イロモノはイロモノらしく

 世の中にはいろんな論者がいる。識者とされる方々にも千差万別あって、誰もが認める賢者から、ワイドショーのコメンテーターすら務まらずにいつの間にか消えてゆく有名人モドキまでさまざまだ。

 ネット社会では、それこそ色物と見られる手合いも少なくない。そういう輩が一見まともな本を出し、それらしきメディアでコラムなんかを書いていたりする。一昔前に比べて、読む方の目利き力が求められる時代になったってことかもしれない。

 それにしてもDIAMOND ONLINEに載った「プラごみ規制「罰則付き」法案で突き進む、小泉進次郎大臣の無責任」には参った。https://diamond.jp/articles/-/270757 別に大臣を攻撃したことを咎めてるわけじゃない。論拠があまりに軽薄で、日本社会の実態や国際社会の議論を全くケアせず自分の思い込みだけを基準に判断していることに呆れさせられたと言うだけの話。

 >サーキュラーエコノミーとは要するに循環経済(リサイクルなどによる資源の循環を生かした経済のあり方)のことであり、別にカタカナ語をわざわざ使う必要はないと思う

 よくある浅い誤解。勉強してないからこういう議論になることを恥ずるべきはどう考えても書き手なんだけど、自分はDIAMONDに記事を書ける偉い人なので、それはインプットしてこない業界の責任だとでも思っていらっしゃるのだろうか?

 日本が追求してきた3R(リユース・リデュース・リサイクル)に代表される循環経済と、国際社会で議論が進むサーキュラーエコノミーは明らかに別物だ。それを踏まえて日本語にできればそうしたいところ、それじゃあますますわけがわからなくなる。

 というわけで役所だってサーキュラーエコノミーで通している。この記事の書き手はおそらくそれすらチェックしていない。久しぶりにここまで底の浅い記事を読まされた気分だ。こういうのを低能っていうんだろうね。

 3Rが目指したのは、循環型社会形成推進基本法と資源有効利用促進法が物語る通り、全国各地の最終処分場の延命。そのお作法はすべて廃掃法に仕切られて、資源の有効利用はその範囲でしか認められなかった。

 他方でCircular Economyが目指すところは、①汚染や廃棄物を出さない、②モノをなるべく長く使う、③自然を再生させる、の3点だ。加えて日本が実現をめざしてきたのは④資源の価値を損なわないか、できれば増値させる、みたいな取り組みだったりする。わざわざカタカナ語を使っているわけではなく、それが一番わかりやすいから仕方なくそうしている。

 そもそも3R自体が政治に絡めとられたような話だった。そんな中で真面目な事業者は、法律を奉ることなく政治に踊らされることなく、地道に資源循環の実績を積み重ねてる。むろん、議員の取り巻きをすることでやっと生きてる人たちもいないわけじゃない。でも玉石混じって成り立っているのがすなわち社会。それは欧州だってアメリカだってあまり変わらない。

 分かったような議論をする人間が当たり前に思いがちなのは、それがどこか外国の議論にすぎないという読み解き。確かにCircular Economyは欧州発の概念だけど、コトバとして最初に使ったのは中国だし、実績でリードしているのは意外にも日本だったりする。残念ながら日本では、識者だのメディアだのが付いてこれてないだけの話。

 たかが二世(三世?)政治家の揚げ足取りに適当な勘繰りの正しくない情報を論拠に使ってほしくない。そうすることで真面目に地道に資源循環に取り組んでいる人たちのフリーハンドに傷がつく、ことへの想像力くらいはせめて持っててほしいのだけれど、それすらもないものねだりなんだろうか。せめて色物は色物らしい身なりやふるまいをしてもらえれば、笑ってやり過ごすこともできるんだけど。

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