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#恋愛小説が好き

恋愛小説への愛や、好きな作品・作家を語ってください!

急上昇の記事一覧

便利屋花業 ⒔別れの気配 連載恋愛小説

今まで、植物園デートなんて気の利いたことを考えてくれた人は、だれひとりいなかった。しかも、山野草コレクションで名高い、マニア垂涎の聖地。 多幸感に突き動かされ、まどかは秋葉の腕に飛びつく。 「さとるの好きなジャンルって、なに?今度はそれにつきあう」 「蜂谷まどか」 「マニアックなのでもいいよ」 「マドカ・ハチヤ」 「家電好きなら展示会とか?んー、そういうのって一般客OKだっけ」 さては鉄オタも兼任しているだろうと、旅行を思いつく。 「蜂谷まどかと温泉」 「下心ダダ漏れの提

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便利屋花業 ⒓ファーストコンタクト 連載恋愛小説

たいていの場合、庭の完成図は頭の中でできあがっているが、依頼人に伝えるためには、なんらかの形にする必要がある。 「何者なんですか」 「そっちこそだれ」 聞き慣れない声が耳もとでした。集中していたのを邪魔され気が立っていたまどかは、相手を間近でにらみつける。 そいつはうろたえたように、身を引いた。勝手にのぞき込んでおいて、失礼な。 「すみません。秋葉覚と言います。画面が見えたんで、つい」 ガーデンデザインは、真横、立体、平面図と3パターンこしらえる。 フリーハンドで植物を描

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【毎週ショートショートnote】リベンジトリートメント

 点Rは悩んでいた。  片想いの相手、点Pが冷たい。  私と会うときはいつも一瞬。いつも無愛想。  去るときは、宿題が終わった小学生のように足取りが軽くなる。  *  ある日、私は点Pのあとを追った。  点Pがいそいそと最短距離で向かった先には、点Qがいた。 『負けた』  私はきつく目を瞑った。  点Qは、まろみのあるボディ(O)にピョンと跳ねた髪が可愛い女の子だ。  点Pは目尻を染めて柔らかく笑っている。  ……ああ、あの子に恋をしている。  悔しい。

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20.【読み切り】エピローグ(れれこい)816

読み切り恋愛短編集【れれこい】 前日譚⤵️ ※読み切りですが、関連のある章には同じヘッダー画像を使用していますので、ご参考になさってください ※Amazonアソシエイトプログラムに参加しています 第20話 エピローグ 岩崎「れれ子さん、こっちです」 れれ子「岩崎さん、お待たせしました。 今日はこっちの席なんですね」 岩崎「カウンターしか空いてなくて…… 狭くてすみません」 れれ子「うふ、近くて嬉しい」 岩崎「えっ?」 れれ子「いえいえ、何でも……」 岩崎「

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【シロクマ文芸部】海の日は花火をご一緒に

 「海の日を一緒に過ごして下さい」  僕にバイトの依頼が入ったのは海の日の5日前の事だった。  僕は人材派遣のバイトをしている大学生だ。人材派遣といっても、恋人代行や友人代行といった類の物だ。依頼してきたのは僕より10歳位年上の女性だった。どうして年の離れた僕を指名してくれたのかは分からないけど、僕は仕事として精一杯依頼者の相手を務めるまでだ。  依頼者とは海辺の駅前で待ち合わせをしている。今日は、一緒に海の日の花火大会を見るという依頼を受けている。  「お待たせして

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便利屋花業 ⒒戦友との語らい 連載恋愛小説

沢口は、なんでもお見通しだ。 「仕事関係で男作るの、珍しいな」 「沢口くん以外にさとられないように、もう必死」 「あれをかわすのは至難の業だろ。ベタ惚れ」 愉快そうな横顔に、まどかは八つ当たりする。 「ちょっとくらい、阻止してくれてもよかったじゃん」 嫉妬に狂って逆効果だと、安定の冷静沈着っぷり。戦友みたいな存在だから、話しているとまったりリラックスする。 園芸にたずさわる者として致命的な虫ギライを、徹底して排除することでサポートしてくれた沢口には、頭が上がらない。全幅の

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18.【読み切り】ワンダー(れれこい)814

読み切り恋愛短編集【れれこい】 前日譚⤵️ ※読み切りですが、関連のある章には同じヘッダー画像を使用していますので、ご参考になさってください 第18話 ワンダー  その人は何度も同じ女性に躓いてしまう。 「もう無理だ」「もうやり直せない」とその都度思う。 泣いて蹲って魂が抜けたようになって、 食べられなくて眠れなくて頭が痛くて、こんなにも涙は流れ続けるのかと不思議に思う。 それでも諦めきれないし、諦めようとも思えない。 この世が終わるかと思っていても、相変わらず夜は明

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ぶこつでやさしいスープカレー屋さん KIBA 第12話「大通公園にて」約1400字/全17話/創作大賞2024恋愛小説部門

 一瞬何が起こったのかわからなかったが、目を開けてその事実だけは理解した。しかし、その意味はまったくわからなかった。  大和さんは顔を伏せており、その表情はわからない。しかし、どこか苦しそうな様子に見えた。  彼の手が私の唇や頬に触れている。不快だった訳ではない。しかし、とにかく驚いた。そして、呼吸がしづらい。苦しくなってきてしまって、私は彼の腕を振りほどき、ベンチから立ち上がった。彼の手はあっさりとそれに従った。 「……ど、どうしたんですか?」  彼はベンチに座った

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恋愛脳を紐解けば 2 | 忘れっぽい詩の神

 鮮明に想い出してしまった。  脳の記憶野とされる海馬に施錠して封印されたものか、大脳皮質のファイルに厳重に挟んであったものかは知らない。  本人の意思としては極力、忘れようと努めていた。が、神さまの配慮であろうか消去されていなかった。  人間にはモテ期というものがあるらしい。  それは傍目からはよく見えてくるもんだ。  美人を日影で涼ませてジェラート🍨を受取りにいく間にも、デート中にも関わらず、誰かしらが声を掛けている。そんな娘を連れ回していると、その言葉の信憑性に裏書き

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短編「胡桃と僕のありふれた日常」最終話 〜陽向に包まれ陽影に眠る〜 #創作大賞2024

「胡桃と僕のありふれた日常」 陽向に包まれ陽影に眠る  僕は新生児室のガラス越しに、ナースに抱かれている僕と胡桃の子を不思議な気持ちで眺めていた。  小さいなあ……指なんて動いてるのが不思議なくらいに細い。 「えらいぞ、胡桃」  陣痛室のベッドに横になった彼女に囁くと、 「当然よ、ふふん」と、得意げに答えたあと、 「でも、分離しちゃってちょっとさびしい」と、ぺたんこになった腹をさすりながら言った。  分娩室に入る寸前まで痛いとか気持ち悪いとかやめてとか泣いていたのに、今は

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令和版百人一首恋の巻【冬の部】

こんにちは。 最高気温37度超えの本日。 本が好きな仲間たちと会う約束をしていたのですが、駅から歩いて待ち合わせ場所に着いた瞬間に「顔が赤い」「飲み物飲んだ方がいいよ」と言われた羽根宮です。 家に飲み物を忘れたので、駅のホームの自販機で麦茶を買ったのですが、ぬるい状態で出てきたので飲んでも体温は下がりませんでした。 「準備中」とはなっていなかったんですけどね。 #挨拶文を楽しもう 令和版百人一首恋の巻【冬の部】に参加します。 羽根宮はすでに春の部で選出されていますので、

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海の日を #シロクマ文芸部

海の日を忘れちゃってたこの夏はサーファーのきみ隣にいない 海の日を 忘れちゃってた この夏は サーファーのきみ 隣にいない こんにちは。 小学校の夏休みに臨海学校に行った以来、海には行っていない羽根宮です。 当時は泳げましたが、今はもう泳げないかもしれない……。 小牧幸助さんの「シロクマ文芸部」に参加しました。 お題は「海の日を」から始まる小説・詩歌・エッセイです。 締め切りギリギリに滑り込見ました。ギリギリ族です。 いつものように連作短歌にする時間がなかったので、今

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ジャンルに振り切れ!

「作家性の魅力発掘」サービスですが、 最近はプロ作家の方からもご依頼いただいたりしています。 「え、プロでも自分の個性で悩むの?」って 思う人もいるかもしれないですが、 プロになったからといって、商業デビューしたからといって、 悩みがなくなるわけではありません。 プロ作家の場合の悩みは、 「この路線でOKなのだろうか?」 「売れ行きがいまいち伸びないけど、何が原因だろう?」 「別のジャンルやレーベルのほうが、合ってたりする?」 などなど、やはり人それぞれになります。 もち

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便利屋花業 ⒑色気の秘訣 連載恋愛小説

猫動画の見すぎで、今日は全身がだるい。 急ぎの仕事は入っていなかったが、まどかは気まぐれに事務所に顔を出した。 「まどかさん。いいところに」 いそいそと綾が寄ってきて、メモを取り出す。 どうしたら、色気は出せるのか。 あくびの涙をぬぐっていたまどかは、目をぱちぱちさせた。 「……人選ミスだろ?」 廃人まがいとけだるさを、はきちがえているようだ。 「なんかいい匂いするのは、香水ですか?」 あまりにもまっすぐな目をしていることから、からかわれているわけでは ないらしい。やれ血

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連載小説 | 春、ふたりのソナタ #6

この作品は #創作大賞2024 応募作品です。 《1話はこちら》 《前回のお話》  日曜の朝、私は鏡の前で悩んでいた。  無難にジーンズを着て行くか、それともこないだ買ったふんわりスカートを履いていくか。両方、体に当てて、う~んと悩みこむ。  今日は有希子と映画に行く日だ。  先日の電話のあと、有希子からYesの連絡が来た。お母さんへの説得が成功したようだ。うちの母なんて、聞くまでもなくどこでも好きなとこ行ってこい、だもんな。  スカート、かわいいけど、なんか張り切っ

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恋愛脳を紐解けば 1 | 忘れっぽい詩の神

 私自身ではモテ期などある訳ない。  確かに周囲には、目を惹くような娘は多かったけど。  私自身はイケメンでもないし、唯の風来坊だと思う。  それは写真素材のモデルを頼んだり、小説の題材を探したりで努力をして口説いた結果だと思う。  んでもモテ期という神話が、世間ではあるみたい。  若干のニュアンスは違うけど、徒然に書いてみよう。  最近では眠りが浅くて、深層心理に封印していた光景が、脂汗とともに蘇る夜が多い。忘却の檻に閉じ籠めていた筈なのに、夢に見る。  あれは小学5年生

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【連続小説】初恋の痛みが消えないまま俺はまた恋をする第57話-夏が来る〜裕と瑞穂

 5月も終わろうかという時期になると、昼間はすでに暑い。しかし夕暮れからは激しく気温が落ちて、今はとても涼しかった。  貴志の家で定期的に勉強会をしよう。そう決めた帰り道、裕は瑞穂と並んで歩いていた。  好きな人を家まで送り届ける役目は誇らしく、そしてどうしようもなく切ない。 「なあ瑞穂。気持ちは固まったのか?」  修学旅行を終えてから、瑞穂の貴志に対する態度が変わった。だから裕はすでに気づいている。  ただ瑞穂の口から聞きたいのだ。決定的な一言を。 「うん。ごめんね、裕」

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便利屋花業 ⒐桜の味 連載恋愛小説

「頼むから自覚して」 「えーと…飲む?あ、車か」 黙ってコーヒーを飲む秋葉の空気感に耐えられなくて、まどかは話題を絞り出す。 桜味とはなんぞや、という長年の疑問が解決したことを思い出した。 桜の葉や花びらは無臭だが、塩漬けにして細胞が壊れると、匂いが解き放たれる。あの繊細そうな花びらを容赦なくもみ込んだり発酵させたりしないと、香りは強く立たない。 「匂いを味だと感じるって、人間の脳ってフシギだなーって」 淡い色味の甘じょっぱさ。なんか桜餅の口になってきた。 「まどかさん」

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【連載小説】俺様人生 vol.6「冷やし中華」

軽い苛立ちを抑えながら、俺はとりあえずリモコンをいじる。 だが、一人で歌うのもなんなので、リモコンとにらめっこしていた。 もう十五分経つけど、アスカはなにをやっているんだろう? スロットコーナーを見に行くと、やっと終わった様子だ。 コインを何かに変えてこっちへ来る。 「歌っててよかったのに……」 「一人で歌うのもなんか嫌で…カラオケ慣れてないし」 「慣れてない?あんまり友達とは行かないの?」 「いや、実は前回が初めてだった」 「えっ、まじ?今までの彼女とも来

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【連載小説】俺様人生 vol.7「痛み」

それからもアスカは、理由をつけては泊まりに来た。 ハニタンの家に行ってから俺の家に来たりしていた。 ガソリン代を想像すると恐ろしい。 ハニタンには何も言われないのかと聞くと、 「別に〜いってらっしゃいとは言われるけど」 一体どういうカップルなんだよ! 俺もアスカに呼び出されて街まで行くことが増えてきた。 正直金がない。 食費をギリギリまで抑えるために、俺は『ゆかり』ふりかけを購入。 毎日ゆかりご飯だけを食べ続ける。 更に足りなくなった食費のために、砂糖のみ

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