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オリンピックについて、「何のために」を問う
研究会などの集まりに参加していて、私は良く「それは何のためなのか?」という問いを発する。情報発信は何のためにするのか、議論は何のためになるのか、会員増の働きかけは何のために行うのか、などなど。
限られた時間で限られたタスクのための議論の場だったりすると、明らかに「メンドクサイ」という空気が場を覆う。会合によっては、爺さんは黙ってろよ、的な棘すら感じることさえあったりする。
こっちは時間
世界のことを考えられない日本
石炭火力を巡るネットニュースとその関係で目にするコメントに、この30年間ずっと繰り返してきたため息をまた繰り返させられる羽目に陥っている。
石炭火力を巡る欧州(特にイギリス)の報道に関する反応で、不合理にも日本が非難されている、的なものはおおよそ以下の3つに分類できる。
1.「日本の高効率発電は環境に良いのだから、もっと情報発信を積極的にすべきだ。」
2.「日本が途上国向けの石炭火力発電から
イロモノはイロモノらしく
世の中にはいろんな論者がいる。識者とされる方々にも千差万別あって、誰もが認める賢者から、ワイドショーのコメンテーターすら務まらずにいつの間にか消えてゆく有名人モドキまでさまざまだ。
ネット社会では、それこそ色物と見られる手合いも少なくない。そういう輩が一見まともな本を出し、それらしきメディアでコラムなんかを書いていたりする。一昔前に比べて、読む方の目利き力が求められる時代になったってことかも
「あと6割」が暗示するもの
菅首相が、2050年までにカーボンニュートラルを宣言したというだけで、経済界の一部は異様な熱気を見せている。技術開発に分厚い新規投資がなされることが見えてきたせいもあってか、コロナ禍にもかかわらず、株式市場ではこのところずっと強気の相場が続いている。
他方で、科学者や気象関係者が着々と進む温暖化の進行を報告していることはあまり触れられない。そもそも2050年のカーボンニュートラルとは、産業革
環境問題と近視眼
環境問題に携わっていると、極端に近視眼的な取り組みが意外と本気で行われていて、時折ビックリさせられることがある。たとえば海洋分解性プラスチック、なんていうテーマが真剣に研究されていたりする。https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101348.html
研究開発だけなら、そこから得られる技術的知見もあると思うので、一概に否定されるものではないかもしれないが
「持続可能性」というコトバが意味するもの
「ニシダ先生、『持続可能性』って、いったい何ですか?」以前参加したとある勉強会で、こんな真正面からの質問をいただいた。いわゆる「真ん中まっすぐ」の質問で、コンサルタントとしてはこれにどう答えるかで真価が問われるのだ。確かにSDGsやサーキュラーエコノミーをお伝えするとき、私は決まって「持続可能性のために」と言う説明をする。SDGsに関心を持ってくれている客層ならそれで良い話だが、半面で世の中には
もっとみるビジネスチャンスはすぐそこに
菅首相の「2050年温暖化ガス排出実質ゼロ宣言」は、環境ビジネス業界に激震をもたらしているようだ。関連する書籍は売れ、問い合わせの数も増えて、セミナーやワークショップも花盛り状態になっている。菅首相様様状態、と言えるかもしれない。
考えてみれば京都議定書の時だって、物事がほんとうにゴール主導で決められたことはなかったように思う。まずは実現可能性の堅いところをあたり、次に政策的にもアピールする
経済が伸びない世の中で
世界の人口ピラミッドを眺めていて、ごく最近になって大きな変化の予兆が現れていることに気が付いた。アジアは言うまでもないが、人口爆発が言われているアフリカでも、実は新生児の数が頭打ちになる傾向が出始めていて、長期で見れば全体的に世界の人口が増え止まりつつあるのだ。
https://www.populationpyramid.net/ja/%E4%B8%96%E7%95%8C/2020/
人口
注目すべきキーワード「イネーブリング」とは(CEマトリックスのご紹介)
最近、この言葉をよく見かけるようになった。もともと環境問題に関する途上国支援の世界では長いこと使われて来た概念だが、「できるようにする」と言う意味だ。主に知識やスキルが足りずに何かの仕事ができない場合、それを補うことによってできるようにしてあげること、と言うと判りやすいだろうか。たとえば、とある後発途上国が有害化学物質の取り扱いに関する法規制をまだ持っていないと仮定しよう。仮にそれが国際条約で特
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