【詩】猫は迷子にならない

その時、十字路の真ん中に一匹の猫がいて、こちらを見ていることに気づいた。

猫の瞳は不安そうに揺れていて、四本に伸びる道のどこへ行くべきかと、立ち尽くしているように思えた。

「ねえ、見て。あの猫も、道に迷ってしまったのかな。」

僕がそう言うと、彼は呆れたように大袈裟にため息をついてから言った。

「違うよ。猫は迷子にはならない。君と一緒にするなよ?」





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