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時をかけるキムチ

このキムチが消費期限を迎える頃、自分はどうなっているのだろう?

3月最後の日曜日、スーパーで食材をまとめ買いしてる時に思った。翌日からは部署異動で、全く違う仕事をすることになっていた。社内でも過酷と呼ばれる部署。自ら希望したものの、いざ働くとなると、急に不安になっていた。

4月1日、出勤すると早速仕事が待っていた。経験のない仕事を、午前中のうちに仕上げなければいけなかった。なんとかこなしたが、気付くと冷や汗が垂れていた。

「この一年は修行だと思って頑張って」

前の職場の先輩に掛けられた言葉。その言葉を裏付けるように、いきなり洗礼を浴びている。早朝に出勤して深夜に帰ったり、先鋒と議論(ほぼ口論)したり、今日は早く帰れると思っていたらいきなり「すぐ〇〇市に行ってくれ」と言われ、その日はそのまま泊まったり。

平日は息つく暇もなく、休日は体が休息を求めてあまり動けない。そんな3週間だった。

ゴミの日の今日、消費期限を少し過ぎたキムチを捨てた。そういえば、このキムチを買う時、あんなこと考えてたな…。

あのキムチを捨てた今朝の自分は、なんとか仕事に慣れてきている。少しづつ楽しさも感じるようになってきた気がする。

明日またキムチを買いに行こう。次のキムチが消費期限を迎える頃、次の自分はどうなっているのだろう?

キムチは私に、忘れがちな時の流れを思い出させる。

けれど少しキムチに悪いから、次は消費期限内に食べ切ろうと思う。

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