不可視の亡霊に浸された街は機械のドレスを纏う。好奇揺らめく瞳に注がれる、不明瞭のスピリタス。 全ての時計は針が歪んで……私は彼方から混線する、赤子と鴉の啼き声を…
炭酸水の雨が境界線上の蟻を拐かす 跳ね回る罠の甘美 溺れ痴れる漆黒 歩道の無垢なる長靴に穴が空いて 六歳の隊列の行進が乱れゆく 赤い靴、異人の右手 左手の痕跡に突き刺…
『文芸思潮 91号』に今年度の第十九回現代詩賞において奨励賞を頂いた拙作、「新宿駅、午前二時」が掲載されました。 過去に表現や人生における挫折や壊れてしまった事とか…
桜花爛爛染まる血汐に華やいで 触れる指先青く悦ぶ ――蒼き夕暮れの舞踏会は 曖昧な死を描く抽象画から零れ落ちた 「最期の一滴のクランベリー」だと笑うのは 此処に遺され…
変容を繰り返す黄昏に、 暗澹たる針時計は狂うまま―― ――然し穏やかに世界は轢断された 「全容の無い逢魔が時を彷徨う君は、赤いランドセルの巡礼者みたいだね」 そう嘯き…
業火の縹靑/燐藍 火傷に彩られた青蔦 火刑に陥った水面は、未だに翡翠色を保ったまま 白日の焼け跡だけが、眩いほどに鮮やかで―― ――訪れた宵闇に彼岸花咲き誇り 祈りの…
籠女は茜雨に草履を失くし 手を伸ばせば届く琥珀の光に触れず 「君の首切り裂く季節ピアノ線 蒼に隠れて揺らめくまま」 ――そう、死者の花束はいつも山茶花だった 雨音…
左目に映る硝子世界に二重瞼は脆くも崩れ 右の君のステンドグラスとノスタルジアは 空白に17:09の水彩画を染みこませて 「誰か」を望む奇数番地の住宅街 転がる三輪車、錆…
歩道橋の水平線上 焼けつく夕日に手を振るのは いつも日々の泡だった 彼方を彷徨う「墜落を夢見た亡霊」 硝子のような夕刻と夜伽の障子 さし込まれる刃先に映る人々は 今日も…
出血と共に平穏な新緑は不穏を帯びる 転倒したままの兎と亀 埋葬される広辞苑 轢断されしミルフィーユから滴るのは―― クラクションが告げる刑期 過ぎ去るポートレイトと…
地下鉄、階下に横たわる海柘榴 声にならぬ声が刻まれた紙面39面 キスを刻む段数に、2468はそっと唇を噛みしめる 剥がされた革靴 暴かれたハイヒールの行方 紅に濡れた花片…
有刺鉄線が藍色を纏う時 硝子の靴は粉々に砕け散った 太陽の亡霊 砂漠の亡骸 薔薇の亡命 少女が終末時計の針を忘却していたのは 「狂っていたから」だと綴られる 39面の死亡…
氷結したトローチが輪廻を描く 空白の観覧車に朧な藍が揺れて 太陽の焼け跡が、蜃気楼の浸透圧を高める (淡い雲海、溺れる鴉の群れ) (匿名の校舎屋上から身を投げる二人…
11月の欠落、蒼の空洞と罅割れた試験管 あてどなく彷徨う足首は紫斑帯びて 十字架の機密事項に気づくこともなく―― 奇数を刻まれた足首の枷はその黴を悔いることも忘却せ…
エンドロールに映る暗濘の彼方 流砂のような火炎が全てを焼き尽くしていた 傍観或いは感傷 (それら)に浸る誰もが 柔らかに火葬場の暗闇深くに沈められ__ 刹那に映る炭…
北村灰色
2024年4月23日 12:51
不可視の亡霊に浸された街は機械のドレスを纏う。好奇揺らめく瞳に注がれる、不明瞭のスピリタス。全ての時計は針が歪んで……私は彼方から混線する、赤子と鴉の啼き声を虚構だと感じることができない__艷やかなマーマレードが憂秋の牢獄から放たれた。マ・マー・パスタの注射針偽装型マーガリンと拳銃を抱えてマーケット✠クレーマーと立入禁止の屋上真新しいラストシーンが反映されないミニシアター誰もいない1
2024年4月16日 07:22
炭酸水の雨が境界線上の蟻を拐かす跳ね回る罠の甘美溺れ痴れる漆黒歩道の無垢なる長靴に穴が空いて六歳の隊列の行進が乱れゆく赤い靴、異人の右手左手の痕跡に突き刺さる安全ピン遺影と花瓶の罅入学式に砕け散った鼈甲飴赤蟻の手錠を傍観する教員免許赤を重ねた赫が齎すのはきっと――罪を悔やめば花いちもんめ君を殺めば花いちもんめ包み紙に仕組まれた悪意と職員室理科室のクロロホルムが記憶を融解
2024年4月9日 17:38
2024年4月2日 17:44
『文芸思潮 91号』に今年度の第十九回現代詩賞において奨励賞を頂いた拙作、「新宿駅、午前二時」が掲載されました。過去に表現や人生における挫折や壊れてしまった事とか、色々改めて書き伝えたい事柄はあるけれど、それはまた別の機会にということで、今回の詩誌掲載が近い内に名を上げる狼煙になる気がするので、多くの人に本誌や俺の作品を読んで頂ければ幸いです。また、少し先になりますが、5月1日に蝶尾出版社様
2024年3月27日 18:44
桜花爛爛染まる血汐に華やいで触れる指先青く悦ぶ――蒼き夕暮れの舞踏会は曖昧な死を描く抽象画から零れ落ちた「最期の一滴のクランベリー」だと笑うのは此処に遺された空白の棺桶と【名も無き墓標】だけだったから柔らかなシーツに溺れる君とロゼワイン余りにも穏やかな呼吸停止をただ暗い目をして傍観することしかできなかった(沈黙に浸るサイレン)最期を告げる慟哭は狂う憐憫、記憶__忘れた茜
2024年3月20日 19:55
変容を繰り返す黄昏に、暗澹たる針時計は狂うまま――――然し穏やかに世界は轢断された「全容の無い逢魔が時を彷徨う君は、赤いランドセルの巡礼者みたいだね」そう嘯き肩を叩くのは、夜を纏う異邦人だから……あの日の色毒に季節は昏倒し、或る日の色彩に排斥は哀悼すら、瞬く間に「3」の火種へと変換するレンズ罅割れ、空は渇ききってやがて私の薬指が幽かに痛んで爪先は救済無き砂漠の色を零す__「
2024年3月12日 21:05
業火の縹靑/燐藍火傷に彩られた青蔦火刑に陥った水面は、未だに翡翠色を保ったまま白日の焼け跡だけが、眩いほどに鮮やかで――――訪れた宵闇に彼岸花咲き誇り祈りの様な10/0.7の狂炎が酩酊に浸された如月を柔らかに抱擁した__0.70.20.00.10.霞みゆく左眼の記憶に収斂されし、鮮烈な水彩画木枯らしに滅び去った世界に幽かな奇数の照光が射し込む枯葉、或いは朽ち果てた亡骸
2024年3月5日 06:41
籠女は茜雨に草履を失くし手を伸ばせば届く琥珀の光に触れず「君の首切り裂く季節ピアノ線蒼に隠れて揺らめくまま」――そう、死者の花束はいつも山茶花だった雨音揺らめく追憶、彼岸花の嫉妬黒い葬列が赤く変容する時炭化した朝焼けに手錠煌めく静かな警報、映写機の奸悪君が裸足の理由はないから君に硝子が刺さる理由は――「薄荷飴うつろう刹那夏忘れサンダル捨てた歩道の死者」無言の喧騒、
2024年2月21日 20:07
左目に映る硝子世界に二重瞼は脆くも崩れ右の君のステンドグラスとノスタルジアは空白に17:09の水彩画を染みこませて「誰か」を望む奇数番地の住宅街転がる三輪車、錆びついたシャベル子供の悲鳴はいつも悪意に浸されているきがして私の唇から夕闇色の血が滲む嗚咽すらなく、永遠に開かない鍵に爪痕を遺すのはあの日を繰り返す少女の記憶だったから――暗い影が這い回る共同墓地心臓を象る甘味料とプラス
2024年2月15日 06:58
歩道橋の水平線上焼けつく夕日に手を振るのはいつも日々の泡だった彼方を彷徨う「墜落を夢見た亡霊」硝子のような夕刻と夜伽の障子さし込まれる刃先に映る人々は今日も無観客試合を演じて最期に遺るのは始発電車の放つ無呼吸の悲鳴だけだ、と……落花生散らばる鳥居の境界線上一輪の椿と零れ落ちる右眼未だに鳴り止まぬ偏頭痛を模した笛太鼓向日葵を焦がした裸の太陽に不敬罪の敬意を示さなければ君は
2024年2月10日 07:04
出血と共に平穏な新緑は不穏を帯びる転倒したままの兎と亀埋葬される広辞苑轢断されしミルフィーユから滴るのは――クラクションが告げる刑期過ぎ去るポートレイトとフラッシュライト二文字患いを×××してしまう花片と匕首終焉に向かう春風に、誰がシアンを混入したの?暁に変異してゆく桜花水色彼方の蝋燭に火が放たれて世界は牢獄と化した(懲役を傍観し懲役の懲役を苦役が)ヴァースコーラスヴァース
2024年1月30日 19:05
地下鉄、階下に横たわる海柘榴声にならぬ声が刻まれた紙面39面キスを刻む段数に、2468はそっと唇を噛みしめる剥がされた革靴 暴かれたハイヒールの行方紅に濡れた花片は艶めかしく階上の紙煙草を静脈血で浸せば忌避すべき喧騒も、モノクロームの靴音もそっと柔らかに消え去ってしまうから……カラーテレビ、白黒を染めるのは被害者じみた殉教者の血だってそう嘯く記憶の少女たちはいつも渇ききった砂
2024年1月24日 17:50
有刺鉄線が藍色を纏う時硝子の靴は粉々に砕け散った太陽の亡霊砂漠の亡骸薔薇の亡命少女が終末時計の針を忘却していたのは「狂っていたから」だと綴られる39面の死亡記事が切り裂かれた時ローヒールの爪先は行方不明を装い__8mmフィルムから零れたアイスピック穴の空いた夕刻に誰の影も消えて唯琥珀の空白と着色料が漂流している何処に?――何処へ?疑問符が四分音符に添付され錆びた6弦は静
2024年1月17日 17:53
氷結したトローチが輪廻を描く空白の観覧車に朧な藍が揺れて太陽の焼け跡が、蜃気楼の浸透圧を高める(淡い雲海、溺れる鴉の群れ)(匿名の校舎屋上から身を投げる二人)全てのシーンが虚ろな熱病に冒されて――1月の薄荷色、渇ききった喉を潤す冷熱化学式散らばる白線上零行進と群青のアスファルト刻まれた礫死体啄まれた頸動脈サイレンを消音にしたままの最果市街地血痕すらも蒼白な暁の罪跡___或い
2024年1月9日 17:52
11月の欠落、蒼の空洞と罅割れた試験管あてどなく彷徨う足首は紫斑帯びて十字架の機密事項に気づくこともなく――奇数を刻まれた足首の枷はその黴を悔いることも忘却せしめ軍隊蟻を蹂躙し諸刃の刃に自傷の悦楽に笑みを浮かべ涙すら宝玉と化したと宣う間に口紅の痕が消えることなく夜の帳を唾棄した愚かなる革靴の擦傷陪審の付箋と共に殺人者は妻を埋葬した……「月光」の磊落と7偶数を決して許さない王座にしがみ
2024年1月5日 18:09
エンドロールに映る暗濘の彼方流砂のような火炎が全てを焼き尽くしていた傍観或いは感傷(それら)に浸る誰もが柔らかに火葬場の暗闇深くに沈められ__刹那に映る炭化した彼らは暗幕の小さな悲劇にすらなれなかった視えない鬼が手招きする黄泉比良坂言葉も無く表情も無く醜き亡骸の啜り泣く声だけが反響して……形骸化した微睡みのなか溺れゆく私の左手を摑むのは「わたし」だった「わたし」の名前?