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【400字小説】流星☆少女

彼女は営業の天才で、月に何件も契約を獲得したり。また20歳だっていうのに、20年勤務のわたしを追い越した。ううん、スタートラインに立った時点から先を行ってた。嫉妬してもおかしくないのだけれど、あまりに見事すぎて拍手しちゃうほど。わたしは同性ながら彼女のファン、遠い遠い存在のアイドル。若くしてキャリアウーマンだから、奢ったりしてもおかしくはないのだけれど、素直さも持ち合わせていて無敵だ。「トイレってどう掃除すればきれいにできますかねえ」とか「初めての彼氏にプレゼントするんですけど、何をあげたらいいですか?」とか初々しいじゃないの。もしかしてあの子は大谷サン?

そんなある日「空からわたしが降ってくる夢を見たんです」と声を裏返して告白してきた彼女。明らかにその目は恐怖を覚えていた。「心配いらないよ」と言ったけれど、それ以来、彼女は契約を取れなくなった。結果、やさぐれて、持ち前の素直さもどこかへ流れ星。

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