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【400字小説】滲む愛、騙し合い

アートな人になって、あなたたちをあっと言わせたかった、過去。今はそんな欲望もないなあ。自分だけ楽しめればいいかなって描いている。

何度も公募にチャレンジしたけれど、どこにも認められなかったし、誰にも見つけ出してもらえなかった、そんな考えは甘かった。

描くのが好きという気持ちを滲ませればいいんだ。自己顕示欲とかナントカカントカを捨てて素直に描けたら、絵画への愛が滲むんだろう。

それでもコンペティションの場は騙し合いなのだろうから、審査員を出し抜いてまで、認められたいとは思わないっていう気持ちがあるのは良いこと。

完全に自分だけのために描くことは凡人だからできないけれど、売れたい、有名になりたいという気持ちには振り回されないでいたい、そんな未来。

あなたたちではなく、あなたに届けばそれでいいんだからって思えるようになったのは大きな変化かな。そうやって自分を騙すことも大事。感じるままに描きたいって信じる。

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