なかがわよしの

水が好き。ねこが好き。中の人はおじさん。本の匂いが好きです。あとは夏が好きでした。崩し…

なかがわよしの

水が好き。ねこが好き。中の人はおじさん。本の匂いが好きです。あとは夏が好きでした。崩した文法で日々を小説化。できるだけ毎日書きます。ますます文学に励みます。音楽を愛する、アイスすぎには注意が必要ですね。400字小説をライフワークにしつつ、長編小説を書いている。成功はしたくない。

マガジン

  • This is 400字小説

    400字程度で書かれた小説たち。ライフワークであーる。 2020年4月11日より2023年12月31日まで 「なかがわよしのは、ここにいます。」(https://nkgwysn.exblog.jp/)で 毎日投稿するというストロングスタイルを 2024年1月1日からこちらにお引っ越しして継続中です。 いつまで続くのか、乞うご期待。 自分でも楽しみなのだ。

  • なかがわよしのの人生を支えた曲たち

    タイトルの通りです。不定期でアップします。媒体となる分厚い無地の文庫が文字で埋め尽くされるまで終わりません。

  • 朗読(叫びがち)

    叫んでます、注意。 (使用している機材はLINE6 DL4 MkⅡです。)

  • 随筆

    音楽とか映画とか読書とか。

最近の記事

【400字小説】素直になれない

子どもみたいな絵を描けなくなるのは辛いこと。詩だって小学生の頃は素直ないい詩が書けたけれど、大人になって不自由になっただけ。絵そのものは描かなくなった。絵も詩もあんなに大好きだったのに。ゲームにすら夢中になれない無趣味の女。レディオヘッドが好きだった元カレのことは忘れられないのに。 抱き合うことにだって執着しなくなった。50歳という大きな節目を迎えようとしている。すでにあの世に片足をツッコんでいるのか。正直、長生きは望んでいない。大音量で音楽聴けなくなるから。ああ、そうか。

    • 人生を支えた曲シリーズ/2

      • 人生を支えた曲シリーズ/1

        • 【400字小説】Daydreamingに名前はない

          一人息子を連れて、花があふれる公園へ行った。灼熱の太陽。息子の半ズボン。バカンスは取れない。忙しい毎日。公園には犬もいて、わたしたちと同じように母子で来ている人々が目立った。けたたましい勢いでママ友トークに笑い声を破裂させる母親たち。いつの間にか息子はほかの子どもたちとじゃれあっていた。肌が痛いのは凄まじい日差しのせい。今日もまたお酒飲んでしまうのかなあ。 公園のほとんどの花の名前を知らない。そもそも花には興味がないし、楽しむ余裕もなくてさ。滑り台を誰かのママが大人気もなく

        【400字小説】素直になれない

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        • This is 400字小説
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        • なかがわよしのの人生を支えた曲たち
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        • 朗読(叫びがち)
          140本
        • 随筆
          34本

        記事

          【400字小説】セックスだけが人生のすべてではないのだよ

          不穏な気持ちが止まらなくて、レモンちゃんにセックスを懇願。嫌々してくれて笑っちゃったなあ。 レモンちゃんは終わった後、Tシャツを着替えたのだけれど、それが不穏な色使いだったから、気持ちは鬱へ突き戻された。手紙の返事も書けないくらいに落ち込んだ。「もう一回して」だなんて言えなかったし、若いから何回でもできる自信はないこともないけれど、そういう時に限ってイップスを発揮するから、勃たなったかもね。 だからレモンちゃんのいい香りのする部屋を出て炎天下の夏に突撃。去年にも増して暑い

          【400字小説】セックスだけが人生のすべてではないのだよ

          【400字小説】いらないおくりもの

          「パパ、これあげる!」ってマツボックリをくれた娘も成長して、順調にわたしを敬遠するように。高校生になったばかりと思っていたのに、大学受験生に巻き込まれた。カラオケに行きまくっているのは逃避行?非行に走らなかっただけマシか。でも、ヤンキーになっても娘は自分の愛する娘だからloveできたな、本心? しばらくしたら、婚約者を連れて家に襲撃にやってきそうだな。あと10年後くらいかとか余裕こいてたら、アポなしで彼氏を連れてきた。「まさか結婚のあいさつ?」だなんて思いもしなかったけれど

          【400字小説】いらないおくりもの

          【400字小説】流星☆少女

          彼女は営業の天才で、月に何件も契約を獲得したり。また20歳だっていうのに、20年勤務のわたしを追い越した。ううん、スタートラインに立った時点から先を行ってた。嫉妬してもおかしくないのだけれど、あまりに見事すぎて拍手しちゃうほど。わたしは同性ながら彼女のファン、遠い遠い存在のアイドル。若くしてキャリアウーマンだから、奢ったりしてもおかしくはないのだけれど、素直さも持ち合わせていて無敵だ。「トイレってどう掃除すればきれいにできますかねえ」とか「初めての彼氏にプレゼントするんですけ

          【400字小説】流星☆少女

          【400字小説】恋愛という名の落書き

          フラれにフラれまくった10代後半。だから20代前半は恐れて自分から恋をしなくなった。一転、20代後半は、超*肉食に変わって、みっともないほどだったけれど、おかげさまで27歳で童貞を卒業。「初めてだったの?」ってバカにされたのは、ご愛敬ってものだ。 「初めて見た映画は『スターウォーズ』だった」 「わたしは『ゴールキーパーの孤独』」 愛していたのに、その会話から嚙み合わない運命を感じてしまった。なのに性欲に負けて、ボクはずるずると彼女と過ごした。 30代最初の日に結婚。子ど

          【400字小説】恋愛という名の落書き

          【400字小説】あなたはわたしなの?そうでしょう?

          読んだことがあるのは書いた記憶があるせいなの。気づいてる? わたしのふりをしないで。自分のままでいて。でも、そうしないのがあなたらしさ? 校庭のど真ん中で待ってる。「わたしはあなた!」って叫んでみようかな。聞こえるかな? ドシャ降りで聞こえないかも。でも愛は届くよ。自分自身を愛しなさい。信じてるって言えよ。言えない? 「遺影はイエ~イ」ってピースサイン? 何度言ったらわかるのさ。不謹慎にもホドがあるんだ。すべてを忘れて、生きているのか。聞いたことも見たことも口にした

          【400字小説】あなたはわたしなの?そうでしょう?

          【400字小説】読めないTシャツ

          目が悪いのでなんてプリントしてあるのかあまり見えなかった。ただし、洒落た書体が存在感をアピールしているのは感じられた。「Tシャツカッコいいね」と言うと友だちは「そう? どっちかっていうと、かわいいじゃない?」と疑問を呈した。幸い気分は害してない様子。 それで「そうか、かわいいか、そうか、そうか」と僕は言葉を濁して、友だちに教えてもらったモーターヘッドというバンドについて感想を述べることに話題を移した。「カッコ良すぎて爆笑しちゃった」すると「これ、モーターヘッドのTシャツだよ

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          【400字小説】白昼夢、もうたくさん

          今朝、知らない男の人が夢に出てきた。その人が電車の向かいの席に座っていた。デジャヴュかと思う間もなく、おもむろに男は立ち上がって何かを赤いシャツのポケットから取り出した。すぐにピストルだとわかったけど、次の瞬間になる前に、激痛が腹部を襲った。痛い、痛い、とても痛い。遠くで悲鳴が聞こえる。腹を押さえた手のひらを見たら血だらけで意識が遠のいた。 気がついたら知らない天井。瞬間的に撃たれたことを思い出す。すると「目が覚めましたか?」と女性看護師が。「病院か」と思ったのと同時に叫び

          【400字小説】白昼夢、もうたくさん

          【400字小説】滲む愛、騙し合い

          アートな人になって、あなたたちをあっと言わせたかった、過去。今はそんな欲望もないなあ。自分だけ楽しめればいいかなって描いている。 何度も公募にチャレンジしたけれど、どこにも認められなかったし、誰にも見つけ出してもらえなかった、そんな考えは甘かった。 描くのが好きという気持ちを滲ませればいいんだ。自己顕示欲とかナントカカントカを捨てて素直に描けたら、絵画への愛が滲むんだろう。 それでもコンペティションの場は騙し合いなのだろうから、審査員を出し抜いてまで、認められたいとは思

          【400字小説】滲む愛、騙し合い

          【400字小説】バカ!

          カナオのギターも壊せなかった。「バカ!」って言うのが精一杯で部屋を飛び出した。カナオは追いかけてこなかった。それで良かった。13度目の浮気だったから、愛想を尽かした。部屋をめちゃくちゃにしてやれば良かったって、悔しくもならなかった。 何がレスポールさ、何がテレキャスさ。わたしにとっては同じギターにしか見えない。「目が腐ってるね」って冗談でも傷ついた。カナオの女グセの悪さには呆れ果てた。美女に鼻の下を伸ばすわかりやすい男が浮気しちゃいけない。騙すならわからないように騙す覚悟を

          【400字小説】バカ!

          【400字小説】彼女は求めない

          ミツリちゃんの性的防御はウェンビーのディフェンスのように堅かった。だから、夕飯を彼女の部屋で食べたにも関わらず、朝まで何もできず。 チャンスは『カリオストロの城』を観ながら彼女が眠った時だったけれど、あまりにも無防備だったし、気を遣ってしまった。それで、結局、ボクも寝落ちしちゃって、気がついたら早朝。ミツリちゃんはキッチンに立って、おいしい香りの味噌汁を作っていた。「ごめん」とボクは反射的に言っていた。 「え、何が」 「寝ちゃって」 「気持ちよさそうだったからいいよ」

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          【400字小説】DIVE! 深く潜れ

          飛び込む姿が美しくなくて、どうにもならない。鍛え抜かれた体は自分でも愛おしいけれど、父は腹がビールだから将来はオレもあんな体型になるのだろう。因果からは逃げられないし、体重は二度と戻らないってドンマツオが歌ってる。 入水して深く潜れた。だけれど、気泡が多い、得点は芳しくないだろう。浮上しながら脳内会議。恥ずかしながら、板から踏み切るのは怖くて堪らない。死ぬのかと思ったことは一度や二度ではなくて、それはオレの技術が熟していないからだ。この競技を始めて12年になるのに、「まだ怖

          【400字小説】DIVE! 深く潜れ

          【400字小説】未夏の森、まだ夏

          本当の名前は《ミカ》だけど、《ミナツ》とみんなから呼ばれている彼女は男性。「熟していない夏みたい」って誰かに言われたのが始まり。 3年前に亡くなった父は昭和生まれながら察していたのか、両性の名前を授けた。「ミカ、ミカ、ミカ」とミナツを生前繰り返し呼んだ。だから、ミナツとしても立派にミカらしく生きている。「流行りのトランスジェンダーなわけ」と冗談っぽく鼻で笑うほど。 鼻につく香水は制御できない。ドーナツもやめられない。 父が他界して本当の名前で呼ぶ人はいなかった。でも、一

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