桜は散った。散ったと同時に緑が生えた。春嫌いは夏を先取りする。肌寒くても半袖を着るし、裸足でサンダルを履く。まだ種類の少ない素麺を買っては茹でるし、好きでもない…
やばい、かなりやばい。 自転車を漕ぐスピードが上がる。 今日はゆっくりとした休日なはずなのに。 帰路でトイレに急かされる。 音楽を口ずさみ意識を遠のかせる努力はし…
「どこを目指してるの」「何になりたいの」 は、聞き飽きた。どこかを目指す必要も何かになりたい欲望も有ろうが無かろうが言う必要あるのか。 そうか、君たちは怖いのか…
鯨はナイた。ライオンのように周りの生物が後退りする逞しい立髪が欲しいと。鯨はナイた。山羊のような曲円を描く美しい角、荒れた山肌を歩くバランス技術が欲しいと。鯨は…
ラジカセから流れるさだまさしは君への愛を確かめてた。 「梅干しは蜂蜜入りが美味しんだよ。」 「そんなはずはないね。紫蘇の香りの邪魔をしているだけではないか。」 …
男が髪を結んでんのは社会的マイナスイメージやから気をつけや 唐突な差別が降り注ぐ。 それは耐えることしかできない状況で、まるで洗車中の車内のように鞭打つ音が鼓動…
水たまりを跨ぐ。 が、どこか入りたい自分がいる。幼心だろうか、幼稚だろうか。 昔は周りの目など気にしたこともなかった。 溜まった水の中で寝転んだ。生温い水が服を濡…
髪を切った。 正確にはブリーチして色入れてパーマ2回当てた激傷みした部分を切った。もっと正確に言えば、前髪を作って襟足を整えてパーマを落とす方向に走った。 レディ…
お前は夕方にやってくる。玄関ではなくベランダから来る。 そこまで背丈が高いわけでもないのに、四股する力士のように凛々しい君は見下ろす景色を掌握する。誰が住んでる…
色気って、なんだ。 ふと過ぎる疑問に箸が止まる。さすがに箸から煮物が落ちる事はないが、僕の名前を呼ぶ声は耳を通らない。 20代と40代の違いは何か。 例を挙げるので…
今日は憂鬱だ。 なんだって課長含むクソ上司たちと面談の日だから。 そんな日に限って朝の目覚めは良いことが多い。 霧が濃い。 晴れない心と調和するかのような朝は僕…
ぽい
2024年5月7日 00:30
桜は散った。散ったと同時に緑が生えた。春嫌いは夏を先取りする。肌寒くても半袖を着るし、裸足でサンダルを履く。まだ種類の少ない素麺を買っては茹でるし、好きでもないスイカを買おうか悩む。別に夏が好きなわけではない。ハルが嫌いなだけだ。足早に家に帰るが夏はまだ来ない。せっかちは。指先は何を思うだろうか。知らない音、知らない光、知らない光。温度まで感知してやがる。恥ずかしくなって動きが止まらないじゃな
2024年3月27日 20:00
やばい、かなりやばい。自転車を漕ぐスピードが上がる。今日はゆっくりとした休日なはずなのに。帰路でトイレに急かされる。音楽を口ずさみ意識を遠のかせる努力はしたものの無意味に近い。それなのに、今日はいつも通らない道を通ってみたくなった。大丈夫、家までの最短距離は変わらない。そんな時にこそ出会いはやってくる。軒下のオレンジライト。家の前にまで溢れた本たち。手書きの看板。木にマジックで書
2024年2月24日 23:01
「どこを目指してるの」「何になりたいの」は、聞き飽きた。どこかを目指す必要も何かになりたい欲望も有ろうが無かろうが言う必要あるのか。そうか、君たちは怖いのか。僕が何処かの何かになる可能性があるから、僕に足跡をつけておきたいのか。ふーん。まぁまぁ焦るなよ。僕はそんな有彩者でもなければ無才者でもないんだよ。人生史に足跡を
2024年1月13日 00:24
鯨はナイた。ライオンのように周りの生物が後退りする逞しい立髪が欲しいと。鯨はナイた。山羊のような曲円を描く美しい角、荒れた山肌を歩くバランス技術が欲しいと。鯨はナイた。人間のような恋愛がしてみたいと。鯨はナイた。軍隊蟻のようにフェロモンにつられて歩き疲れ死にたいと。選べない。街路樹に選ばれた銀杏は、毎秋、アスファルトを灯す役割を従命する。選べない。粘土は自分の顔も選べない。造手のアイデア任せだ
2024年1月7日 23:40
ラジカセから流れるさだまさしは君への愛を確かめてた。「梅干しは蜂蜜入りが美味しんだよ。」「そんなはずはないね。紫蘇の香りの邪魔をしているだけではないか。」春先に香る花粉の匂いはただの生命活動に過ぎないように、僕らのやりとりも生命活動なのだ。「喉にもいいんだよ、蜂蜜。」謳われた文句はすでに一般常識と化している。そしてこのやりとりは既に耳にタコだ。「寒いね」「そっちは雪でも
2023年12月17日 23:39
男が髪を結んでんのは社会的マイナスイメージやから気をつけや唐突な差別が降り注ぐ。それは耐えることしかできない状況で、まるで洗車中の車内のように鞭打つ音が鼓動するようで。痛い。どういう気持ちで電車に乗るん良くソレで人前出れるよな抗うことも無駄に思えた。反響するのはその声だけでなく、微笑みかける顔までがセットで付いてくる。足が止まる。女か男かわからん奴来たぞーそのどちらかであ
2023年12月13日 00:25
水たまりを跨ぐ。が、どこか入りたい自分がいる。幼心だろうか、幼稚だろうか。昔は周りの目など気にしたこともなかった。溜まった水の中で寝転んだ。生温い水が服を濡らす。起き上がった時には泥だらけなんだろうな。今はそんなこと、できないよ。寂しいな。だけど時々、雨が降れば人目を避け靴を脱ぐ。靴下も。裸足で家まで帰る。誰にもバレずに。密かな楽しみ。見つかっちゃいけない。雨傘の下は雨足よりも
2023年11月28日 08:01
髪を切った。正確にはブリーチして色入れてパーマ2回当てた激傷みした部分を切った。もっと正確に言えば、前髪を作って襟足を整えてパーマを落とす方向に走った。レディース寄りと言われればそれまでだ。美容師さんともう少し切る切らないの押し問答、アイロンの当て方、手入れの仕方を話すのが楽しかったのは事実だ。髪型に男も女もないだろ。かっこいいが全てだろ。賛否両論が浴びせられた日だった。心底疲れ
2023年11月11日 08:37
お前は夕方にやってくる。玄関ではなくベランダから来る。そこまで背丈が高いわけでもないのに、四股する力士のように凛々しい君は見下ろす景色を掌握する。誰が住んでるかも分からないビル肌は真朱にそまり、地の者を置き去りにする。凹凸が無いのが羨ましい。お前は夕方にやってくる。水の中に浮かぶお前は先代をいくら殺したか分からない。あまりにも種類が多すぎる。喰らおうとする者を自身の子孫繁栄のために殺したに
2023年11月8日 11:05
色気って、なんだ。ふと過ぎる疑問に箸が止まる。さすがに箸から煮物が落ちる事はないが、僕の名前を呼ぶ声は耳を通らない。20代と40代の違いは何か。例を挙げるのであれば、20代は村上虹郎で、40代はオダギリジョーだと思う。譲らない。視線か、声か。髪型もその一部だよな。20代の色気は視線だと思う。ドキリとさせられる視線には、重たい瞼の中に切れ長の目尻、じとっとした目が付き物だ。視線
2023年11月7日 01:36
今日は憂鬱だ。なんだって課長含むクソ上司たちと面談の日だから。そんな日に限って朝の目覚めは良いことが多い。霧が濃い。晴れない心と調和するかのような朝は僕を勇気つける。何も考えず、揺られてることも忘れて、死んだかのように出勤する。同期と顔を合わせることも悶々する。ダルイ、怠い。地下の会議室に既に上司は揃っていた。上席は楽しそうに話をするが、僕の耳には音でしかない。これか