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59階のミッキーマウス

不可視の亡霊に浸された街は機械のドレスを纏う。好奇揺らめく瞳に注がれる、不明瞭のスピリタス。
全ての時計は針が歪んで……私は彼方から混線する、赤子と鴉の啼き声を虚構だと感じることができない__
艷やかなマーマレードが憂秋の牢獄から放たれた。
マ・マー・パスタの注射針
偽装型マーガリンと拳銃を抱えて
マーケット✠クレーマーと立入禁止の屋上
真新しいラストシーンが反映されないミニシアター
誰もいない10階のスクリーンを夢遊病みたく彷徨う
淑やかに、甘美を帯びたまま――
やがて偽装の柑橘が果汁を喪い、
ぶっ壊れたトースターが、黴びた16を刻み始める……
……焼け焦げたトースト融解して、青ざめていた筈の世界の頬は紅みと死化粧を帯びた。
幽かに飛び降りた「59階のミッキーマウス」
浮游するのは羽根を喪った鴎だけかもしれないと、あの日の黒猫は酩酊のままに証言する。
ヘッドライト消えた車道、
揺らめく着ぐるみの血、
Closeの看板はいつまでも降ろされること無く其処に――

Detoxification Honey
「コールガールアルコールアンコールワットスパンコールタールコールターキーブランキークランキートランキライザーファッキンライザップドリームポップコーンライクストライクウィッチーズギャラガーリアルリアムタイムアップタップサックファックトークボックスクラックスデトックスサーカス」

遷ろう万華鏡、罅割れたパノラマに右眼を焦がす。冷たい虹、空のカケラ、深淵からの__
薄らいでゆく意識の霧。血の痕すら隠されし硝子の世界で、いつか指先から剥がれるマニキュアの刹那に気づくことができるのだろうか?

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