坊主にピアス

桜は散った。散ったと同時に緑が生えた。春嫌いは夏を先取りする。肌寒くても半袖を着るし、裸足でサンダルを履く。まだ種類の少ない素麺を買っては茹でるし、好きでもないスイカを買おうか悩む。別に夏が好きなわけではない。ハルが嫌いなだけだ。足早に家に帰るが夏はまだ来ない。せっかちは。

指先は何を思うだろうか。知らない音、知らない光、知らない光。温度まで感知してやがる。恥ずかしくなって動きが止まらないじゃないか。

開けたセプタムは坊主にするための助走だった。坊主はアクセサリーあり気だ。今年は9mmの年だな。と、意気込んだものの、開けたそばから風邪をひき、垂れる鼻水を拭く快感より動くピアスによる激痛の五線譜にビビり散らかした。また上司に叱られる。飯を食う場所もねえや。

社会とは。腹立つ。

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