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百日紅四二八七

猿の頚動脈絡まる汽笛の悲鳴
潰れた咽喉から滲む着色料
百日紅誤読重ね薄ぼんやりした視界と
赫のスカート散らばる轢死体
「わたし」の敗血と罪に染まる手すら
この世界を打擲する痛絶に意味を喪い
形而上/形而下の境界線も失い……
みずいろの陰翳に白磁の紅色が浮游する
決して傷むことのない水
決して塞がることのない傷
絆創膏の救命艇が足掻くままに
刹那の記憶すら__やがて柔らかに薄れて
この先が致命傷にならない傷だとしたら
私はもう――
終着点無き滑り台は錆びて
三番街の幽霊の子どもたちの出血は
いつか無邪気さを喪い凝固して
七月の夢幻は綿飴の如く
包帯揺らめく白南風と共に消えていった
藍色ノ四二八七開く
油絵に齎す炎熱も無く
揺らぐ漣攫う四五九一五六四
うつろなわたしがゆうきてきにしんだとうじょうせんえんせんがいけんがいのふみきりよみじでゆれる
「百日紅ハ」
まぎれもなくうつくしくあなたのようなわたしのれいあんしつのはだをすこしばかりあかくそめたんだ

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