【400字小説】Daydreamingに名前はない
一人息子を連れて、花があふれる公園へ行った。灼熱の太陽。息子の半ズボン。バカンスは取れない。忙しい毎日。公園には犬もいて、わたしたちと同じように母子で来ている人々が目立った。けたたましい勢いでママ友トークに笑い声を破裂させる母親たち。いつの間にか息子はほかの子どもたちとじゃれあっていた。肌が痛いのは凄まじい日差しのせい。今日もまたお酒飲んでしまうのかなあ。
公園のほとんどの花の名前を知らない。そもそも花には興味がないし、楽しむ余裕もなくてさ。滑り台を誰かのママが大人気もなく滑っている。ブランコを二人占めして乗っている大人も。それで「あれ?」と思ったのは遅すぎて、公園には子どもの姿はなくなっていた。母親たちがはしゃいでいる俯瞰した光景が目に飛び込んできた。息子の心配はしなくて、「ああ、子育てに追われなくていいんだ」って安堵したから母親失格。犬が大きな声で吠えた。それでも白昼夢は終わらなかった。
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