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コピーライティングにおける「書く」ということ。

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せっかくなので、広告文(コピー)を切り口に、「書くこと」を見つめてみました。 noteであまり見ない「文体」についても考察します。
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#ライティング

5つのトーンで「枕草子」_文章のトーンを変える(5)社史の文体で

5つのトーンで「枕草子」_文章のトーンを変える(5)社史の文体で

「文章のトーンを変える」5回目は、
これまで通り「枕草子」現代語訳を
原文(一般的な現代語訳を私的にアレンジ)に、
「社史」のトーンで書いた。

社史とは文字通り会社の歴史で、
一般的には10年、20年、30年などの節目の年に刊行する。
ライターが書く場合が多いと思われ、
純粋にコピーライターの仕事という訳ではないが、
私はこれまで5社の社史を書き、
業界トップの某社50周年史では、
現社長への2

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文章のトーンを変える(4)話し言葉で_4トーン比較

文章のトーンを変える(4)話し言葉で_4トーン比較

「文章のトーンを変える」4回目は、
これまで通り「枕草子」現代語訳を
原文(一般的な現代語訳を私的にアレンジ)に、
女性の口語体に変えて書いてみた。

コピーライターの仕事で言えば、インタビューを行わずアンケートへの
回答をもとに、これを想像で補いながら話し言葉に変換して書くことが
ある。ここでは、その工程を「枕草子」の書き言葉をもとに実践してみる。

既に(1)やさしく(2)硬質に(3)ドキュメ

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リライト論[第二章]リライトの定義(1)トーンを変える

リライト論[第二章]リライトの定義(1)トーンを変える

広告制作におけるリライトとは本来、「元となる一つの文章を(1)内容は変えずにトーンを変える。(2)内容は変えずに字数を変える(増減する)。(3)内容は変えずに文章を整える。(4)内容は変えずに一定の情報を削除あるいは追加して文章を変える。」。

以上であると考える。ここで重要なのは「元となる一つの文章」という点だ。複数の文章ではない。ある別の人物(あるいは自身の場合もある)が書いた、元となる一つの

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リライト論[第四章]リライトの定義(3) 文章を整える。

リライト論[第四章]リライトの定義(3) 文章を整える。

定義(3)「内容は変えずに文章を整える」は、下書き的な文章を提供されて、それをよりよい文章として整えるリライトだ。例えば、クライアントの社員の方が書かれた文章を日本語として整えるケースがある
今回の基本文はこれまでと異なり、実際に刊行された某フリーペーパーの
7年前の文章を、字数調整した以外ほぼそのまま提示する。リライトの
前後に、よりリアルな感覚を出すためだ。
文字数は定義(1)(2)と変わらず

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リライト論[第三章]リライトの定義(2)字数を変える

リライト論[第三章]リライトの定義(2)字数を変える

次の定義(2)「内容を変えずに字数を変える(増減する)」ケースは、
最も一般的なリライトである。
まず、下記の166文字の基本文を116文字(約70%) に減らして
リライトしてみる。

★基本文(元となる一つの文章)
日本の風土と時代に適した住まいをつくり続けてきたXY住宅の技術を、
日本社会がいま直面する超高齢化という課題のために広く役立てて
いきたい。 ゴールド住宅「PLENTI」は、私達の

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リライト論[第五章]リライトの定義(4) 一定の情報を追加・削除して文章を変える。

リライト論[第五章]リライトの定義(4) 一定の情報を追加・削除して文章を変える。

一文を削除し文章を変える4つのリライトの定義の最後「定義(4)内容は変えずに一定の情報を削除あるいは追加して文章を変える。」である。
定義(4)は、定義(2)における文章を増減する指示に“ある条件が付く”
場合とも言えよう。作業内容自体は変わらないが、削除する内容が
規定されているだけに、リライト後の整合性を図るのに作業時間はかかる。

※よろしければ、これまでの章をお読みいただいてから

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■リライト論[第六章/最終章]リライトの定義(5) 元の文章はあっても「リライト」とは呼べない作業。

■リライト論[第六章/最終章]リライトの定義(5) 元の文章はあっても「リライト」とは呼べない作業。

さて、「リライト論」の最後は(『書き直す』という意味の)リライトと称してオーダーされるケースで、論理的にも「リライト」とは認められない場合だ。

※その前に、これまで「リライト」について述べてきた第五章までのリンクを下に。
一つひとつ独立しているので、特に第五章までを読まないと最終章が分からないということはありませんが、興味のある章があればぜひ。

●リライト論[第一章]「リライト」について

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