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随筆

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#現代アート

【観劇レヴューのようなのもの】「アイカとメグミ」演劇ユニットゆめのあと

【観劇レヴューのようなのもの】「アイカとメグミ」演劇ユニットゆめのあと

ケンジたちは普通列車のボックス席に座っている。車内は早い夕方だが、土曜ということもあってそれなりに混雑。ケンジたちの座った目の前には姉妹らしき20代のふたりがスペースにちょうど良く横並びになって前歯のように並んで座っている。窓の外にはケンジの写し絵と、止まったままの景色が見える。電子車掌が抑揚のない声で出発のアナウンスをする。プシュ~ッと音を立ててドアが閉まる。動き出す車窓。時空の旅が始まる。

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芸術作品としての『らんど』

芸術作品としての『らんど』

ここで言う芸術作品とは、商業主義一切抜きで、かつ受け手のことをあえて考えない、純粋に自分自身に向けられて作られたARTのことを指す。しかし、この芸術作品『らんど』(2024年1月24日発売)を生み出す時点でZAZEN BOYSは少なくとも稼ぐためにやっているのだろうし、リスナーのことだって意識して考えているはず。それでも、根底にあるのはビジネスでもファンサービスでもなく、自己探検だとわたしは確信し

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透明から永遠。

透明から永遠。


待ちに待ちすぎた!

《向井秀徳が少女だ。》
ZAZEN BOYS『永遠少女』を聴いてそう思う、聴き重ねる度にその思いは強くなるばかり。

12年も待たされた。
でも、待った甲斐があった。新曲のタイトルが『永遠少女』と来れば、『透明少女』という魔法のような曲を思い出さずにはいられない。あれから四半世紀経とうとしているが、『気づいたらオレは夏だった!!』という歌詞の鮮度は冷凍保存されたようにフレッ

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なぜ今、若者たちは強盗するのか?

なぜ今、若者たちは強盗するのか?

それは舐達麻のせいじゃないかと、本気で考えている。

舐達麻と書いて《なめだるま》、彼らは3人組のヒップホップグループだ。本気で音楽好きの若者なら、その名を知らない者はいないと思う。彼らの魅力は大麻や強盗といった犯罪のリアリティにある。過去には強盗後にパトカーに追われ、140km/hで逃走したが、車はコンクリートに突っ込み、仲間の一人をその大事故で失なった。一方で現在進行形で大麻を自ら育て、売りさ

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妻にとっては、どーでもいい話。

妻にとっては、どーでもいい話。

カマシ・ワシントンと去年の夏に出会って、ずっと飽きずに聴いているわけですが、名盤(「お前が言うな」)『HEAVEN AND EARTH』(2枚組/2018年)に隠しディスクがあることが判明。ファンの方からしたら「何を今さら」と笑うのでしょうが、CDジャケットは棚に大事にしまって、車にディスクを積む主義のわたしは、気づきませんでしたよ。たまたまアマゾンで「『HEAVEN AND EARTH』数量限定

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マーケティングなんてクソだな、そうだな。

マーケティングなんてクソだな、そうだな。

今日の午前中、何を血迷ったか、書店の《マーケティング》コーナーで本を物色していた、わたし。加えて、スマホでは《マーケティング》に関する記事を開いていた、わたし……。



なんたる愚行!



わたし事ながら、らしくないことをしたよなあ。《ごーいんぐ・まい・うぇい》な生き方を信条にしているのに、マーケティングとはなんぞやって、日和るなんて、わたし、やっぱり病んでる……。



わたしのやれる

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沼った、困った。わたし、ゲイの才能ある?!

沼った、困った。わたし、ゲイの才能ある?!

20年以上振りにプリンス『Parade』を再聴しているわけだが、音がスカスカで、殿下らしいファンキーさがない!と憤っていた。だがしかし、繰り返し聴いていると◎な感じもしてくる。正直言って《愚作》とぶった斬ってここに書いてやろうと、半ば決心していたんだけどね。



いや、でもこのアルバムをサントラとする殿下監督作の映画『Under the Cherry Moon』は四半世紀経った今でも鮮烈に覚え

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小説を書こう

小説を書こう

これは人に勧めることじゃないかもしれない。でも楽しいから、書いてほしいと思うんだよね。人によっては苦しいと感じる人がいるかも。

実際、書くのは苦しいって言ってる友人だった人を知っている。その人とは「楽しく書くのはアマチュアのすること」云々で口論になったのだけれど、楽しいから書くんじゃん!っていう持論は今でもわたし、揺らいでいませんヨ。ホントに楽しいんだもの。

だって、自分の好きなように話を

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もっともっとわからない

もっともっとわからない

2回目観た。理解したいという気持ちからの観賞であったのだけれど、結局、謎が謎を呼んだ。わからないことがますます増えた。わたしは頭が悪い上に鈍感だから、ほかの人が理解しているところ、きっとできてない。例を挙げれば眞人が自ら石で頭を殴った場面、それと青鷺の正体そのものが、わからないままだ。

眞人の頭からどろどろと血が流れるシーンは鮮烈で強烈だったな。あれはナツコへの悪意だったのか、それとも父へのそれ

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てすとよこくてす

てすとよこくてす

2024年初頭よりこちらで小説公開してゆきます。
過去の作品は

をご覧ください。
よろしくをお願い致します。

映画『君たちはどう生きるか』は、わたしだけのために作られたっぽくね?

映画『君たちはどう生きるか』は、わたしだけのために作られたっぽくね?

閃きに近い感覚で良い予感がしたから、『君たちはどう生きるか』をふらっと観てきた。仕事帰り、一杯のつもりで飲み屋に行くようなフランクさで席に座ったが、ムズくて、なかなか手強かったな。でも、かなり興味深かった。難解だったし、だからこそ何回も観たいと、久しぶりに思える作品だった。一人で観て良かったな~。帰りの車の中で、脳内会議を行なって、感想を箇条書きにして、ざっくり洗い出せたから。でも、友だちと行って

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ひとりも好き

ひとりも好き

カネコアヤノさんがブリブリするくらい大好きです。バンド編成も最高素敵ですが、わたしはどちらかと言えば、弾き語りされている姿/声に心がユサユサ揺さぶられます。CD音源やライブでのバンド感も荒々しく、グルーヴ感もあります。

でもおひとりの演奏の方が、より*生々しくて、超*獰猛で、反対に淑やかで、かと思えばクセもあって、存在感際立ちます。《カネコアヤノ人間そのまんま》な感じがして、その味わい深い人間力

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