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Nakano Nanae
2024年2月11日 19:00
映画を観ましたそれは希望をなくした二人のロードムービーいつ死んでもいいと思いながらどこか分からない場所を列車で走る終点に着いたら今度は車を盗んでまた走るもしも一人だったらまだあの町にいてなんとか暮らしていたかもしれないなでもあなたがいたからここまで来てしまった氷みたいに透き通った目をしているそんな映画を観ました
2023年12月25日 18:57
100人いたら90人は同じようにやるだろう5人は変わり者だと笑われ3人は金持ちになりあとの2人は今も行方知れずあのことを告白するのはもう少し後にするよ雨が埃を流した頃ぬかるみにそっとつける足跡のように君が私を忘れた頃その髪をなでる風のように
2023年12月16日 21:20
君の町の海は宝石みたいに輝く緑色でこの町の海は見慣れた灰色知らない人が人気者になってすぐに忘れられていった少しだけ信じていたあの予言が当たっていた世界のことを考えてみる「小説は読まない。だって全部嘘だから。」そう言いながら 私の話はいつも聞いてくれたね全部嘘かもしれないのに
2023年8月27日 22:04
夢の中で卵を買ったら全部割れていた薄着の女の人が同情してリンゴを一つくれた懐かしくなんかないあれからずっと食欲もないし「気にしなくていいよ」「誰も悪くないよ」本当にそうかな蒲公英の黄色だけじゃ太陽の代わりにはならなくて今年の春は嘘みたいに寒かった君のいる場所はもっと暖かければいいんだけど
2023年8月3日 19:51
いつのまにか月が沈んでいるずっと空ばかりを見ていたはずなのに春に散るのは桜だけじゃない夏に死ぬのは蝉だけじゃないそんな当たり前のことも忘れていたのと怒られそうだ金星が駄目になったなら次は火星でいいよ、とか言ってしまえるこの世界に君はがっかりしただろうかそれとも少し眠りたかっただけ?いつのまにか月が昇っている私はまだ空ばかり見ている
2023年6月29日 23:02
あせらずゆっくりいこうよと赤く光る星が言う僕らはもう どろどろと指先から溶けはじめているのにはやくあっちへいこうよと白く光る星が言う僕らはもう がらがらと足元から崩れ出しているのに赤い星の表面温度は三千度白い星の表面温度は一万度だってさこの生ぬるい青い星にももうすぐ夏が来る
2023年5月20日 22:35
その時、十字路の真ん中に一匹の猫がいて、こちらを見ていることに気づいた。猫の瞳は不安そうに揺れていて、四本に伸びる道のどこへ行くべきかと、立ち尽くしているように思えた。「ねえ、見て。あの猫も、道に迷ってしまったのかな。」僕がそう言うと、彼は呆れたように大袈裟にため息をついてから言った。「違うよ。猫は迷子にはならない。君と一緒にするなよ?」
2023年5月11日 22:19
絵の具が乾くまでのただ待つことしか出来ない時間に考える君が好きな色は青と黄色と あと何色だったっけごみだと思って捨てようとしたら小さな花びらだった誰にも言ってはいけない気がした君が好きな色は白と紫とピンクとあと一つだけ 思い出せない
2023年5月10日 19:04
つまらない話に笑わずにいられた時誰かのためにきちんと嘘をつけた時いつも君を思い出す愛の種類なんてひとつしかないと思っていたけどそういえば今日時計を見た瞬間に5:55になったんだなんの意味もないけどなんか美しかった
2023年3月11日 22:04
いつのまに髪を切ったの全然知らなかったし君ならあんな服は着たくないはずだと思っていた思い出せないことは思い出せないままにしておきたいたとえるなら水星と金星が駆け落ちしたせいで太陽に一番近くなってしまった地球嘘のほうがいつも優しくてそれはそれは悲しいけど忘れものを思い出せた僕は運が良いのだと思うことにするよ
2023年2月27日 20:36
彼氏面でも被害者面でも好きな顔をすればいいよ化けの皮を剥がすのが好きな人たちとそのための皮を被っている人たち新しいカップでコーヒーを飲んだら驚くほど美味しくなくてくやしいから世界で一番幸せそうに生きようと思ったあの頃とは違う風景になっても土の下には同じものが埋まっているあの頃とは違う顔をしている君の瞳に同じ涙
2023年2月23日 21:33
赤と白のお祭りの日私たちはみんなみずみずしい双葉みたいにだれの区別もつかなかった速く走りすぎる車に乗って人々は置き去りにされたことも知らずにいる美しい景色が見たかったわけじゃないただ自分の足で歩きたかった誰も知らない向こう岸まで
2023年2月15日 20:12
締め付けない下着シャンプーの香り余った太陽の光私たちはよく似ていると思っていたけどそうでもなかったみたい花束を買ってはいけませんここでアイスを食べないでください今日だけは見逃してあげます
2023年2月11日 23:29
子どもが歌っている大人も歌っている短いズボンを履いた人も長いブーツを履いた人も歌っている君がいなくなってしまう本当の理由は元の世界に帰らないといけないから月に帰っていったお姫様みたいにそうでしょ?泳ぎ続けなければ死んでしまう魚死んでしまうあなたと私流れていつか海に出て蒸発して雨になって気づいたらまたひとつの白い波