北村灰色

詩や小説、短歌、詩画、朗読、詩画。 器楽・即興演奏、宅録等で表現している。 「文芸思潮…

北村灰色

詩や小説、短歌、詩画、朗読、詩画。 器楽・即興演奏、宅録等で表現している。 「文芸思潮」現代詩賞 第十四回・十九回奨励賞、第十八回・優秀賞 ブックショート2015 12月期 、2016 3月 優秀作品等々 問い合わせは、k.haiirosan1222@gmail.comへ

最近の記事

Broken Silence

――目が覚めると、世界は静寂を喪っていた。  オルゴールが永遠と鳴り響くメリーゴーランド、輪廻の果てに地上は見えず、視界を切り刻むのは、鳥たちが無垢に飛び交う碧色の空だけ。  灰色の路上、裸足の花売り、裸のマッチ売り。  此処には枯れゆく心、焦げつく足に祈りなどなく――人々は殺意に酔い痴れた車の下敷きになっても尚、その手に握り締めた造花を手放すことはない。  淫らに散らばる花弁のような、或いは雪のような色彩。彼らはきっと、救いようのない愛と憎悪に溺れているだけ。そう、鳥葬され

    • 9月のリプレイは存在しない

      6〜7月半ばで良い感じに描けた原稿用紙詩画を詩と共に上げてみる。あと、次なる詩画のアイデアについて少し。 凍土に眠る海塩、死、アイスクリームの季節 彼方蜃気楼揺らぐ 戦火 摂氏の花花 均一なる文字とパズルゲームが終幕して 色めき立つモノクロは意味を喪う 遺された硝子越しの現 33面以降の世界 眠り百合は解剖され、青い屋上が赫に染まる リキュールの錠剤 実体のない鬼 鋼鉄の朝が引き裂く白いワンピース 此処に彷徨う清廉な色は、きっと…… 下弦の彼岸花が太陽を覆う 暗幕に揺らめ

      • 上毛かるたと鬼ころしと――

         土曜日は前橋アートスープにおける「詩人と手紙展」の朗読会だった。  共演者や関係各位、観に来て下さった皆様ありがとうございました。 セトリは、 1、ポストに刻まれた記憶 2、13度以上14度未満(鬼ころし短編小説) 3、蝶を夢む(萩原朔太郎のカバー) 4、上毛かるた (高砂部屋もといアートスープでの独り相撲ver.)  変に弛れずに持ち時間きっちり、変幻自在且つ起承転結が終始キマっていたのもあって、良かったという旨の感想も幾つか頂けて嬉しかった。  因みに最初に演った「ポス

        • サンキューzinphony&告知

           レベルブックス@rebelbooksjpにおける、6月29,30日のZINPHONY @zinphony_infoに初参加しました。 俺の「原稿用紙詩画」で構成した詩集『灰色ノ指先』は持参した半数、10冊の内5冊が売れた。  30日は搬出時間より早く訪れ、他の方の作品を読んだり、場の雰囲気を味わっていたのだけれど、その時に目の前で『灰色ノ指先』を手にとって読んで買ってくれた方が。  俺からフランクに話しかけたら、特に絵を凄く褒めて下さり嬉しかった。絵が本業で表現している人の

        Broken Silence

          初詩集を販売します

          俺の原稿用紙詩画集『灰色ノ指先』を、zineのイベントである『zinphony』において、出展販売させて頂きます。 価格は500円で、全篇フルカラー且つ手触りや質感の好い紙を使用しています。 是非会場にお越し頂き、北村灰色の独創性や、オルタナティブな感覚に充ちた「原稿用紙詩画」で構成した詩集『灰色ノ指先』を手にとって頂ければ、本当に幸いです。 以下、イベント概要。 【ZINPHONY】 https://twitter.com/zinphony_info?t=eVUzoo7

          初詩集を販売します

          網膜のゾアとアスピリン

          白磁散りばめられし水色に 瞬冷の秋は微かな暖かみを帯びて 全ての風葬された遺体に 無垢なる祈りを捧げる ――無表情の海抜39.9が ア_オの無い頸動脈を引き裂こうとも―― 死を柔らかにいざなうモルヒネの笑み 炭化したアブサンの残り香 12月の空席/拐かされし太陽 オレンジ轢断した罪と罰の断片 網膜に浮游する春雷の幻惑 鼓膜に降る雨に、誰も傘を差しだすことは無く…… 左手の機密、寝台の裏表とコイントスの反転 「網膜のゾアが選択肢を迫る 」 模型と化した空虚なる都市の一角 「人形

          網膜のゾアとアスピリン

          Paradise Lost

          失った靑 君がいざなうドアは暗く 水晶散らばる硝子越しにいつも 1989年の少女は佇んで――笑う 血に染まるラストシーン 刹那のパレード 水の中のナイフが揺らいで 救済無き紅が止血剤を打擲して 此処に刻まれた罪は、その肌を愛撫する ――月が蒼みを帯びて メランコリアに溺れる この先にはきっと誰もいない世界が 熱を摘出した紅茶の名前 アールグレイが真実の灰色を纏う時 白いドレスの指先は赤と青の楽園を 無邪気に忘れてゆくから……

          Paradise Lost

          13度以上14度未満

          ――5月31日水曜日、存在しないはずの7限目。 「ストロー付き紙パック≒学生のリプトンティー」  偏頭痛みたく不意に脳裏にへばりつく、平平凡凡なパブリック・ゐメージに否応無く操られてしまった。  丸ノ内プラスティック、渇ききった不審者情報を偽装されそうな挙動、手の震え、時折多分白目。  意思無し千鳥足の意味無き裸足に革靴=石田純一スタイルの俺が、通勤鞄に忍ばせている「鬼ころし」を、嬌声を上げて行軍中の女子中学生愚連隊の眼前に躍りでて、徐ろに差し出す。 「イコールってequal

          13度以上14度未満

          薙刀ヲ解体スル少女ノ瞳

          仄紅い水底、揺れる水彩色 秋の牢獄から脱獄した影が彷徨って 儚き季節は褐色肌の亡骸と化した 血塗れの刃先を寒風に晒したまま かつての無垢なる赫を嘲笑うことすら 誰にも止められなくて…… 「咳ヲ縊スルルハトホキ秋ノユメ」 白痴の輪花が咲き踊り 薙刀を解体する少女の眼に蟻地獄宿る 無感動な警報と街灯は 未だに揺らめきを繰り返すから 蠶――__/-させなければならなかった 終わりの無い地図に隠された秘密と血痕 逢魔染の介錯、薙刀に塗られた隠蔽も__ そう、廻間の積み木遊びは蒼白さに

          薙刀ヲ解体スル少女ノ瞳

          サンキュー、前橋ポエトリーフェスティバル

           季節はずれの茹だるような暑さに覆われた土曜日に、前橋ポエトリーフェスティバルのメインイベントである、「ポエトリーリーディングin前橋文学館」に参加した。  文学館には初の参戦にして、まさかの大トリを務めさせて頂くことになったという、とても楽しみな反面、否応なく緊張が何重にも重なる立場だった。  けれど、演者も観覧者も多くの人が、俺に対して親しみを持って接したり話しかけたりしてくれて、本当に嬉しかったしありがたくて、イベントが進むにつれてその緊張は徐々に解れていく。  実は数

          サンキュー、前橋ポエトリーフェスティバル

          前橋ポエトリーフェスティバルへの参加・出演

          5月12日〜26日における、前橋ポエトリーフェスティバルに参加・出演するので、それらの告知を綴ります。 因みに本イベントの「ポエトリーリーディングin前橋文学館」では、僭越ながら大トリを務めさせて頂きます。 ◎参加 自作短歌と私が撮った写真を組み合わせた作品を、市内の店舗に展示させて頂いております。拙作は角田時計店で観られるので、興味のある方は是非。 瑞々しい写真と、普段の作風とは異なる、穏やか且つ柔らかな歌となっています。 ・『風』の詩と写真街なか展覧会 会場:前橋中央

          前橋ポエトリーフェスティバルへの参加・出演

          薄羽蜉蝣の記憶

          血小板の夕餡が融解して 試験管に浸る糖は、致死量を超えて夜を忌避する。 心のシャッターに幽かに刻まれる爪痕 掻き毟るような死への欲動は、 浴槽に投げ込まれた造花が魅せる快楽と夢 呼吸を審判する水の中には 錆びることのないナイフが揺らいで__ 彼方の警告音 泡沫に眠る雲に簪させば 不穏なる空はそっと刃先を奔らせる 不協和音の交響曲と鴉の断末魔 悲劇は足音もなく…… あまりにも澄んだ化学式を伴って、此処に。 いつか、「解放されてしまった理科室」 切り裂かれた季節は血を抑えることな

          薄羽蜉蝣の記憶

          蝶尾出版『開かれた窓』 掲載のお知らせ

          5月1日に蝶尾出版から発刊される『開かれた窓』に、私、北村灰色の原稿用紙詩画とスケッチブック詩画の2作品が掲載されます。 フルカラーとなっており、俺の強みの一つである色彩感も堪能出来ると思います。 また、Amazonも含めた全国流通となり、様々な書き手の表現作品が読める文芸誌となっているので、是非手にとって読んで頂ければ幸いです。 https://twitter.com/tyoubi_co_1020/status/1785086646700085534?t=VHqK3VoE

          蝶尾出版『開かれた窓』 掲載のお知らせ

          59階のミッキーマウス

          不可視の亡霊に浸された街は機械のドレスを纏う。好奇揺らめく瞳に注がれる、不明瞭のスピリタス。 全ての時計は針が歪んで……私は彼方から混線する、赤子と鴉の啼き声を虚構だと感じることができない__ 艷やかなマーマレードが憂秋の牢獄から放たれた。 マ・マー・パスタの注射針 偽装型マーガリンと拳銃を抱えて マーケット✠クレーマーと立入禁止の屋上 真新しいラストシーンが反映されないミニシアター 誰もいない10階のスクリーンを夢遊病みたく彷徨う 淑やかに、甘美を帯びたまま―― やがて偽装

          59階のミッキーマウス

          泡沫の花いちもんめ

          炭酸水の雨が境界線上の蟻を拐かす 跳ね回る罠の甘美 溺れ痴れる漆黒 歩道の無垢なる長靴に穴が空いて 六歳の隊列の行進が乱れゆく 赤い靴、異人の右手 左手の痕跡に突き刺さる安全ピン 遺影と花瓶の罅 入学式に砕け散った鼈甲飴 赤蟻の手錠を傍観する教員免許 赤を重ねた赫が齎すのはきっと―― 罪を悔やめば花いちもんめ 君を殺めば花いちもんめ 包み紙に仕組まれた悪意と職員室 理科室のクロロホルムが記憶を融解して 匿名の新聞記事を延々と校正する。 「音素文字の壱参」 彼のかくれんぼは鬼の

          泡沫の花いちもんめ

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          北村灰色による詩画 三選

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