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「日経@30,000円維持」? ー 不可思議な日経平均株価>日経平均先物の逆転現象。

 9/8@11:20 日経平均株価 @30,056.50 ag. 日経平均先物 @29,870.-

 株トレーダーや相場を良く見る個人投資家は気が付いていると思うが、今週に入ってから(9/6~)日経平均株価>日経平均先物が続いている。今日(9/8)ならその差▼186円。現物を買う投資家なら株価が安い方がいいわけで、こういう不自然な買い方はしない。一体何が起きているのか。

 日本の株は外国人のシェアが高まっていると言われて久しいが、「お金」に聡い彼らはこういう理不尽な「割高株」は絶対に買わない。得意とする「裁定取引」(アービトラージ)も日経平均株価<日経平均先物の時の「現物買い・先物売り」がほとんど(仮説)日経平均が54,000円に? ↓ 2019.12.19ご参照)。今の状況は真逆であり、裁定ポジションがあるなら絶好の「利食い時」だ。もっともBIS規制でバランスシートの縛りが厳しくなっており、従前のような巨額の取引は困難になっている。

 そうなると残る ”犯人” は日本人となるが、ネット経由の ”ロビンフッター” も個人投資家もわざわざ高値掴みなどしない。残る ”鯨” は日銀とGPIF(年金投資機構)ということになる。「お金」が足りなくなって「ステルス・テーパリング」実行中の日銀にETFを買う余力はない ↓ (日銀バランスシート@8/31ご参照。追加でETFを買うには「政府預金」=短期国債発行して「お金」を市場から調達するしかない。つまり金融緩和効果はゼロ)。

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 そうなると行き着く結論はGPIFということになる。20年超のJGBもそうだが、信託銀行経由のまとまった買いはほぼGPIFと考えて間違いない。タイミング的に怪しいのは「自民党総裁選」(もっともこの事をきちんと書く日本のメディアは残念ながら皆無であろう)。

 「日経@30,000円維持」

 そういう「買い指令」がどこからか出ているのではないか?それほど不可思議な状況だ。「~ノミクス」を標榜する候補者も出てきており、「またか」と思ってしまうのは筆者だけではなかろう。

 とは言え、儲けに飢えるトレーダー達にとってこれは「フリーランチ」=ただで儲かる相場。何しろ日経平均構成銘柄の現物を借りてきてショートにし、先物を買えば "自動的に" 儲かる訳だから(先物は3ヶ月毎に「現物渡し」となるので、現物ショートは自動的に精算)。規制でがんじがらめの本邦金融機関は手掛け難いが、 "アービトラージ大好き" なフランス系などは色を成して取り組むはず。日本政府からのプレゼントに等しい

 更に残念なのは「~ノミクス」が「昭和システム」の典型である事。昭和政治では「株価上昇=景気回復=勝ち」という概念が染みついており、どんな方法でも株価が上がれば良いと信じ込んでいる。当時のPKO(Price Keeping Operation)の名残である。

 この20年を総括しても日本が豊かになったとは言えない。むしろ株価と生活レベルのギャップが酷くなる一方で、国としては貧しくなっている。またぞろ「昭和システム」への回帰が起きれば "悲劇" 以外の何物でも無い。

 そもそもGPIFの運用原資は我々が積み立てている「年金」。そこから外資系に「フリーランチ」が支給されているのだとしたらこんな馬鹿な話はない。筆者は20数年英銀で働いて、そういう ”構図” を裏側から嫌と言うほど見てきた。つまり日本人は「お金抜き」に利用され続けているのである。

 繰り返しになるが日本人は「お金」に疎すぎる。まあそのための「損切丸」「お金のマニュアル」でもあるのだが、未だに「お金」の仕組みについての教育が確立されていない。だから外資系の「喰いもの」になってしまう。「昭和システム」では一般庶民の「清貧思想」植付けにメリットもあったのだろうが、もう止めにしないとこの国の未来が危うくなっている。

 そう言う意味で日本人にとって来る「自民党総裁選」→「衆議院選挙」は今後数十年の行方を決める「分岐点」。よく考えてなるべく多くの人が投票するのが望ましい(政治的な意図はないです。あくまで「お金」笑)。今度は「フリーランチ」を頂く立場になりたいものだ。

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