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【遺跡レポ】キトラ古墳:東アジア最古の天文図。奈良観光の際は明日香村へ!

【約3,600文字、写真約25枚】
奈良県高市郡明日香村にある「キトラ古墳」に行きました。その感想を書きます。

【この投稿で伝いたいこと】
❶キトラ古墳は「特別史跡」、壁画は「国宝」に指定される貴重な存在、❷「四神の館」のおかげで興味深く勉強できた、❸遺跡巡りは、のほほんと1日過ごせてリフレッシュできる、❹奈良観光に明日香村も是非、組み込んでいただきたい場所です。


場所:キトラ古墳
おすすめ度:★★★☆☆
休館日:12月29日~1月3日
住所:奈良県高市郡明日香村阿部山67−67
アクセス:近鉄壺阪山駅から徒歩12分、近鉄飛鳥駅から徒歩22分、またはバス停「キトラ」
入場料(一般):無料
事前予約:不要
所要時間:約1時間
URL:https://www.asuka-park.jp/area/kitora/tumulus/ 

▶︎訪問のきっかけ

四神の広場

石舞台古墳に行ったついでに、近くにあるキトラ古墳にも行きました。

▶︎アクセス

キトラ古墳の周辺地図

私は石舞台古墳から車で向かいました(約10分)。キトラ古墳へは壺阪山駅から徒歩約12分。飛鳥寺駅からレンタサイクルで約20分です。

住所:奈良県高市郡明日香村阿部山67−67

▶︎キトラ古墳

キトラ古墳のキャッチフレーズは「東アジア最古の天文図」。私は、キトラ古墳と言えば四神が書かれている絵で有名だと思っていました。しかし、キトラ古墳的には、天文図の方が一押しだそうです。

✔️現在の古墳の様子は?

キトラ古墳の様子

キトラ古墳は2段に造られた円墳です。現在、こんもりと盛られた丘として残っています。内側にあった石室の壁画は取り外され、「四神の館」に保存されています。

✔️なぜ「キトラ古墳」と呼ぶ?

名前の由来

「キトラ」の名前の由来は、1)亀と虎の壁画が見えたため「亀虎キトラ古墳」と呼ばれた説、2)明日香村阿部山集落の北西方向にあるため、四神のうち北の玄武(亀)と西の白虎 から「亀虎キトラ」と呼ばれた説、3)古墳の南側の地名北浦キタウラ」がなまって「キトラ」になった説などがあり、決まっていないそうです。

✔️いつ造られた?

キトラ古墳は、7世紀末〜8世紀初頭に造られたと考えられています。墳丘の中に、18個の直方体の石を使った石室があります。石室内に漆喰が塗られ、1)天文図、2)四神、3)十二支の壁画がカラーで描かれています。

✔️何の絵が描かれている?

1)天文図:
天井に、金箔で太陽、銀箔で月、中国式の天文図が描かれています。本格的な中国式の天文図は、現存する世界最古だそうです(パンフレットは世界最古、HPは東アジア最古と記載があり、記載が統一されていませんが…)。

2)四神:
日本で四神の図像全てが揃う古墳壁画は、キトラ古墳のみとのこと。

3)十二支:
四神の下には動物の顔・人の体をした十二支が描かれています。

✔️いつ国宝になった?

1983年に調査が開始され、玄武(亀)の絵が発見されました。なんやかんやの発掘調査があった後、石室の状態が悪いという判断から、約6年にわたり、壁画は1,143片に分けて取り外されました。2000年には史跡、同年、特別史跡に指定。 2019年、壁画5面は、国宝に指定されました。

✔️誰のお墓?

結論から言うと、誰が埋葬されたか不明です。金や銀を使った副葬品などから、かなり身分の高い人だったようです。具体的には、1)天武天皇の皇子である高市皇子たけちのみこ、2)高官であった百済王昌成くだらの しょうせい、3)古墳周辺一帯が「阿部山」という地名から右大臣の阿部御主人あべの みうしなど、様々な説があります。

✔️高松塚古墳との違いは?

キトラ古墳と高松塚古墳の比較(画像引用

キトラ古墳(1983年)は、高松塚古墳(1972年)に続き日本で2番目に発見された大陸風の壁画古墳です。2つの古墳はご近所さんで、1.6km離れた場所に位置します。高松塚古墳は「飛鳥美人」で有名です。高松塚古墳も、石舞台古墳やキトラ古墳と同様に、埋葬された人は不明のようです。

キトラ古墳と高松塚古墳は、ここが違う。

▶︎キトラ古墳壁画体験館 四神の館

四神の館の入り口

✔️四神の館とは?

施設案内図

四神しじんの館」は2016年にオープン。キトラ古墳とその壁画、古代飛鳥について分かりやすく、楽しく学ぶことができる体験型の施設です。入場料は無料です。

✔️何が展示されている?

展示室の様子

「四神の館」地下1階にある展示室では、壁画の高精細な映像、原寸大の石室の模型、飛鳥時代のジオラマ、ドキュメンタリーが放映されているシアターなどがあります。「四神の館」を造るにあたり、キトラ古墳について展示できる精一杯のコンテンツを捻り出したんだろうな、と思いました。集客するにしても、壁画だけでは話題になりませんからね。

✔️いつ壁画は公開される?

保存管理施設(内部は撮影禁止)

石室から取り出されたキトラ古墳壁画の実物は、「四神の館」1階で、2016年から毎年(年に約3回)公開されています(期間限定、事前登録制)。その専用のサイトも存在します(文化庁の仕事ってマメですね…)。

直近は、5月18日から両方が公開(事前予約制)

▶︎感想

皿回しの遊具がお気に入り

キトラ古墳に行く前は、ほぼ期待していませんでした。「四神の館」に対しては「税金を使えるだけ、ようけ使ってんなぁ」と頭をよぎりましたが、期待以上に知識を深めることができました。中でも、ドキュメンタリー映像は分かりやすかったです。無料であることも嬉しいポイントです。

また、「国宝」「特別史跡」と聞くと、ありがたみが湧いてきて「貴重なところへ行けて良かった!勉強になった〜」と感じるから不思議です。

キトラのゆかいなおもちゃ箱

「四神の館」の入り口付近に「キトラのゆかいなおもちゃ箱」がありました。そこに、フラフープ、フリスビー、けん玉、ヨーヨーなど、様々な遊び道具が置いてありました(無料)。中でも、子供は皿回しに夢中。初めての遊びにのほほんと楽しめたため、地味に良かったポイントです。

▶︎まとめ

いかがだったでしょうか?キトラ古墳と高松塚古墳の違いも曖昧だった私にとって、「四神の館」のおかげで、興味をもって知識を深めることができました。遺跡を巡るのも、休日の選択肢としてはありですね。新鮮でお出かけ感があって、のんびり、のほほんと楽しかったです。奈良観光の際は、奈良公園周辺も良いですが、明日香村周辺もおすすめです。

▶︎今日の遺跡飯

★3.4/ピッツェリア ラッソ (奈良県/畝傍御陵前絵駅) ー Pizza Lunch (¥1,490)

▶︎おまけ)遺跡、史跡、特別史跡、旧跡の違い

石舞台古墳やキトラ古墳のパンフレット、HPで「特別史跡」という言葉が当たり前のように頻出するため、言葉の違いについて調べました。大抵の人は知らないため、注書きを付けてくれるとありがたいです。

結論から言うと、以下のような図になります。1)は一般的な概念、2)3)4)は法律や条例によって、はっきりと区別されています。

遺跡、史跡、特別史跡、旧跡の違い

1)遺跡

一般用語として、人間の活動した痕跡。具体的には、貝塚、古墳、都城跡、城跡、旧宅などを指します。

2)史跡、3)、特別史跡

文化財保護法第109条第1項で、史跡を「遺跡のうち重要なもの」とし、特別史跡を「史跡名勝天然記念物のうち特に重要なもの」と規定しています。

史跡のことを「国指定史跡」と呼ぶ場合もあります。国に指定されたことを自慢したいだけであって、要は「史跡」です。

また、文部科学省が公表している「特別史跡名勝天然記念物及び史跡名勝天然記念物指定基準」では、史跡を「我が国の歴史の正しい理解のために欠くことができず、かつ、その遺跡の規模、遺構、出土遺物等において、学術上価値あるもの」とし、特別史跡を「史跡のうち学術上の価値が特に高く、わが国文化の象徴たるもの」と規定しています。

それらの案は、文部科学大臣から文化審議会で諮問され、文化審議会における専門家の審議、文部科学大臣への答申を経た上で、史跡、特別史跡に指定されます。2024年5月時点で、史跡は1,895件特別史跡は63件あります(参考)。

日本に63件しかない特別史跡に指定されているのであれば、ことあるごとに「特別史跡」と言いたくなる理由も理解できました。

これらを指定・整備・保存・活用する目的は「文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もって国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献すること」です(文化財保護法第1条)。

4)旧跡

一部の地方公共団体(東京都や埼玉県など)によって指定されている区分です。例えば、都条例では重要な遺跡だが著しく原形を損なっているものや、著名な伝説地などと規定されています。

何となく使っている言葉でも、はっきりとした違いがあります。言葉に少しでも違和感を感じたら辞書を引くか、ググる習慣をつけたいです。

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