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My Story&Another Story

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あなたのはなし。 あなたのりそう。 なんでもはなしてみて。 これは、どこにでもあるようで、ここにしかない。 あなただけのものがたり。
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#ANOTHER

過ぎ行く夏の中にいて

過ぎ行く夏の中にいて

季節はおかまいなしに過ぎていく
あたたまったワックスの減りの早さ
シャワーを浴びたのにとまらぬ汗
そんな日常の端々に夏を感じて
わたしはなんだか泣き笑い
今日も生きている
生かされている
なんのために
誰のために
こたえる声はなくとも
わたしは今日も生きている
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退屈な昼下がりのぼんやりした青空と風

退屈な昼下がりのぼんやりした青空と風

夢の中で、わたしはだれかと一緒だった。
この部屋でくだらない話をして笑ってた。
まだ明るい日差しの中で気付けば眠っていて、目が覚めたらひとりだった。

退屈な昼下がり。
雲の多いぼんやりした青空を見上げると、湿度を含んだ風が吹いてくる。
涙は流れないけど、この瞬間を覚えていたいとおもった。

かけがえのないひと時を、二度とと訪れないこの時を、わすれたくなかったんだ。

今はひとりのこの

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対照的なふたり

対照的なふたり

ある夜、いつものバーに居合せたふたりの男の話。

ひとりは、めずらしく遅くまで飲んでいた。

良き男として、また良き夫として誰からも好かれるような彼が、こんな遅くまで店にいることはこれまでにない。
不思議におもって声を掛けると、どうやら夫婦間の問題があるらしい。

結婚してからは飲みにいっても必ず夜のうちには帰り、朝帰りなどしたことがないそうなのだが、今日はどうしても家に帰りたくないと

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ほうわしてる

ほうわしてる

クラクラと目が回る。
真夜中の高速道路はあいかわらず綺麗でカメラだけを構えていたい欲望。
あぁ目が回る。
視界がぶれて幾重にも重なる。
このまま何処かへいけたらいいのに。

眉根に皺を寄せて、くちびるをおもいっきりひっぱって。
精一杯の笑顔。
あなたにみせたいな。
今いてくれたらいいのにな。

今日はもう眠ろうか。
あしためがさめなくてもいいように。
僕らの旅はどこまでつづく。
目指した先に虹がみ

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かろやかに

かろやかに

ゆがんでる。
かおもココロも身体も全部。
視えているもの届かなくって、なんにもみえてこなくって。

急に飛び込みスレスレかわす。
飛び込んでるのはわたしなのかも。
みてないだけで。
みえないだけで。
みたくないのか聴きたくないのか。
考える頭はもうここにはない。

もうつかれた。

言葉をゆがめて心をゆがめて。
ほんとの自分はどこにもなくて。

つかれたんだ。
もういいかな。
いな

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ドミノ倒し

ドミノ倒し

‪一駅なんだけど、行き先も確認したんだけど、反対の電車乗っちゃったときの心許なさ。‬
‪よく知ってるはずの街が、駅が、急によそゆきのかおをする。‬
‪並んでいるとよこはいりされたりして、でもなにか行動を起こす勇気も気力もなく、ただすこしだけかなしくなる。
そうやってまたすこし東京に距離を置く。‬
いつもよりも敏感になって、ちいさな悪意がやけに目に入るよう。
わたしのせいかな、わたしのせかい。
みた

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記憶の片隅から

記憶の片隅から

ずっと忘れていた。
でも、ずっとここにあった。
記憶の片隅にそっと仕舞い込んであった。
つらいこと、かなしいこと、うれしかったこと、すきだったひと。
みんなここにあった。

ここにくると、なぜかおもいだす。
大切なもの、忘れたくないこと。
ひとつずつ、すこしずつ。

まとまらない話、まわらない思考、おちる沈黙、刺さる言葉。

一つ一つは痛くても、みんないつかは糧になる。
いまは全部わか

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光の前触れ

光の前触れ

真夜中の峠道、フロントガラスからちらりとのぞく星空に息をのむ。
一瞬で過ぎ去っていく風景。
次の瞬間にはもう過去になる。
だけど、立ち止まらない。振り返らない。
今はただ進み続けるんだ。
見えないくらいが丁度いい。
夜が明ける前にここをぬけて。
朝の光をまっているんだ。
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記憶のありか

記憶のありか

あなたのいちばん古い記憶はなんですか?
いくつのころですか?
その記憶を引き出しから出したとき、どんな気持ちでしたか?
あなたをかたちづくるその記憶たちは、あなたにとってなにをもたらしましたか?

そこにある、けれど仕舞われている。
その記憶はあなたなんです。
うれしいことも、かなしいことも、つらいことも、たのしいことも、なにもかもあなたなんです。
あなたのあゆんできた道は、あなたそのものです。

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ふうせん

ふうせん

手をはなすとふわり、風にさらわれた。
とっさに口にした願いごとがあなたに届くといいな。
風の船に乗せてあなたの街まで、あなたのところまで。

だれかの幸せを願う時、きっとあなたが幸せなんだ。
おめでとうって言えたなら、きっとあなたは笑顔になれる。

たくさんのありがとうを。
お互いにありがとう。
きみにもわたしにもあなたにもありがとう。
そうやってつながっていけたらしあわせなんだな。

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信じてみたいこと

信じてみたいこと

成功したい、何者かになりたいと望みながらも何者にもなれずただ毎日をこなすだけになったり、よしこれから、いや今から頑張るぞと意気込んだ次の日に大失態をおかしたり。
そんな毎日ばかりなんだ。

人の夢を心の中で笑いながら、だれよりも自分の夢を捨てられず、だけど信じることもできずにいるんだ。

一人でいたいのは、好きなだけ夢を描けるから。
心の地図にならどんな景色だって描きたしていける。
でもそ

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さよなら世界

さよなら世界

真夜中の高速道路

まわりつづける思考と走行

ちいさな段差ひとつも頭にはいっている

ここはぼくの庭なんだ。

ようこそここへ。

待つのは生か死か。

一瞬の出来事

なのに永遠のよう。

走馬灯はまたみえないね。

まだぼくは生かされている。

ぐるぐるまわる環状線。

いっそとけてしまえたらいいのにね。

さよなら世界

またいつか。

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いつも

いつも

「いつも笑っていました。」

となりに座るそのひとは、唐突に口を開いた。

「いつも怒っていました。」

「いつも泣いていました。」

「いつも、いつも、いつも。」

「いつも互いの感情を感じられるところに、わたしたちはいつでもいました。」

そして、その頬につっと涙が流れる。

「だから、わからないんです。」

「これからどうすればいいのか。」

「泣けばいい

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ひかりの橋

ひかりの橋

たくさん橋を渡ってここまできたの。
ひとつ渡るごとに、ひとつなにかを手放して。
おそれ、不安、希望、わたしの手をひく父の手。
もう、あの頃のわたしじゃない。
眠りにつくように、ロウソクの火をふきけすように、こころに灯をともすように。

今度はわたしの番だね。
いつまでも幼い頃のわたしじゃないからね。
いつか一緒に歩けるかな。
あの橋を渡れるかな。
#ひかり #mystory #anoth

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