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6月 夜の西側


6月の日は長い。夕方は19時を過ぎても明るく、反対に朝はすぐに訪れる。

仕事に慣れてきた6月。夜の勤務にも身体が慣れ、それに適応した遅寝遅起きの習慣が確立されてきた。

日付を超えてから帰宅しても、仕事でフルにエンジンを回した頭にはなかなか眠気が訪れず、穏やかな覚醒状態が続く。覚醒状態から元の自分に帰還するため、(あともともと好きなため)、ど深夜からグラスを傾ける。最近のマイブームは少し濃いめのハイボールをゆっくり飲むことだ。

ハイボール片手に本を読んだり、BSで再放送している「あまちゃん」の録画を見たりして眠気がくるのを待つ。それでもなかなか眠れずに、2杯目か3杯目に手を出そうとする頃には、カーテンの隙間から白い光がのぞき込むこともある。


仕事に慣れてきた6月。自分のアイデアがそのまま採用されることも多くなり、自分の作った紙面が数時間後には家のポストに届けられている。達成感が大きい仕事だと思う。

上司も大体優しく、勤務時間も(遅い時間帯なことを除いては)比較的短い。休日もほどほどにある。

なかなかホワイトな職場だし、生活自体も安定してきている。

だが、どこかで足りなさを感じている自分がいる。それは自分の足で見て聞いて、自分の言葉で書くことに憧れた自分だ。

そう遠くない将来、自分はそれをすることになっている。それをする上で、今の仕事は「とても大事な経験」と上司や先輩は言ってくれる。この仕事を経験するのとしないのでは、書く者としての技術や内容が違ってくるらしい。

それをふまえて考えると、今のこの期間は自分にとって、来たる日のために知識やものの見方を養う充足期間、つまり(多くの)人間にとって体力や気力を充足する夜にあたる。

6月の日は長い。といっても、夏至を過ぎた6月の下旬からは、夜はどんどん短くなっていく。
自分にとっての夜もまだまだ始まったばかりだ。ただ、着実に短くなり、ゆっくりと終わりに近づいている。

夜の西側についたとき、私はこの一夜に意味を感じることができるのだろうか。
夜の西側についたとき、私はこの一夜に意味を感じている自分になっていたい。

この夜の自分の目標は、
吸収できるものは全部吸収して、知識と経験と思いを充足すること。
酒ばかり飲んで、朝に響かないようにすること。

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