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「損切丸」-「日銀」編

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「損切丸」が20年以上 ”お付き合い” させて頂いた「日銀」に関するより突っ込んだ記事をご紹介。
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2021年9月の記事一覧

続・「株式投資」と「金利」の相関関係。

続・「株式投資」と「金利」の相関関係。

  「金利上昇が株式市場最大の敵」

 書き出しが前編(9/22)と同じになってしまうが、昨日の米株式市場の下落はまさに「株式投資」と「金利」の相関関係。↓ が働いた結果だろう。

 *NYダウで▼569.38ドルの下げは、金額的にはブラックマンデーの▼508ドル(▼22.6%)を上回るが、率で言えばたったの▼1.6%と遠く及ばない。

 *今日(9/29)の日経は▼800円急落(前場。ちなみにN

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”2021年「基準地価」▼0.4%下落、2年連続マイナス” ー 不動産価格は本当に下がっているのか?

”2021年「基準地価」▼0.4%下落、2年連続マイナス” ー 不動産価格は本当に下がっているのか?

 <全国平均> ・商業地 ▼0.5%下落 ←(昨年)▼0.3% ・住宅地▼0.5%下落 ←(昨年)▼0.7%

 「損切丸」は「株価」同様、「金利」と密接な関係にある「不動産価格」も興味があって注視している。「コロナ危機」の影響があったのは事実だろうが、不動産関係の話を集めると、どうも2年連続「基準地価」マイナス=全体的な「不動産価格下落」ではないようだ。朝刊に入ってきた住所別の「基準地価」も場所

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「株式投資」と「金利」の相関関係。

「株式投資」と「金利」の相関関係。

 「金利上昇が株式市場最大の敵」

 過去の株価暴落のほとんどが「金利上昇」や中銀による「利上げ」によって引き起こされてきたため、よくこんな言葉を耳にする。「金利上昇」が意味する所は、結局「 ”お金” =流動性の減少」。どこまで金利が上がったら株価の腰を折るのか、具体的な "分析" が示された事はあまりなかったが、まあ投資銀行や証券会社にしてみれば株価が下がる話はしたくないのが "本音" なので、

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「インフレ」に「ドルの燃料投下」はいつまで続くのか?

「インフレ」に「ドルの燃料投下」はいつまで続くのか?

 やっと米株価が反発。ナスダックなどは6営業日ぶりというから、ウォール街関係者はほっと一息か。だが安心してばかりもいられない。主役は原油価格上昇に引っ張られたエネルギー関連株。つまり「インフレ銘柄」だ。

 「インフレ」の証拠は続々と揃いつつある。米CPI(8月@+5.3%)に続き、イギリスの物価も年@+3.2%と急伸(7月@+2.0%)。BoE(Bank of England)は2022年には「

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「中国」から聞こえてくる "足音" Ⅱ。ー「お金」は米国債へ「質への逃避」。

「中国」から聞こえてくる "足音" Ⅱ。ー「お金」は米国債へ「質への逃避」。

 何やら米株式市場の "腰付き" が怪しい。8月の米CPI(消費者物価指数)は年率で@+5.3%もあり「鈍化した」というのは誤報 。「米景気が減速」「9月FOMCでのテーパリング見送りは確実」と続くが、2~5年米国債の利回りはほとんど変わっておらず、もうこれはFRBへの "嘆願" にしか見えない。*それだけ株価の下落で困る人達が多いのだろう。

 *ウォール街の「ストラテジスト」「エコノミスト」の

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国民が背負う「荷物」。

国民が背負う「荷物」。

 「東証、バブル後最高値を一時突破」

 日経平均は@36,000円を超え(9/14前場)株式市場は大はしゃぎのようだが、相変わらずネットでは「実感がない」とのコメントが目立つ。

 まあ日銀やGPIFが上場企業の大株主になっているのが現状であり(参照:「公的マネーが大株主 8割」↓ )、不可思議な「日経平均>日経平均先物」の現象も続いている(参照:「日経@30,000円維持」? ↓ )。

 何

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迫り来る「インフレ」。 ー 「減少するお金」の奪い合い?

迫り来る「インフレ」。 ー 「減少するお金」の奪い合い?

 標題添付のグラフはFRBが金融政策決定において重視している「コアPCE価格指数」。迫り来る「インフレ」の足音は次第に大きくなっており、こういう指標をベースに「テーパリング」の議論をしている。一部「9月FOMCで議論を集約し、11月開始に向けて準備」と報道されているが当然だろう。

 これは米国に限った事ではない。例えば高インフレに苦しむブラジル ↓ 

 CPI(消費者物価指数)は二桁@10%に

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「中国」から聞こえてくる "足音" 。

「中国」から聞こえてくる "足音" 。

 "8月中国生産者物価(PPI) 前年比+9.5% 予想+9.0% 前月+9.0% 2008年8月以来13年ぶりの高い伸び *石炭採掘・選炭前年比+57.1%急騰"

 ref. 消費者物価 +0.8% 予想+1.0% 前月+1.0%

 石炭価格の急騰など特殊要因があったとはいえ、PPIが+9.5%も急伸する中、CPIが+0.8%に留まるということは、企業が価格転嫁をできず苦しむ様を表している。

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「日経@30,000円維持」? ー 不可思議な日経平均株価>日経平均先物の逆転現象。

「日経@30,000円維持」? ー 不可思議な日経平均株価>日経平均先物の逆転現象。

 9/8@11:20 日経平均株価 @30,056.50 ag. 日経平均先物 @29,870.-

 株トレーダーや相場を良く見る個人投資家は気が付いていると思うが、今週に入ってから(9/6~)日経平均株価>日経平均先物が続いている。今日(9/8)ならその差▼186円。現物を買う投資家なら株価が安い方がいいわけで、こういう不自然な買い方はしない。一体何が起きているのか。

 日本の株は外国人のシ

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”材料無し” の中上昇した米国債金利。 - 「金利」と「需給」の関係。

”材料無し” の中上昇した米国債金利。 - 「金利」と「需給」の関係。

 昨日(9/7)は「ジャクソンホール」でも「米雇用統計」発表の日でもない。それなのに10年米国債は@1.37%まで上昇し、欧州国債も軒並み金利が上昇。「リアル」が顕れる”材料無し”の相場。↓ (2/13)の観点から見れば、この動きを決して侮ってはいけない。

 2月の時点でも10年米国債が@1.20%を突破したことがきっかけで相場が@1.74%まで走った経緯がある。今回は ”発射台” が+0.20

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"TOPIX、バブル以来の最高値更新"  ー「コロナ危機」が暴き出した「昭和システム」の綻び。

"TOPIX、バブル以来の最高値更新"  ー「コロナ危機」が暴き出した「昭和システム」の綻び。

 菅首相の突然の辞任をきっかけに "TOPIX、バブル以来の最高値更新" 。期待されるのは「変化」だ。元々株価や物価、給与水準が世界的に取り残されてきた日本だけに、既得権益で凝り固まった「昭和システム」からの脱却が見えてくると株価は急伸する。日銀によるマッチポンプ的な「お金」の大量供給(正しくは "循環" )より余程効果的( ↓ 日経平均は@9/6 10:30)。

 「コロナ危機」が暴き出した「

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「テーパリング先送り」の大合唱? ー ”金融引締" を極度に怖れるウォール街。

「テーパリング先送り」の大合唱? ー ”金融引締" を極度に怖れるウォール街。

 注目の8月米雇用統計が発表された。↓

 非農業部門雇用者数 +23.5万人 予想+73.3万人 前月+105万3000人 ← 速報値+94.3万人( ↑ 標題過去1年間の推移)
 失業率は@5.2% 予想@5.2% 前月@5.4%

 確かに非農業部門雇用者数(NFP、Non-farm Payrolls)は今年1月以来の低い伸びだが、メディア、エコノミスト等 "識者" が一斉に「予想外の急減」

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「大借金」の「ツケ」はどこに回るのか。ー ECBも「テーパリング開始」?

「大借金」の「ツケ」はどこに回るのか。ー ECBも「テーパリング開始」?

 「ジャクソンホール」後、落ち着いた展開の米国債に比べ予想外に大きな動きが出たのが欧州国債市場。10年債で+0.05~+0.08%も上昇した。

 背景としては物価の上昇基調が鮮明化していることもあるが、ECB理事会メンバーのホルツマン・オーストリア中銀総裁が「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の縮小を検討できる状況になっている」と発言したことが大きい。次回9月の理事会で第4・四半期の縮小

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