お題

#恋愛小説が好き

恋愛小説への愛や、好きな作品・作家を語ってください!

急上昇の記事一覧

居眠り猫と主治医 ⒘シェフの餌付け 連載恋愛小説

相変わらず借りてきた猫状態の文乃を、祐は不思議そうに見やる。 「テリトリー浸食してこないよな」 着替えやメイク道具を置かせてもらうという考えが、文乃にはなかった。 バッグに常備しているポーチに入っているのは、化粧直し用の保湿ミストとリップクリームくらいだ。 「先生のおうちですし。おじゃましてる身分なんで」 「ノーブラ素足で惑わせるのが、常套手段?」 湯上がりの魅惑的な香りを漂わせウロつく迷い猫を、どうしてやろうかと思ったと、彼は続ける。 いつの話をしているのか、やっと合点が

スキ
44

居眠り猫と主治医 ⒖潮干狩り猫 連載恋愛小説

潮干狩りでは、極力接触しないようにした。 これ以上近づいたら、どツボにハマるのは目にみえているし、彼に迷惑をかけるのだけは避けたかった。 「守屋さんて、夏目先生のこと狙ってる?」 気配を消して真横に陣取っていた小静《こしずか》美佐に、文乃は肝を冷やす。サングラス越しでもよくわかる、気合いの入ったマスカラ。 なにを考えているのかわかりづらくて苦手だと、否定した。 「あー、まあね。でも、そこがよくない?」 はまぐりやアサリを前日にまいてあるから、広く浅く表面をふわっとさぐるだ

スキ
52

カメラが欲しくなってきた 1

 趣味が多彩です。  むしろ離島に来て趣味がますます増えてきた気がします。  こんなに毎日、文章を書く日々がくるとは思いませんでした。  今の趣味といえば、バイクでしょ、note投稿でしょ、BRONPTONでのポタリングでしょ、シュノーケリングでしょ、陶芸でしょ・・・料理でしょ。  まあ料理はさあ、生活のためであって。  でもまあ、美味しいものを食べたくて。  ダイビングやカヌーを趣味にしようとしていたけど。その予算がバイクになってしまった。それで今もツーリング計画を着々と立

スキ
24

冗漫や冗長って、どう直したらいい?

「小説が冗長です」とか「無駄な部分が多いです」 などと言われた場合、どうしますか? プロ作家でも、改稿の際に直すのは、 この「冗長部分」というのがトップ5に入るくらい、 やはり多いですね。 作家さん本人ではたぶん、気づかないことが 多いんじゃないかな~と思う、「冗長」。 「冗長」ってなに? とまずは基本的なところから ご説明しましょう。 読者が読んでいて 「えー、つまんなーい」「退屈~」 「なんかダラダラしてるから、読み飛ばしちゃえ!」 って思うところです。 もちろ

スキ
9

居眠り猫と主治医 ⒕投げやり猫 連載恋愛小説

「で、なにがいいですか。お礼」 話の内容はどうでもよく、この人の空気感が居心地良くてずっとしゃべっていたくなる。 「ふたりで会うとか?」 「えーサラ抜きはちょっと…。あ、うそです。いいですね、デート」 何をおごろうかなあと思案しているうちに、まぶたが待ったなしで重くなる。いい具合の肩が手近にあったから、文乃は安心して目を閉じた。 *** 「ああー!患者さんに手え出すの御法度ですよ、夏目センセ。文乃ちゃん、激カワだけどもー」 里佳子の大声で目が覚めた。 「ハイ、ごめんな

スキ
49

カメラが欲しくなってきた 2

 ますます重症化しました・・・  昨日よりこの愚痴をnoteに垂れ流したところ、皆さまのありがたいお言葉を頂戴いたしまして。ますます重症化しました・・・  今日は新作に挑めずに。  中古カメラ市場をあれこれと眺めていました。  やっぱり自分の好みとしてはレンジファインダーなんですよね。  コンパクトで高画質。  ピントは目測でもいいのです。  露出で何とでもなりますから。  うーん、ローライ35なんてどうだろうか・・・  デジカメでしたがU4rはフィルム感のある画質でした。

スキ
8

居眠り猫と主治医 ⒔ 桜の甘酒 連載恋愛小説

お酒で飛んだ記憶が、ある日まるっと戻ってきて、はじめて病院以外で祐と言葉を交わしたのは、春だったと気づく。 「桜を見て泣いてる女、はじめて見た」 泣いてないですよと唇を動かすと、目じりから数滴こぼれ落ちた。 青空に映える薄紅の花びらが風に揺らめく。 院長厳選の穴場スポットは、地元の花見客がちらほらいるだけで、夜のように静まり返っている。 このまま異世界に迷いこみそうな、不思議な空間。 *** 「その飲みかた、やめたほうがいい」 文乃を現実に引きずり戻す、重い声がした。

スキ
64

まずい またあの夢を見てしまった。 あの夢を見ると途中で目が覚めて朝まで眠れない。 その夢は相模原の上溝から町田まで続く巨大な建物ができて超長い動く歩道で道に迷う。夢の中では必ず晴れた日でストーリーも同じ。あの夢を月に数回見る。眠れる音楽を聴くが全然眠れない明日忙しいのにまったく

スキ
9

居眠り猫と主治医 ⒒獣医の休息 連載恋愛小説

迎えにいくと言われ困惑していると、本当に駅前に現れた。 数時間前に会ったばかりなのに、今日の彼は変だ。 途中下車した駅で勝手がわからず、文乃は所在なく待っていた。 合流できたときはほっとして、ご主人様を見つけたわんこのごとく駆け寄ってしまった。 「仕事は?終わった?」と祐。 早番じゃなければ、今頃、授業真っ最中だった。 「疲れてますよね?大丈夫ですか」 車のハンドルにもたれたあと、祐は文乃の髪に指を通す。 「この前、中途半端にさわったから、飢餓感すごい」 「え…起きてた?」

スキ
55

水槽の彼女〜カバー小説【6】|#しめじ様

しめじ様のnoteからインスパイアさせて頂いたカバー小説です。 ↓ ↓ ↓ 🌿これまでの話🌿 【6】 僕の家に着いた。何ということはない、マンションの4階。 玄関のカギをがちゃがちゃと開ける。 1LDKにしては広いかもしれない。あまり、散らかしてはいない積もりだった。 彼女は、グレイのスリッパを履いておずおずと中に入り、部屋をあちこち物珍しそうに見回していた。 「―――買った服とかは、このあたりに置いておく?」 クローゼットの前のスペースを指差した。 彼女はそ

スキ
68

あてのない旅の終着地

 「社長、現実を見据えてますか?」銀行担当者は言った。  「株式会社ヒーローズはコロナ禍以前にリスケ、つまりリスケジュールをされていて、一億円の融資において、元本の月々50万円の返済になってます。利子分は未返済のままですよ。コロナ禍中のゼロゼロ融資で会社は息をしていますが、ゼロゼロ返済期間は迫っています。」 株式会社ヒーローズ社長のである椎田ヒロシは、頭から汗が吹き出すような感覚を覚えたが、実際には汗は出ていなかった。何か少し頭が痺れるような嫌な感覚に陥った。これがひり

スキ
8

㉟日蝕祭

-研究所に拉致された美香- 「あ、あの…」 私が目の前にいる白衣の女性に話しかけても返事がない。 ソヨン様の会社で乱暴されて数日後に私は他の施設に運ばれた。 ここ、もしかしたら… なんだか覚えてる気がする… 昔、幼い頃、お姉ちゃんとここで捕まっていた記憶が… 私は先程から不安で胸が押し潰されそうだった。 怖い… 体の震えが止まらない…… ここは…… ここは………… 人間を加工する施設じゃないの………? 「さて、じゃあミリン様が回収してきた家畜からさっ

スキ
7
有料
2,000

居眠り猫と主治医 ⒑自覚する猫 連載恋愛小説

あのときと同じように向かいあっているのに、感情が180度変わってしまい動揺が抑えられない。 「自分にエサはやらないのに、鳥の世話はていねいですね」 問題はないとのことで、いくぶん肩の力は抜けたものの気後れし、文乃は祐と目を合わせることすらできない。 「よかったです。…あの、その節はお世話になりました。先生はその後、 お風邪など召されていませんでしょうか」 ブッと吹いた彼は、すぐさま無表情に戻す。 拾ったはずの猫が脱走した。抱き枕も消えたから、睡眠の質がガタ落ちだと恨み節。

スキ
49

居眠り猫と主治医 ⒓ セカンド猫 連載恋愛小説

キッチンは素通りしたので、ごはんはお預けかと、文乃はちょっとがっかりした。 半裸のままで始まってしまい、全部脱ぐより刺激が強くてたじろぐ。 それでも、文乃の体調を気にするのがデフォルトになっている祐は、ひたすら慎重だった、避妊も含めて。 逆立ちしても一番になれないと知っていたから、今まで言ったこともないセリフが口をついて出る。 「次は…先生の好きなようにして?」 祐の目の色が変わり、それだけで充分だと思った。 *** 「自制心ぶち壊してどうする。自殺行為なんだけど」 「

スキ
51

嘘だとしても (詩)

Xに投稿しました。

スキ
83

Let's Stay Together【二〇〇〇文字の短編小説 #6】

テレビの天気予報が、明日の夕方に台風が関東にやってくると告げていた。わたしは夕食後の珈琲を飲みながら、伸びすぎた後ろ髪を左手でもてあそんだ。 冷凍のカルボナーラは一人で食べた。浩次からは「今日も残業」とだけLINEが来ていた。正直なところ、ほっとした。ここ数年は二人でいると居心地の悪い時間ばかりで、つくづく息苦しい。子どもが生まれない事実が濃くなれば濃くなるほど、わたしたちの距離は開いていく。 風が吹いて、窓ガラスが震えた。高層マンションの十二階は、低すぎず、高すぎず、宙

スキ
13

居眠り猫と主治医 ⒐ゴッドハンド 連載恋愛小説

半月後のサラの健診日。診察室に入って、文乃はぎょっとする。 「何その反応」 「え…今日は院長先生の曜日じゃ…」 「学会で出張」 院長がひそんでいるわけもないのに、文乃は部屋のあちこちに視線をさまよわせた。見慣れたはずの白衣姿に、ここまでどぎまぎするのはなぜだろう。 鳥かごを抱いたまま棒立ちになっていると、早く診察台にのせろとあごで指示される。 「あ、すみません。よろしくお願いいたします」 看護師が別件で席をはずすのを、心細い思いで見送る。 通常、動物が暴れないよう保定する

スキ
49

【シロクマ文芸部】死がふたりを分かつまで

 「花吹雪の刺青入れてる人が出てくる時代劇って何だったっけ?」  「花吹雪というか桜吹雪なら遠山の金さんだけど?」  「ああ、そうそう!遠山の金さんだった。最近はすぐど忘れしちゃってダメね」  「仕方ないさ。俺たちはもうそんなに若くないからな」  「そうね。あ、せっかくだから金さん見ない?金さんって言えば誰が印象に残ってる?」  「そうだなぁ。高橋英樹か松方弘樹かって感じかな」  「世代的にはそうなんだけど、再放送で見た初代もいいよね。あの歌が忘れられないの」  「おー、あっ

スキ
70

願望 (詩)

Xに投稿しました。

スキ
90

『虞美人草』 ⑤ 夏目漱石

 小夜子さん登場。いい人。優しそうな人。親孝行そう。 小野さんの小夜子さん評が酷くて、胸がムカムカしてくる。 小野ー、何様だー、って思えてくる笑。 小説って、本当に不思議。 八 (藤尾と母、宗近と父) 藤尾と母は、兄の(甲野)欽吾のことを話している。二人とも、 兄の身の振り方に不満を感じているようである。  宗近と言えば、お前はあの人をどう思っているの。どうも思ってやしません。いやかい。いやですわ、あんな趣味のない人。あんな見込みのない人は、私も好かない。と、ずいぶんな言

スキ
8