なかがわよしの

水が好き。ねこが好き。中の人はおじさん。本の匂いが好きです。あとは夏が好きでした。崩し…

なかがわよしの

水が好き。ねこが好き。中の人はおじさん。本の匂いが好きです。あとは夏が好きでした。崩した文法で日々を小説化。できるだけ毎日書きます。ますます文学に励みます。音楽を愛する、アイスすぎには注意が必要ですね。400字小説をライフワークにしつつ、長編小説を書いている。成功はしたくない。

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  • 朗読(叫びがち)

    叫んでます、注意。

  • 400字小説

    400字程度で書かれた小説たち。ライフワークであーる。2024年1月1日午前7時オープン!

  • 随筆

    音楽とか映画とか読書とか。

最近の記事

巻き舌な朗読

10分に詰め込んだ!

    • 【400字小説】悪魔はチャンス

      恋はチャンスで、チャンスは恋だってあのバンドが歌ってた。 30年前って自覚がなくて、時間は止まったまま。 記憶なんて置いてきっぱなしだから、 新しい思い出なんか出来ない。 それは白くて四角いか。 知的で素敵な詩を書いてみたい。 井上陽水がすごいことを知った、今さらだよ、50歳。 「ま~あだだよ!」ってあの人が言ったら 秘密基地に帰ろう。 ひとりでに書ける小説なんてないんだよ。 記憶を全動員して書いてる。 全部実話って書いたら 全員信じるからバカみたい。 長い小説は長いこと書

      • 振り切れなかった朗読

        少し遠慮が見られます。

        • 【400字小説】心の隙間、何で埋めてる?

          加齢で体力も顕著に落ちてきたし、 心にも余裕がなくなって来ていると公言。 その一方で心に虚しさがあることは誰にも言っていない。 それを事細かに言語化するのは不可能だから。 「膝が痛くてさあ」とか「高校生の娘が 学校行けてなくてね」とか 友人に口にする言葉はマイナスなことばかりだと オムライスを半分食べたところで気づいた。 「ごめん、愚痴しか言ってなくて」 「我々も年ですからネ。 いいことばかりありゃしませんよ」 友人はやさしい。 やさしすぎて鬱病になるくらい。 「唐突

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        記事

          血が喉からな朗読

          大いに笑ってください。

          血が喉からな朗読

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          【400字小説】無自覚な供給

          佐藤さんはド*ブスで旦那もブサイクでも、 笑って楽しい毎日だから《幸せ》でいいんだろう。 雑草がもりもり育ってきている わたしのうちの庭は、荒れ放題。 向かいの佐藤さんちの庭は整備されている。 2週間に1回はきちんと夫婦で 草刈りをしているのを見かける。 こんにちはって明るく声を掛けてくれるから 悪い気はしないが、蔑み、嫉妬して、 挨拶を返していた。 ある日、空き巣が佐藤さん宅に侵入して、 空き巣じゃなかった旦那さんは 容赦なく空き巣に襲われて腹部を刺されて重体。 命には

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          【400字小説】集中力は30分

          夕食前に素振りをするのが日課で、 去年もドラフト会議に俺の名前は 呼ばれるわけなかった。 大学まで野球を本気でやって、 一度もレギュラーになれなかった。 生涯打率1割5分。 ホームラン1本だけというのが誇りだ。 大谷翔平には興味がない! それは嘘でそんなふりをしている。 嫉妬で今にもバットをへし折ってしまいそうだ。 自慢できることはひとつ。 俺は社会人5年目になっても 野球を辞めていないし(お遊びの草野球だが)、 野球を始めてから一日たりとも 素振りを休んだ日はない。 5

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          【400字小説】寝ても寝てもやって来ない朝

          わたしのギターヒーローが急逝して、夜に。 0時をまわった頃にスマホに着弾。 嘘だろって記事を開くと間違いなく、亡くなっていた。 だからといって旧ツイッターで嘆いたり出来ない。 硬派な音楽しか聴かないと 認識されているわたしだから、 ダサい商業バンドのギターヒーローが好きだったなんて、 今さら打ち明けられない。 わたしだとわからないアカウントを 持っておけば良かったと後悔しても泣ききれない。 てゆうかギターヒーローの死で 涙が2分で涸れてるし。 悲しみの余り、冷蔵庫を覗いて、

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          【400字小説】決まり手は上手投げ

          誰もいないはずの駅に一人、ベンチで座ってたら、 向こう側のホームに変な女が立っていた。 鼻の穴の両方にキュウリをぶっ込んでいる長い髪の女。 片手によれよれのレジ袋。 よ~く見るとフライドポテトだった。 多分、冷凍庫から出してきたばかりの。 もう片方の手には開封されていない味噌を。 わたしは彼女と酒を酌み交わしたいと思い、叫んだ。 「おネエさん、奢るから酒でも飲んで、 嫌なこと忘れちゃおうぜ」 すると「鼻の穴にミッキーマウス突っ込んでやろうか!」と シャウトしたので性的に

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          【400字小説】杖をついている人を突き倒すくらいの怖さ

          去年の秋から転職して働き始めた職場が 居心地良すぎて、何か怖かった。 15人ほどの同僚はみんないい人だし、 仕事ができる人ばかりで、やさしくもあり、 ゾッとするくらいなんだよね。 年末の新人歓迎会の飲み会も愉快すぎた。 社長は丁寧な言葉選びをする人で、 誰にでも敬語で話す。 だからこそ怖くて、悪いことに見舞われる予感しかない。 そろそろ変な宗教に勧誘されるんじゃないかとか、 いよいよ経営が行き詰まって 唐突に倒産するんじゃないかとか、 勘ぐったり不安になったりするんだ。

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          【400字小説】ポールvsリンゴ

          【400字小説】ポールvsリンゴ 「ジョンの了承なしでリリースされたことに 憤慨ですヨ」と我妻さんは語尾こそ 《ヨ》にふさわしかったが、静かに怒っていた。 『NOW AND THEN』が発売されたのは 去年の秋だったのに、 春になった今でもしつこく怒っている。 「そもそもジョージがいないじゃんかヨ」って 居酒屋のBOSEのスピーカーにガンを飛ばし、 流れている『NOW AND THEN』に 睨みを利かせてる。 遠くないいつか、ビートルズの遺された メンバーも逝くだろう。

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          【400字小説】きみはどうしたいか

          娘がフライドポテトばかり食べていて、将来が心配。 母親だからわたしが健康的な 献立を考えなきゃいけないのにね。 「ポテト食べたい!」って言われると、 かわいそうになって、 冷凍のを揚げたりしてしまうのです。 思春期真っ盛りの彼女、 成長期まっしぐらの中学生。 (今は良い、取り返せるから……)って 意味不明な理由から、 乱れた食生活を許している。 つまり、わたし自身を許してるってこと。 ダメな母親だな。 きっと成人してから娘に 「なんてことしてくれたの!」って 怒られるんだ

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          【400字小説】恐れのフライパン返し

          音楽好きなら一度はチバユウスケになりたいと 憧れたんじゃないだろうか。 でも、なれはしないし、きみはきみで……、 って言わせんなよ。 「うまくひっくり返す自信がない」と 鉄板のお好み焼きを前にして弓香が。 ビールを早くも2杯飲んでいた俺だから、 こちらの方こそ自信がなくて 「ダメならダメでいいじゃん」と いい加減なことを言って逃げた。 自信を持つって大事で、 持てただけでパフォーマンスは 格段に違うって持論。 自信のない弓香を見て ひっくり返せないだろうなあと 思っていた

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          【400字小説】囚われの実

          小説が世に受け入れられればbest? 成功はしたくないんだ。 自分のしたいことがわからずにいる。 美容院の女性に恋するくらい 明確でわかりやすくはないみたい。 《自分らしく》に囚われて迷宮入り。 そんなことで足踏みしているようじゃ 芸術家にはなれない。 いや、ただ在る。 そうありたい。 生きてるって叫ぶ必要もないじゃないか。 世界にひとつだけの花じゃないさ。 宇宙を見渡しても、わたしはわたしで在るしかない。 どうしたら、その境地にたどり着けるのか。 それが求めている答え?

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          【400字小説】71と60

          最期の会話は「忘れろ」。 カーブした対向車線から車が飛び出して来て、 ぶつかる直前の言葉だった。 今考えてもなぜその言葉なのかわからない。 あの事故のことを忘れろってことか。 そう言えば、「突っ込んでくる!」と叫んだ俺に対して、 ヤツはやけに冷静に言ったんだ。 そのシーンに飽きた感じすらあった、振り返ると。 やっぱりあそこで自分が事故死することを悟っていたのか。 でも、だったら、わざわざあの国道を通らない と思うのが普通の見立てだ。 俺は命拾いして、でも精神をひどく病ん

          【400字小説】71と60

          【400字小説】知らない右手

          あの日、5階建てのマンションの屋上で ひとりゲリラライブを始めた@ド*平日。 『ゲット・バック』を演奏したのは、 ビートルズをオマージュして。 10分もしないうちに警察官がやって来て、 演奏を止めに入った。 ぼくがジョン・レノンだったら許されたかも。 でも、警察官たちはまだ若かったので、 ジョンのことを知らないかもしれないと 諭されている間、ずっと思っていた。 パトカーに乗せられることもなく、 機材を撤収したら許してくれた。 しかし、彼らが帰ってから5分もしないうちに、

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