ビックリさせられたこと

 つい先日のこと、依頼を受けて環境分野の由緒正しい学会で講演する機会をいただいた。単なる在野のコンサルタントに何を期待されたのかはよくわからないが、環境対策に関する事例の報告を中心に30分ほど話をした。

 私のほかにもう一人、現役の偉い先生(A先生とする)が政策についてのお話をされた。A先生は、政府の審議会だとか公的な立場でたくさん仕事をされている。私より10歳は上だと思うのだが、とても精力的な話しぶりであった。

 時節柄、オンラインだったのは仕方ない。いささか気になったのは、マイクをミュートにせず、心持ち大きな声で好きな時にコメントするB先生の存在だった。B先生はA先生の先輩で、一昔前くらいは公職で多忙な方だった。

 そのコメントが、明らかにズレているのだ。時代的にもそうだが、中身的にも見事に外している。なのにご当人は、それがど真ん中ストライクの質問であるかのように数分に渡る演説を続ける。

 司会者も含めて誰も止めようがないのは、たぶん皆どこかでB先生にはお世話になっているから、なのかもしれないが、外様で在野の私から見れば典型的な老害の事例でしかなかった。

 さらに驚いたのは、環境政策に関するご認識について。学会ご出席の方々のうち産業政策に近い先生たちが、日本政府が進める重点14分野の産業政策は「成長と対アメリカ外交のため」だと、そう認識して議論に臨んでいたことだった。https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/green_growth_strategy.html

 パリ協定の話は一言も出ず、ましてや日EU気候アライアンスなど、どこの世界の話だと言わんばかりの話しぶり。大手電力会社やガス会社を現体制のまま堂々と存続させることを、技術的に支えるための重要な役割を担っているのだという自負みたいなものがにじみ出る。

 一に大手企業を軸とした現体制の存続、二に経済成長、三四がなくて五が対米外交。こんな学会もあるんだという意味では、確かに勉強になった。思わず溜息が出そうになるのは、たぶん私だけじゃない。なるほどグリーン成長戦略は、大きな意味では成長戦略なのだから、先生方の解釈のほうが正しいということなのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?