泡沫の花いちもんめ
炭酸水の雨が境界線上の蟻を拐かす
跳ね回る罠の甘美
溺れ痴れる漆黒
歩道の無垢なる長靴に穴が空いて
六歳の隊列の行進が乱れゆく
赤い靴、異人の右手
左手の痕跡に突き刺さる安全ピン
遺影と花瓶の罅
入学式に砕け散った鼈甲飴
赤蟻の手錠を傍観する教員免許
赤を重ねた赫が齎すのはきっと――
罪を悔やめば花いちもんめ
君を殺めば花いちもんめ
包み紙に仕組まれた悪意と職員室
理科室のクロロホルムが記憶を融解して
匿名の新聞記事を延々と校正する。
「音素文字の壱参」
彼のかくれんぼは鬼の