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『黄昏ゆく街で』



 黄昏ゆく街を見ながら、君のことを想っている。
 二度目の初恋をした。いや、今回が初めてのはずだ。なのに、どうしても『やっと会えた』という感覚がして、私はひどく懐かしい感覚に包まれている。
 たくさんの人間社会からの砂嵐を受けて地下深くに眠っていた感情が、長い時間をかけて僕の中に戻って来た。
 嬉しい。
 純粋で真っすぐな———好きという気持ち。
「おかえり」と優しく声をかけ、温かくその感情を自分の中に迎え入れる。
 素敵な人と出会った。僕は幸せだ。
 ただ傍にいるだけで、心の奥底からじんわりとした温かい感情が浮かび上がってくる。
 愛おしい。傍にいたい。
 いつぶりだろうか。離れていて『恋しい』と感じるのは。
 あの笑顔をまた見に行きたい。僕が彼女を笑顔にしたい。
 どうして僕は、こんなところで突っ立っているのだろう。日が沈みかけ、じんわりと夜の街が姿を現し始める。段々と煌びやかになっていく夜の街の景色を見ながら、僕は君のことを想っている。
 幼い頃に初恋を経験して、そのときの僕はあまりにも無知で、未熟で、ただ相手を好きでいる事しかできなかった。けれど、今は違う。未熟なりにも、僕は一回り成長した。
 一人の男として、僕は彼女と向き合うことが出来る。
 温かくて素敵なものを胸に抱き、僕は今から君に会いに行く。



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