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展覧会レポ:信州小布施 北斎館「浮世絵いろは」
【約3,500文字、写真約40枚】
長野県にある信州小布施 北斎館で「浮世絵いろは」を鑑賞しました。その感想を書きます。
結論から言うと、北斎館を目当てに、わざわざ長野駅から小布施駅を往復するのは微妙と感じました。随所に「ハコモノ感」を感じたためです。なお、北斎について、興味をもって理解を深められた点は良かったです。
展覧会名:浮世絵いろは
場所:信州小布施 北斎館
おすすめ度:★★★☆☆
会話できる度:★★★★☆
ベビーカー:ー
会期:2023.11.18-2014.1.14
休館日:12.31
住所:長野県上高井郡小布施町小布施485
アクセス:小布施駅から徒歩約10分
入場料(一般):1,000円
事前予約:不要
展覧所要時間:1時間
混み具合:ストレスなし
展覧撮影:全て撮影可能
URL:https://hokusai-kan.com/exhibition/4004/
▶︎北斎館へのアクセス
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北斎館は、小布施駅から徒歩約10分。小布施駅は、長野駅から長野電鉄で約30分です。片道は約700円と、一般的な運賃と比べたら、距離の割に若干高額です。
長野駅からは「須坂行き」「信州中野行き」「湯田中行き」の3種類があります。そもそも全体の本数が少ない上に、小布施に行くためには「信州中野行き」以降に乗る必要があります。そのため、小布施に行く場合、事前に時間を調べておかないと、無駄な待ち時間が発生することになります。
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小布施駅から北斎館は、徒歩で約10分。経路は単純なため、迷うことはないと思います。北斎館へ向かう途中、地元の風情も感じられて楽しいです。
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住所:長野県上高井郡小布施町小布施485
▶︎北斎館とは
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江戸時代末期に、高井鴻山の招聘により小布施に長期逗留した、浮世絵師葛飾北斎の肉筆画約40点を中心に、全体で約100点を展示、収蔵する。また浮世絵関連の書籍約3,000点を所蔵する。1966年にモスクワとサンクトペテルブルクで開催された葛飾北斎展で、小布施に関連した北斎の作品が展示され、世界的な評価を得たことを機に、国内の巡回展を経て、記念館建設の機運が醸成されたことにより、1976年11月7日に開館、1977年当時の町長を中心に財団法人を設立、1991年に増改築した。
1960年代に北斎が国際的ブームになった際、それに肖って小布施に北斎館を開館。北斎は、小布施に4回来たことがあり(記録に残っていないため諸説あり)、小布施は北斎にとって「集大成をはかった特別な町」(北斎館曰く)であることが、小布施に北斎館がある根拠らしいです。
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北斎館の開館理由が、小布施への集客(ビジネス)であるため、私にとって北斎館で「ハコモノ感」を感じた理由の一つかもしれないです(後述)。
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北斎館の近くには飲食店や土産物店がたくさんありました。観光バスや修学旅行などで回る長野ツアーに組み込まれる常連スポットなのでしょう。
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▶︎「浮世絵いろは」感想
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本展覧会は、北斎の絵手本 『北斎漫画』 の中に描かれた約4千にも及ぶ図をいろは順にご紹介し、北斎の多種多様な画題と創造力を感じていただくものです。(略)『北斎漫画』は、1814年から1878年にかけて刊行された、弟子に絵の描き方を教えたり、職人のための図案画集として作られた絵手本です。(略)次々と続編が作られ、初編刊行から1849年の没後も刊行され、明治11年 (1878) の15 編刊行まで続きました。(略)本展では、北斎の巧みな筆づかいとユニークなアイデアがつまった図の数々をご覧いただきます。
まず入り口付近で、北斎についてパネルで紹介していました。
葛飾北斎の本名は川村時太郎、1760年に現在の墨田区に生まれました(墨田区に"すみだ北斎美術館"があります)。1849年、90歳没。読本の挿絵で有名になり、約30種類のペンネームを使い分けたそうです。「葛飾北斎」も1800年以降のペンネーム。北斎は、生涯で約3万点の絵を描いたそうです。
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60歳以降、見えない風や気象の変化をデフォルメして描いた富嶽三十六景は特に有名。最近、46枚セットでオークションに出たニュースがありました。
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「北斎漫画」は、全15篇(1814年〜1878年)から成り、内容はまるで百科事典でした。人物や動植物、建物、風景はもちろん、風などの目に見えない自然現象や、幽霊や妖怪といった伝説上の生き物まで描かれています。
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全体を通して感じた印象は「北斎は、本当に絵を描くのが大好きなんだなぁ」ということ。私は子供の頃、スケッチブックに恐竜やポケモンなど、色んなものを描いたことが思い出されました。そこに義務感はなく「ただ好きだったから」ひたすら描いていた記憶があります。
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ほぼ全てのキャプションに英語があって仕事が丁寧でした。メインのパネルだけ英語が書かれることはよく見ます。北斎館のように全てのキャプションに英語が書かれることは珍しいと思いました。
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北斎漫画を、どう親しみをもって展示するか、という課題に「いろは」を使ったことは、日本の文化も相まって面白いアイデアです。次の文字は何が描いてあるんだろう?と飽きずに、全部見る仕組みになっていました。
「いろは」順にピックアップした対象範囲が広いため「こんなものまで描いているんだ」と、観覧者は自然に刷り込まれる工夫になっていました。
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絵が上手なのは言わずもがな、鉛筆がない時代(日本で鉛筆は1873年以降に普及)に、全て筆で書いているのがすごいな、と思いました。また、絵師が描いた絵を、版画にした彫師の技術にも脱帽でした。
北斎漫画の展示スペースが終わった後、常設展示もありました。
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北斎は晩年になるに従い、表現のチャレンジが増えていったと感じました。特に、肉筆画の時代は芸風が大きく変わりました。それはある意味、ピカソやデイヴィッド・ホックニーなどにも共通している思想だと思いました。
なお、1)全体的に展示数が多くないこと、2)岡田美術館で北斎の春画《浪千鳥》や《萬福和合神》を見たため、「北斎館」と大層な名前を掲げている割に、年表にすら北斎の春画に一切触れていないこと、3)建築は公民館のようで魅力が薄いことが、「ハコモノ感」を感じた理由でした。
蓑豊氏(初代金沢21世紀美術館長)が著書で書いていたように、美術館において、建築は大事だな、と改めて感じました。
北斎の絵に罪はありません。しかし「素晴らしい北斎の絵で訪れる人の感情を揺さぶりたい」よりも「小布施は北斎に多少の縁があるから美術館を作って観光客を集めたい」が根拠で北斎館が設立された点は、どうしても私にとって感覚的にネガティブな印象が付きまといました。
▶︎まとめ
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いかがだったでしょうか?北斎についての知識が、興味をもって深めることができた展覧会でした。ただし、わざわざ北斎館を目当てに、長野駅から小布施駅を往復するか微妙だと思いました。1)バブル時に建てたれたような「ハコモノ感」が感じられたこと、2)長野駅から小布施駅まで往復で、約1,500円かかり、電車の本数も少なく、アクセスが良くないためです。
▶︎今日の美術館飯
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