北村灰色

詩や小説、短歌、詩画、朗読、詩画。 器楽・即興演奏、宅録等で表現している。 「文芸思潮…

北村灰色

詩や小説、短歌、詩画、朗読、詩画。 器楽・即興演奏、宅録等で表現している。 「文芸思潮」現代詩賞 第十四回・十九回奨励賞、第十八回・優秀賞 ブックショート2015 12月期 、2016 3月 優秀作品等々 問い合わせは、k.haiirosan1222@gmail.comへ

記事一覧

百日紅四二八七

猿の頚動脈絡まる汽笛の悲鳴 潰れた咽喉から滲む着色料 百日紅誤読重ね薄ぼんやりした視界と 赫のスカート散らばる轢死体 「わたし」の敗血と罪に染まる手すら この世界を…

北村灰色
52分前
2

Broken Silence

――目が覚めると、世界は静寂を喪っていた。  オルゴールが永遠と鳴り響くメリーゴーランド、輪廻の果てに地上は見えず、視界を切り刻むのは、鳥たちが無垢に飛び交う碧…

北村灰色
7日前
9

9月のリプレイは存在しない

6〜7月半ばで良い感じに描けた原稿用紙詩画を詩と共に上げてみる。あと、次なる詩画のアイデアについて少し。 凍土に眠る海塩、死、アイスクリームの季節 彼方蜃気楼揺ら…

北村灰色
12日前
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上毛かるたと鬼ころしと――

 土曜日は前橋アートスープにおける「詩人と手紙展」の朗読会だった。  共演者や関係各位、観に来て下さった皆様ありがとうございました。 セトリは、 1、ポストに刻まれ…

北村灰色
2週間前
11

サンキューzinphony&告知

 レベルブックス@rebelbooksjpにおける、6月29,30日のZINPHONY @zinphony_infoに初参加しました。 俺の「原稿用紙詩画」で構成した詩集『灰色ノ指先』は持参した半数、10…

北村灰色
3週間前
11

初詩集を販売します

俺の原稿用紙詩画集『灰色ノ指先』を、zineのイベントである『zinphony』において、出展販売させて頂きます。 価格は500円で、全篇フルカラー且つ手触りや質感の好い紙を使…

北村灰色
1か月前
11

網膜のゾアとアスピリン

白磁散りばめられし水色に 瞬冷の秋は微かな暖かみを帯びて 全ての風葬された遺体に 無垢なる祈りを捧げる ――無表情の海抜39.9が ア_オの無い頸動脈を引き裂こうとも――…

北村灰色
1か月前
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Paradise Lost

失った靑 君がいざなうドアは暗く 水晶散らばる硝子越しにいつも 1989年の少女は佇んで――笑う 血に染まるラストシーン 刹那のパレード 水の中のナイフが揺らいで 救済…

北村灰色
1か月前
12

13度以上14度未満

――5月31日水曜日、存在しないはずの7限目。 「ストロー付き紙パック≒学生のリプトンティー」  偏頭痛みたく不意に脳裏にへばりつく、平平凡凡なパブリック・ゐメージに…

北村灰色
1か月前
15

薙刀ヲ解体スル少女ノ瞳

仄紅い水底、揺れる水彩色 秋の牢獄から脱獄した影が彷徨って 儚き季節は褐色肌の亡骸と化した 血塗れの刃先を寒風に晒したまま かつての無垢なる赫を嘲笑うことすら 誰に…

北村灰色
2か月前
13

サンキュー、前橋ポエトリーフェスティバル

 季節はずれの茹だるような暑さに覆われた土曜日に、前橋ポエトリーフェスティバルのメインイベントである、「ポエトリーリーディングin前橋文学館」に参加した。  文学…

北村灰色
2か月前
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前橋ポエトリーフェスティバルへの参加・出演

5月12日〜26日における、前橋ポエトリーフェスティバルに参加・出演するので、それらの告知を綴ります。 因みに本イベントの「ポエトリーリーディングin前橋文学館」では、…

北村灰色
2か月前
6

薄羽蜉蝣の記憶

血小板の夕餡が融解して 試験管に浸る糖は、致死量を超えて夜を忌避する。 心のシャッターに幽かに刻まれる爪痕 掻き毟るような死への欲動は、 浴槽に投げ込まれた造花が魅…

北村灰色
2か月前
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蝶尾出版『開かれた窓』 掲載のお知らせ

5月1日に蝶尾出版から発刊される『開かれた窓』に、私、北村灰色の原稿用紙詩画とスケッチブック詩画の2作品が掲載されます。 フルカラーとなっており、俺の強みの一つであ…

北村灰色
3か月前
7

59階のミッキーマウス

不可視の亡霊に浸された街は機械のドレスを纏う。好奇揺らめく瞳に注がれる、不明瞭のスピリタス。 全ての時計は針が歪んで……私は彼方から混線する、赤子と鴉の啼き声を…

北村灰色
3か月前
16

泡沫の花いちもんめ

炭酸水の雨が境界線上の蟻を拐かす 跳ね回る罠の甘美 溺れ痴れる漆黒 歩道の無垢なる長靴に穴が空いて 六歳の隊列の行進が乱れゆく 赤い靴、異人の右手 左手の痕跡に突き刺…

北村灰色
3か月前
10
百日紅四二八七

百日紅四二八七

猿の頚動脈絡まる汽笛の悲鳴
潰れた咽喉から滲む着色料
百日紅誤読重ね薄ぼんやりした視界と
赫のスカート散らばる轢死体
「わたし」の敗血と罪に染まる手すら
この世界を打擲する痛絶に意味を喪い
形而上/形而下の境界線も失い……
みずいろの陰翳に白磁の紅色が浮游する
決して傷むことのない水
決して塞がることのない傷
絆創膏の救命艇が足掻くままに
刹那の記憶すら__やがて柔らかに薄れて
この先が致命傷にな

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Broken Silence

Broken Silence

――目が覚めると、世界は静寂を喪っていた。
 オルゴールが永遠と鳴り響くメリーゴーランド、輪廻の果てに地上は見えず、視界を切り刻むのは、鳥たちが無垢に飛び交う碧色の空だけ。
 灰色の路上、裸足の花売り、裸のマッチ売り。
 此処には枯れゆく心、焦げつく足に祈りなどなく――人々は殺意に酔い痴れた車の下敷きになっても尚、その手に握り締めた造花を手放すことはない。
 淫らに散らばる花弁のような、或いは雪の

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9月のリプレイは存在しない

9月のリプレイは存在しない

6〜7月半ばで良い感じに描けた原稿用紙詩画を詩と共に上げてみる。あと、次なる詩画のアイデアについて少し。

凍土に眠る海塩、死、アイスクリームの季節
彼方蜃気楼揺らぐ 戦火 摂氏の花花
均一なる文字とパズルゲームが終幕して
色めき立つモノクロは意味を喪う
遺された硝子越しの現 33面以降の世界
眠り百合は解剖され、青い屋上が赫に染まる
リキュールの錠剤 実体のない鬼
鋼鉄の朝が引き裂く白いワンピー

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上毛かるたと鬼ころしと――

上毛かるたと鬼ころしと――

 土曜日は前橋アートスープにおける「詩人と手紙展」の朗読会だった。
 共演者や関係各位、観に来て下さった皆様ありがとうございました。
セトリは、
1、ポストに刻まれた記憶
2、13度以上14度未満(鬼ころし短編小説)
3、蝶を夢む(萩原朔太郎のカバー)
4、上毛かるた
(高砂部屋もといアートスープでの独り相撲ver.)
 変に弛れずに持ち時間きっちり、変幻自在且つ起承転結が終始キマっていたのもあっ

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サンキューzinphony&告知

サンキューzinphony&告知

 レベルブックス@rebelbooksjpにおける、6月29,30日のZINPHONY @zinphony_infoに初参加しました。
俺の「原稿用紙詩画」で構成した詩集『灰色ノ指先』は持参した半数、10冊の内5冊が売れた。
 30日は搬出時間より早く訪れ、他の方の作品を読んだり、場の雰囲気を味わっていたのだけれど、その時に目の前で『灰色ノ指先』を手にとって読んで買ってくれた方が。
 俺からフラン

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初詩集を販売します

初詩集を販売します

俺の原稿用紙詩画集『灰色ノ指先』を、zineのイベントである『zinphony』において、出展販売させて頂きます。
価格は500円で、全篇フルカラー且つ手触りや質感の好い紙を使用しています。
是非会場にお越し頂き、北村灰色の独創性や、オルタナティブな感覚に充ちた「原稿用紙詩画」で構成した詩集『灰色ノ指先』を手にとって頂ければ、本当に幸いです。

以下、イベント概要。
【ZINPHONY】

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網膜のゾアとアスピリン

網膜のゾアとアスピリン

白磁散りばめられし水色に
瞬冷の秋は微かな暖かみを帯びて
全ての風葬された遺体に
無垢なる祈りを捧げる
――無表情の海抜39.9が
ア_オの無い頸動脈を引き裂こうとも――
死を柔らかにいざなうモルヒネの笑み
炭化したアブサンの残り香
12月の空席/拐かされし太陽
オレンジ轢断した罪と罰の断片
網膜に浮游する春雷の幻惑
鼓膜に降る雨に、誰も傘を差しだすことは無く……
左手の機密、寝台の裏表とコイント

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Paradise Lost

Paradise Lost

失った靑 君がいざなうドアは暗く
水晶散らばる硝子越しにいつも
1989年の少女は佇んで――笑う
血に染まるラストシーン 刹那のパレード
水の中のナイフが揺らいで
救済無き紅が止血剤を打擲して
此処に刻まれた罪は、その肌を愛撫する
――月が蒼みを帯びて
メランコリアに溺れる
この先にはきっと誰もいない世界が
熱を摘出した紅茶の名前
アールグレイが真実の灰色を纏う時
白いドレスの指先は赤と青の楽園を

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13度以上14度未満

13度以上14度未満

――5月31日水曜日、存在しないはずの7限目。
「ストロー付き紙パック≒学生のリプトンティー」
 偏頭痛みたく不意に脳裏にへばりつく、平平凡凡なパブリック・ゐメージに否応無く操られてしまった。
 丸ノ内プラスティック、渇ききった不審者情報を偽装されそうな挙動、手の震え、時折多分白目。
 意思無し千鳥足の意味無き裸足に革靴=石田純一スタイルの俺が、通勤鞄に忍ばせている「鬼ころし」を、嬌声を上げて行軍

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薙刀ヲ解体スル少女ノ瞳

薙刀ヲ解体スル少女ノ瞳

仄紅い水底、揺れる水彩色
秋の牢獄から脱獄した影が彷徨って
儚き季節は褐色肌の亡骸と化した
血塗れの刃先を寒風に晒したまま
かつての無垢なる赫を嘲笑うことすら
誰にも止められなくて……
「咳ヲ縊スルルハトホキ秋ノユメ」
白痴の輪花が咲き踊り
薙刀を解体する少女の眼に蟻地獄宿る
無感動な警報と街灯は
未だに揺らめきを繰り返すから
蠶――__/-させなければならなかった
終わりの無い地図に隠された秘密

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サンキュー、前橋ポエトリーフェスティバル

サンキュー、前橋ポエトリーフェスティバル

 季節はずれの茹だるような暑さに覆われた土曜日に、前橋ポエトリーフェスティバルのメインイベントである、「ポエトリーリーディングin前橋文学館」に参加した。
 文学館には初の参戦にして、まさかの大トリを務めさせて頂くことになったという、とても楽しみな反面、否応なく緊張が何重にも重なる立場だった。
 けれど、演者も観覧者も多くの人が、俺に対して親しみを持って接したり話しかけたりしてくれて、本当に嬉しか

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前橋ポエトリーフェスティバルへの参加・出演

5月12日〜26日における、前橋ポエトリーフェスティバルに参加・出演するので、それらの告知を綴ります。
因みに本イベントの「ポエトリーリーディングin前橋文学館」では、僭越ながら大トリを務めさせて頂きます。

◎参加
自作短歌と私が撮った写真を組み合わせた作品を、市内の店舗に展示させて頂いております。拙作は角田時計店で観られるので、興味のある方は是非。
瑞々しい写真と、普段の作風とは異なる、穏やか

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薄羽蜉蝣の記憶

薄羽蜉蝣の記憶

血小板の夕餡が融解して
試験管に浸る糖は、致死量を超えて夜を忌避する。
心のシャッターに幽かに刻まれる爪痕
掻き毟るような死への欲動は、
浴槽に投げ込まれた造花が魅せる快楽と夢
呼吸を審判する水の中には
錆びることのないナイフが揺らいで__
彼方の警告音
泡沫に眠る雲に簪させば
不穏なる空はそっと刃先を奔らせる
不協和音の交響曲と鴉の断末魔
悲劇は足音もなく……
あまりにも澄んだ化学式を伴って、此

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蝶尾出版『開かれた窓』 掲載のお知らせ

5月1日に蝶尾出版から発刊される『開かれた窓』に、私、北村灰色の原稿用紙詩画とスケッチブック詩画の2作品が掲載されます。
フルカラーとなっており、俺の強みの一つである色彩感も堪能出来ると思います。
また、Amazonも含めた全国流通となり、様々な書き手の表現作品が読める文芸誌となっているので、是非手にとって読んで頂ければ幸いです。

https://twitter.com/tyoubi_co_10

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59階のミッキーマウス

59階のミッキーマウス

不可視の亡霊に浸された街は機械のドレスを纏う。好奇揺らめく瞳に注がれる、不明瞭のスピリタス。
全ての時計は針が歪んで……私は彼方から混線する、赤子と鴉の啼き声を虚構だと感じることができない__
艷やかなマーマレードが憂秋の牢獄から放たれた。
マ・マー・パスタの注射針
偽装型マーガリンと拳銃を抱えて
マーケット✠クレーマーと立入禁止の屋上
真新しいラストシーンが反映されないミニシアター
誰もいない1

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泡沫の花いちもんめ

泡沫の花いちもんめ

炭酸水の雨が境界線上の蟻を拐かす
跳ね回る罠の甘美
溺れ痴れる漆黒
歩道の無垢なる長靴に穴が空いて
六歳の隊列の行進が乱れゆく
赤い靴、異人の右手
左手の痕跡に突き刺さる安全ピン
遺影と花瓶の罅
入学式に砕け散った鼈甲飴
赤蟻の手錠を傍観する教員免許
赤を重ねた赫が齎すのはきっと――
罪を悔やめば花いちもんめ
君を殺めば花いちもんめ
包み紙に仕組まれた悪意と職員室
理科室のクロロホルムが記憶を融解

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