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【400字小説】読めないTシャツ

目が悪いのでなんてプリントしてあるのかあまり見えなかった。ただし、洒落た書体が存在感をアピールしているのは感じられた。「Tシャツカッコいいね」と言うと友だちは「そう? どっちかっていうと、かわいいじゃない?」と疑問を呈した。幸い気分は害してない様子。

それで「そうか、かわいいか、そうか、そうか」と僕は言葉を濁して、友だちに教えてもらったモーターヘッドというバンドについて感想を述べることに話題を移した。「カッコ良すぎて爆笑しちゃった」すると「これ、モーターヘッドのTシャツだよ」と友だちが呆れ気味に言うので自分に辟易した。

「実を言うと自分で作ったのさ」と少し照れくさそうに言う。それでカメラのピントを合わせるようによく見るとモーターヘッドの代表曲のタイトルがプリントされていた。英語が不得意で意味はわからない。「良きタイトルだな」って友だちが言うので「そうだね」って自分自身すら知っているフリをした。

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