マガジンのカバー画像

「損切丸」-「日銀」編

524
「損切丸」が20年以上 ”お付き合い” させて頂いた「日銀」に関するより突っ込んだ記事をご紹介。
運営しているクリエイター

#利上げ

「介入」と「外為特会」ー 米国債 ”Conundrum" (謎)の ”解”

「介入」と「外為特会」ー 米国債 ”Conundrum" (謎)の ”解”

 「介入」の有無を調べる時に日本では便利な方法がある。コール市場等の取引を媒介している短資会社は毎日精緻な「日銀当座預金」の増減予想を出しているが、5/1の「財政要因」は従来の▼2兆円から▼7.5兆円に修正。これにより5.5兆円規模の「介入」があったと推定されている

 財務省管轄の「外為特会」は150兆円程( ↑ 標題添付)だが、このうち「介入」にすぐ使える「ドル」は「外貨当座預け預金」の11兆

もっとみる
「円」を買う理由が見当たらない

「円」を買う理由が見当たらない

 日銀の政策変更無しを受けて「円売り」に拍車。” Ms. Watanabe" =FXの個人トレーダーは「介入」期待で「ドル円」を逆張りで売っていた(円買い)ようだから「損切り」で値が飛んだように見える

 植田総裁のこの発言に恨み節を言うトレーダーも多かろう。だが筆者は実は同意見。「円安」は「インフレ」の根本原因ではない。日米欧とも "根っこ" はベビーブーマー引退に伴う人口動態の変化=「人手不

もっとみる
「利下げ」の ”芽” vs しつこい「円安」

「利下げ」の ”芽” vs しつこい「円安」

 PMIの大幅な減少は昨年8月以来でやや意外感があった。価格や雇用指数を見ても、まんべんなく ”景気減速” が見て取れ、これが真のトレンドになるならようやく「利下げ」の ”芽” が吹いた事になる

 これを受けて米国債も全般に買われ年内「利下げ」シナリオも徳俵に足が掛かった状態で持ち堪えた。ここまで金利上昇が急だっただけに当然の小休止とも言える

 これを諸手を挙げて歓迎したのが株式市場。「マグニ

もっとみる
「インフレ」は成長する - イギリス、アメリカの経済史に学ぶ

「インフレ」は成長する - イギリス、アメリカの経済史に学ぶ

 現在こう呼ばれているのはドイツだが、1960~1970年代にはイギリスの呼称だった。歴史を振り返ってみるとかなり悲惨

 1973〜1974年の第1次オイルショックをきっかけにイギリスは経済の停滞と物価の上昇が共存する「スタグフレーション」に陥った。失業率は増大、原材料費と賃金の高騰が原因となって生産性が低下し通貨ポンドの価値は下落。にもかかわらず、国際収支は改善しなかった

 何だかどこかの国

もっとみる
もう「円安」だけで「日経平均」は買えない - 「円安」を止める "鍵"

もう「円安」だけで「日経平均」は買えない - 「円安」を止める "鍵"

 はっきりした「ドル建日経平均」戦略Ⅲ - ヘッジファンド ”恐るるに足らず”|損切丸 (note.com) を書いてきたが、どうやら ”ゲーム” のルールが変わってきたようだ。もう「円安」だけで「日経平均」は買えない

 3月まであれだけ勢いよく買われてきた「無敵の日経平均」だが、今や見る影もないほど弱々しい。月2,000億円とも言われた「新NISA」の弾が切れつつあることもあろう。まさに実需の

もっとみる
「利下げ」が先か「株安」が先か

「利下げ」が先か「株安」が先か

 予想を大きく上回った米小売売上高 ↑ をきっかけに米国債は急落。まあ物価が上がっているので名目値が上がるのは自然でもあるが、日本と違い ”買い控え” なんて起きない。いや、「インフレ」ならむしろ早く買わないと値段が上がってしまうので消費行動が活発になる。お給料が上がっているから成せる技でもあり、これが「インフレスパイラル」の怖い所

 「利下げ」はやっと11月開始を織り込んでいるが、もはやその有

もっとみる
続・想像以上にしつこい「インフレ」

続・想像以上にしつこい「インフレ」

 想像以上にしつこい「インフレ」|損切丸 (note.com) の続編

 注目の米CPI ↑ が出た後の「損切丸」の正直な感想。特にコアの高止まりは(FRBにとっても)ショッキングで やっぱりアメリカで燻る「インフレ」の ”種火” Ⅱ。|損切丸 (note.com) は健在。もう現実的に「利下げ」無しを考慮しなければいけなくなった

 20年以上マーケットに関わってきたが、いつも 続・「行って欲

もっとみる
 "金利のメッセージ" (Message in a Yield)

"金利のメッセージ" (Message in a Yield)

 前稿.続・米国経済本当は強い?弱い?|損切丸 (note.com) で 政策金利は中央銀行が決める - 市場参加者や銀行の "思い込み" は危険|損切丸 (note.com) だから、マーケットの動きに反してFRB・ECBが6月にも「利下げ」を敢行するリスクに触れた。それはそれで仕方が無いことだが、こういう時大暴れするのが金利市場

 発せられる "金利のメッセージ" とは?

 もっとも分かり

もっとみる
続・米国経済本当は強い?弱い?

続・米国経済本当は強い?弱い?

 米国経済本当は強い?弱い?|損切丸 (note.com) の続編

 もう1年余りNFPにマーケットは悩まされ続けている。ISM非製造業指数を見ると価格等「インフレ」や景況感に減速の兆しが見えているが、とにかく「人が足りない」。平均時給が+4.3% → +4.1%と和らいでいるのが救い

 雇用統計発表直後は「米国債売り」(ドル金利上昇)+「ドル買い」で反応したが徐々に落ち着いてきている

 一

もっとみる
続・「行って欲しくない方に動く」相場の原理@2024 ー 株もタワマンも買いそびれ「円安」で物価は上がる一方...

続・「行って欲しくない方に動く」相場の原理@2024 ー 株もタワマンも買いそびれ「円安」で物価は上がる一方...

 「行って欲しくない方に動く」相場の原理@2024 ー 一体誰が困るのか?|損切丸 (note.com) の続編

 さあ、いよいよFRBの「年内利下げ」の雲行きが怪しくなってきた。2月までは16カ月連続で50を下回っていたがISM製造業指数が "水面下" に浮上。生産指数が54.6と2022年6月以来の高水準で前月比+6.2ポイントは2020年6月以来の大幅な伸び。2月に縮小圏となっていた新規受

もっとみる
政策金利は中央銀行が決める - 市場参加者や銀行の "思い込み" は危険

政策金利は中央銀行が決める - 市場参加者や銀行の "思い込み" は危険

 ”政策金利は中央銀行が決める”

 「損切丸」は「金利の基本」をこう言い続けてきた。身に染みたのは1994年2月から始まったグリースパン元FRB議長による+1.5%もの「利上げ」。当時まだ非農業雇用者数(Non-Firm Payrolls、NFP)がマイナスで推移している状態から突如「利上げ」を始めたため:

 こう言う「声」が市場の大勢を占めた。筆者は迂闊にもこの「声」に乗ってしまいドル金利が

もっとみる
やっぱり「インフレ」しかない

やっぱり「インフレ」しかない

 地味ながら3/21に金融政策の ”予想外” が相次いだ

 対照的な2国だが、現在の世界の経済状況を端的に現していて興味深い

 まずスイスと言えば元々 ”世界一物価の高い国” 。それだけに今回の「インフレ」局面でもCPIは+1%台で低位安定しておりそれほど「利上げ」もせずに済んだ。日本とも共通するが世界一の「お金持ち」国家と言えるだろう

 これを見て 勝手が過ぎるヨーロッパ - 拙速な「利下

もっとみる
さらば "異次元" - 次に待ち受けるのは「利上げ」催促相場

さらば "異次元" - 次に待ち受けるのは「利上げ」催促相場

 とタイトルは付けたが、「損切丸」の第一印象は「結構思い切ったな」

 実際「マイナス金利解除」するとどうなるのか?|損切丸 (note.com) では「マクロ加算残高」を残す予想をしたが、特殊な「三層構造」↓ は崩れ ”元来の準備預金制度” へ戻る。これで@0.10%の「付利」対象は一気に300兆円以上増え、日銀は年間約▼3,000億円のコスト持ち出しになる

 もっとも増えた▼3,000億円の

もっとみる
続・はっきりした「ドル建日経平均」戦略 - 欧米の ”小鬼” たちに振り回されるな!

続・はっきりした「ドル建日経平均」戦略 - 欧米の ”小鬼” たちに振り回されるな!

 はっきりした「ドル建日経平均」戦略 - 注目すべきは「FX」フロー|損切丸 (note.com) の続編

 今朝方(3/7)「円高」にも関わらず@40,400円まで乗せて「強いなあ」と驚かせた「日経平均」。その後は一転売りに転じ@39,600円割れまで下落

 元々3月は「配当落ち」が意識され先物を中心に「売り崩し」が見られるが、昨日も日経平均先物は200~300円ものワイドターン(売買いの差

もっとみる