなったり、 筆記具を持ちたくなくなったりします。 けれど、少し休んでまたしばらくすると、 人に…

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1か月前
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時をかけるキムチ

このキムチが消費期限を迎える頃、自分はどうなっているのだろう? 3月最後の日曜日、スーパーで食材をまとめ買いしてる時に思った。翌日からは部署異動で、全く違う仕事…

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5か月前
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左膝が痛くない「可能世界」

 読んでいる雑誌の中で、「物語世界」と「可能世界」という概念が出てきた。ざっくり言うと、物語世界は、何かに「抑圧」された当事者が経験を語ることによって再現される…

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9か月前
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はじめての九州 長崎編

 九州旅行2日目、私たちは博多から長崎に向かった。目的はただ1つ、本場のちゃんぽんを食べること。それも、ちゃんぽん発祥のお店で食べること。長崎は他にも見るべきと…

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9か月前
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生きているだけで

生きているだけで、私はエアコンを使い、料理をし、電気やガスを使っている。それらは化石燃料を使い作られ、地球温暖化を加速させている。 生きているだけで、私はコーヒ…

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10か月前
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はじめての九州 福岡編

 10月、遅めの夏休みを取り九州に出かけた。中学高校と同じだった友だちが福岡に就職したので、彼と自分を含め定番のメンバー4人で旅行をしたのだ。  搭乗するのは10時…

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11か月前
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6月 夜の西側

6月の日は長い。夕方は19時を過ぎても明るく、反対に朝はすぐに訪れる。 仕事に慣れてきた6月。夜の勤務にも身体が慣れ、それに適応した遅寝遅起きの習慣が確立されてき…

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1年前
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深夜のタクシー

最近、ほぼ毎日タクシーに乗っている。 勤務時間が深夜まで及び地下鉄が動いていないため、代金は会社持ちでタクシーを使って帰宅するのだ。 貧乏性な自分はこれまで…

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1年前
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かなり健康で文化的な4月

とうとう来ました。「04月30日までに記事を書くことで連続投稿を8か月に伸ばすことができます。今月もnoteを書いてみませんか?」という通知。現在の時刻は23:40。連続させ…

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1年前
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〈詞〉春の一人称単数

冬が終わろうとすると、いつも君のことを考えてしまう。 そして、いつも君は期待を裏切らず、ぼくのもとにやってくる。 君との出会いは、いつも突然だ。気づくと君はすぐ…

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1年前
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人と会う

昨日、5年ぶりに1人の友達と会ってきた。 彼とは中学3年間、同じ部活、同じポジションだった。 中学のとき、彼とはぶつかることが多かった。ぼくも彼も部活への熱意は大…

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1年前
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社会人になるに寄せて

あと2ヶ月弱で社会人だ。私はジャーナリズムに携わる、という進路選択をした。 おそらく4月からは今よりも忙しく、自分のことについて今より深く考える余裕もなくなるだろ…

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1年前
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おじいさんの世界

 すりガラスの引き戸を開けた瞬間、思った。入る店間違えたかな…。響き渡る爆音の演歌。壁一面には隙間無く貼られた昭和を感じさせるポスターと、いつ壊れたのか分からな…

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1年前
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12月(とりとめのない文章の羅列)

 1年が終わる季節。SNSを開くと、みんなが「2022年の振り返り」などと題した投稿をしている。自分も何か残しておきたい。ただ、年明けに迫った卒論提出を控え、noteに考え…

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1年前
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石巻

書きたいものが書けない。エスノグラフィーを掲げて、生き生きとした面白い卒論を目指しているつもりだった。ただ、指導教諭に持っていくために作った一節を自分で読むと、…

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1年前
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惰性

4年生になってから抱いていた漠然とした物足りなさ。 サカナクションの『ショック!』という曲が今年リリースされたが、聴くたび聞くたびにこの曲が刺さった。日常にショ…

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2年前
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一休さん

一休さん

取材して文章を書くことを仕事にしているのに、

人に話を聞きたくなくなったり、
筆記具を持ちたくなくなったりします。

けれど、少し休んでまたしばらくすると、

人に話を聞きたくなったり、
筆記具を持ちたくなったりします。

その繰り返し。

青い自分の頭の中ではいつも、
こんなペースでいいのかと焦ってばかり。

でも、今はこれでよいのだと思う、ことにする。

休みたい心と働きたい頭の妥協点を探る

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時をかけるキムチ

時をかけるキムチ

このキムチが消費期限を迎える頃、自分はどうなっているのだろう?

3月最後の日曜日、スーパーで食材をまとめ買いしてる時に思った。翌日からは部署異動で、全く違う仕事をすることになっていた。社内でも過酷と呼ばれる部署。自ら希望したものの、いざ働くとなると、急に不安になっていた。

4月1日、出勤すると早速仕事が待っていた。経験のない仕事を、午前中のうちに仕上げなければいけなかった。なんとかこなしたが、

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左膝が痛くない「可能世界」

左膝が痛くない「可能世界」

 読んでいる雑誌の中で、「物語世界」と「可能世界」という概念が出てきた。ざっくり言うと、物語世界は、何かに「抑圧」された当事者が経験を語ることによって再現される世界、可能世界は、もしその当事者を抑圧するものがなかったら展開される、「If」の世界である。読んだ論考では、その当事者が語った内容には可能世界が少なからぬ影響を与えており、歴史を考える上で「If」に目を向ける必要があると言っている。例えば被

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はじめての九州 長崎編

はじめての九州 長崎編

 九州旅行2日目、私たちは博多から長崎に向かった。目的はただ1つ、本場のちゃんぽんを食べること。それも、ちゃんぽん発祥のお店で食べること。長崎は他にも見るべきところがあるだろと思われるかも知れないが、旅の目的なんてメジャーなものでなければないほどオリジナルな旅になる。型にはまった旅なんて嫌なのだ。

 朝、レンタカーを借りて出発した。福岡の高速道路は街の高架上を走る、いかにも都会的な道だった。ただ

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生きているだけで

生きているだけで

生きているだけで、私はエアコンを使い、料理をし、電気やガスを使っている。それらは化石燃料を使い作られ、地球温暖化を加速させている。

生きているだけで、私はコーヒーを飲み、バナナを食べ、外国で作られた農作物を食べる。それらは大規模なプランテーションや過酷な児童労働があって安い値段で売られ、環境や人権を損なってる。

生きているだけで、私はアンゼンホショウというものに守られている。それらは沖縄の美し

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はじめての九州 福岡編

はじめての九州 福岡編

 10月、遅めの夏休みを取り九州に出かけた。中学高校と同じだった友だちが福岡に就職したので、彼と自分を含め定番のメンバー4人で旅行をしたのだ。

 搭乗するのは10時台の飛行機だ。ただ、前日は会社の同期と久しぶりに集まる機会があり、話が弾んで2時半まで飲んでいた(しかも3軒目は大学時代に定番だった2時間1○○○円の格安店、そこで出てくるお酒の質には安いなりの理由がある)。ろくに寝ず二日酔いだったた

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6月 夜の西側

6月 夜の西側

6月の日は長い。夕方は19時を過ぎても明るく、反対に朝はすぐに訪れる。

仕事に慣れてきた6月。夜の勤務にも身体が慣れ、それに適応した遅寝遅起きの習慣が確立されてきた。

日付を超えてから帰宅しても、仕事でフルにエンジンを回した頭にはなかなか眠気が訪れず、穏やかな覚醒状態が続く。覚醒状態から元の自分に帰還するため、(あともともと好きなため)、ど深夜からグラスを傾ける。最近のマイブームは少し濃いめの

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深夜のタクシー

深夜のタクシー

最近、ほぼ毎日タクシーに乗っている。

勤務時間が深夜まで及び地下鉄が動いていないため、代金は会社持ちでタクシーを使って帰宅するのだ。



貧乏性な自分はこれまでタクシーをほとんど使ったことがなかったため、こんな世界があるんだという新鮮さを味わっている。



タクシーという乗り物の特徴は、乗客と運転手との距離の近さだ。電車やバスは基本的に大勢の乗客に対して運転手が1人。それに対しタクシーは

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かなり健康で文化的な4月

かなり健康で文化的な4月

とうとう来ました。「04月30日までに記事を書くことで連続投稿を8か月に伸ばすことができます。今月もnoteを書いてみませんか?」という通知。現在の時刻は23:40。連続させるために記事を書くことは本末転倒な気もするけど、続けられないと悔しいので超短縮4月の振り返りでも書いてみる。



4月。新社会人になって最初の月。会社では、4月のほとんどが研修にあてられた。



[面食らった配属先とそ

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〈詞〉春の一人称単数

〈詞〉春の一人称単数

冬が終わろうとすると、いつも君のことを考えてしまう。
そして、いつも君は期待を裏切らず、ぼくのもとにやってくる。

君との出会いは、いつも突然だ。気づくと君はすぐそばにいる。
君の気配は、すぐにぼくの目を赤らめる。

君は目には見えない。もちろん他の人にも見えない。
ただぼくは、君を気配で感じることが出来る。まるで船の魚群探知機のように。

君を意識し始めると、他のことに手が付かない。
君は、ぼく

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人と会う

人と会う

昨日、5年ぶりに1人の友達と会ってきた。
彼とは中学3年間、同じ部活、同じポジションだった。
中学のとき、彼とはぶつかることが多かった。ぼくも彼も部活への熱意は大きかったが、その目指す方向性は必ずしも同じではなかった。特に低学年のときは何度も言い争いをし、少し気の弱かった彼を何度も泣かせてしまったことを覚えている。それでも3年生になりぼくが部長になったとき、最も頼りにしたのは彼だった(部員が50人

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社会人になるに寄せて

社会人になるに寄せて

あと2ヶ月弱で社会人だ。私はジャーナリズムに携わる、という進路選択をした。
おそらく4月からは今よりも忙しく、自分のことについて今より深く考える余裕もなくなるだろう。日々に余裕のある今のうちに、なぜ自分がこの選択をしたのか、記録しておきたいと思う。将来辛くなったりして、人生の岐路に立った時のために。

「将来の夢はなんですか?」
年齢が若ければ若いほどされるこの質問。小学校の4月の自己紹介カード、

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おじいさんの世界

おじいさんの世界

 すりガラスの引き戸を開けた瞬間、思った。入る店間違えたかな…。響き渡る爆音の演歌。壁一面には隙間無く貼られた昭和を感じさせるポスターと、いつ壊れたのか分からない時計。そしてカウンターの奥には店主と思われる少し怖そうなおじいさんが、大量の鶏肉を包丁片手に切断している。他の客はゼロ。街中にポツンと佇む店の中には、本当に今が令和なのか疑いたくなる空間があった。

 卒論提出まで半月ほどに迫ったころ、研

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12月(とりとめのない文章の羅列)

12月(とりとめのない文章の羅列)

 1年が終わる季節。SNSを開くと、みんなが「2022年の振り返り」などと題した投稿をしている。自分も何か残しておきたい。ただ、年明けに迫った卒論提出を控え、noteに考え抜いた文章を作る時間は残っていない。今回は最近思ったことを、ただストレスの発散を目的に書き連ねたい。ただのとりとめのない文章の羅列だが、教授に見られて「大丈夫でしょうか」とか言われるわけでもないし別にいいや。
 
 
 12月は

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石巻

石巻

書きたいものが書けない。エスノグラフィーを掲げて、生き生きとした面白い卒論を目指しているつもりだった。ただ、指導教諭に持っていくために作った一節を自分で読むと、淡々と事実を述べているようにしか見えない。案の定先生にも、出し惜しみしなくていいんだよ、と言われてしまった。

自分に何が出来るのか分からない。卒論のテーマでやっているものは、たとえ自分が取り上げたとしても、もしくは働き手として創意工夫をし

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惰性

惰性

4年生になってから抱いていた漠然とした物足りなさ。

サカナクションの『ショック!』という曲が今年リリースされたが、聴くたび聞くたびにこの曲が刺さった。日常にショックが足りないのだ。

その理由を考えていたとき、惰性という言葉をどこかで耳にした。そうだ、惰性だ、と思った。4年生になってからの生活は、惰性に支配されているのではないか。

まずは教職。1年生の頃から多くの時間と手間をかけてきたため、今

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