色気って、なんだ

色気って、なんだ。

ふと過ぎる疑問に箸が止まる。さすがに箸から煮物が落ちる事はないが、僕の名前を呼ぶ声は耳を通らない。

20代と40代の違いは何か。

例を挙げるのであれば、20代は村上虹郎で、40代はオダギリジョーだと思う。譲らない。

視線か、声か。髪型もその一部だよな。

20代の色気は視線だと思う。ドキリとさせられる視線には、重たい瞼の中に切れ長の目尻、じとっとした目が付き物だ。
視線のレーザービームとはよく言えた歌詞だと思う。

40代の色気は声だと思う。若さからはかけ離れた低い重低音。年代を感じさせる心地よさ。音を発する機械も大切だ。カピカピの唇からは色気を感じさせない。
つまりは音を視覚として捉えて色気を感じさせるのが40代なのだと思う。

20代か40代か。

どちらもミステリアスな雰囲気が漂う。その湿った雰囲気に色気を感じ、惑わされる。誘惑。

シャワーを浴びてる人間に感じるように

人は揺れるものに心が躍る。

楓林
ピアス
ベランダの洗濯物

催眠術師が使う振り子

激し過ぎず穏やか過ぎず、それぞれには適切な揺れ度がある。が、不規則なほどに釘付けになる。

物の色気とは不規則だ。
僕の色気はどこにある。

スッカラカンのはずの頭は疑問の限り働いている。もういいよ。疲れたよね。気取るのはいいよ。
いつから乗ってないかも知らない体重計、寒そうに手で上腕を摩る半袖のおじさん、忙しなく働く洗濯機、車内で騒ぐ小学生。乾いた絵の具。

もういいよ。全部面白いもん。

御所でダラダラしなーい?

そんな幼馴染の通知にせっせと準備を進める至って単純な平凡な朝が面白い。

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