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〜2019年_毎日ログ

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考えたことなどを、適当にぽいぽいしてます。不定期更新。
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#エッセイ

大好きの思い出

大好きの思い出

高校のとき、先生に恋をしていた。

恋、という表現が正しかったのかはわからない。だってわたしは、先生のことなんてほとんど何も知らなかった。知っていたのはせいぜい、先生が学校にきて、わたし達に授業しているただその一瞬だけだもの。もしかするとあの気持ちは、今で言うところの『推し』に近いものだったのかもしれない。

それでもたしかにあの頃、わたしは先生が大好きだったのだ。

授業の前にはまるで新品かと見

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ママ、ぎゅうして。

ママ、ぎゅうして。

上の子は小学3年生、もうすぐ9歳になる男の子だ。よく「男の子はいつまで経っても甘えん坊で、ママが大好き」なんて言われるが、うちの子はまさにそれ。いまだに夜寝る前になるとすり寄ってきて「ママ、一緒に寝ようよ。おやすみのぎゅうしてよ」と言ってくる。まあ、可愛いといえば可愛い。

ふと、自分がこれくらいの年齢だった頃はどうだったかな、と考えてみた。

わたしは小3の冬、一度転校している。両親が離婚したの

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いくつかの顔

いくつかの顔

本屋で、息子が「あ、天気の子」と声をあげたので視線の先をたどると、新海誠監督の最新作、天気の子の主題歌らしきCDが売られていた。ジャケットに、でかでかと「天気の子」と書かれている。

「ああ、本当だね」とそこを通り過ぎようとしたら、息子がぽつりと「天気の子、観たいなあ」なんて言い出した。え、珍しい。どうした?

うちの子は、(親もだけど)そんなに映画は観ない。見るとしてもせいぜいプリキュアやドラえ

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雑記ブログを読まれる恥ずかしさ

雑記ブログを読まれる恥ずかしさ

初めて会うクライアントのほとんどが、「七尾さんのブログ、読ませてもらいました」と言う。

それは当然だろう。見知らぬ人間にライティングを頼もうというのに、その人間がどんな文章を書くのか知らないのでは話にならない。どんな仕事をしているのか、ブログにはどんな言葉を綴るのか、ひととおりチェックしておきたいと思うはずだ。

もちろんこちらも、そのつもりでいる。つもりでいるけれど、やっぱりこっぱずかしい思い

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ココロすこやか

ココロすこやか

「今夜、出かけてきていい?」

夫から連絡が入る。どうぞどうぞ、と二つ返事で答えながら、じゃあ夜のご飯は子ども達と外で済ませようか。それとも、明日は土曜日だし夜遊びに出かけてもいいかもしれない。なんて考えを巡らせる。

ずいぶん変わったものだ、と感じる。わたし自身のことだ。結婚前、わたしはとても不安定で、恋人と常に一緒にいなければ耐えられないような女であった。「出かけてくる」と言われれば了承したけ

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みんなの手を入れてブラッシュアップしていこう

みんなの手を入れてブラッシュアップしていこう

初稿にどの程度を求めるか。ライター1人の技量にどこまで求めるか。

これは、出版社やメディアによって方針が異なるんだろう、と理解している。“業界においての普通”は知らない。わたしは業界出身でない、ぽっと出のライターなので。

わたしは、原稿にはみんなの手を入れながらブラッシュアップして、良くしていくスタイルが好きだ。だから初稿はいい加減でいいじゃん?と言いたいわけではなく、その方が絶対に良くなると

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意外とフリーランス

意外とフリーランス

ライターのバイトを始めて、兼業フリーランスになった。今までの仕事は可能な限り継続で受けている一方、5日ある平日のうち4日は出勤している、そこそこ立派な勤めびとだ。

わたしはフリーランス気質ではない。売り上げを伸ばすことに躍起になったり、人から使われることを嫌ったり、毎日同じ時間に出勤するのが嫌だったり、なんてことはまったくないのだ。

だからバイトとはいえ、再び勤めびとに返り咲いたことをわりと楽

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ともだち夫婦

ともだち夫婦

わたしは一度しか結婚したことがない。つまり今の夫としか夫婦になったことがない。

夫とわたしはずいぶん前からの知り合いで、もともとは同級生。つまり友達だった。だから世代はもろかぶり、共通の知人友人も多く、昔話でもお手軽に盛り上がれる。ついでに、趣味嗜好もちょっと似ている。インドア派でゲームや漫画が好きな、オタク気質だ。好きなジャンルはあまりかぶっていないけど。

結婚して子どもも生まれて、もうすぐ

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身近なひとが年をとるということ

身近なひとが年をとるということ

義両親、つまり夫の父と母は健在で、今年の夏もうちの子どもたちを預かって見てくれるほどには元気がいい。けれどもやっぱり、今年より昨年、昨年より一昨年、もっと前に遡れば、今よりもっともっと元気だったよなあと感じることが増えた。

体を動かすのが前よりも億劫そうだなあとか、お酒の量が減ったなあとか、夜寝る時間が早くなったなあとか。一つひとつはほんの小さなことなのだけど、小さな気づきを集めてみるとつまりこ

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静かな夏休み

静かな夏休み

上の子が小学生になってから、夏休みは祖父母の家(厳密にはちょっと違うのだが、説明が面倒なので便宜上こうする)に泊まりにいくようになった。

さらに、昨年からは下の子も一緒だ。つまりこの期間中、自宅にはわたしと夫の2人だけしかいないことになる。

お母さんならなんとなく、ご理解いただけるのではないだろうか。この「どうしたらいいかわからない感」を。

子どもがいない空間で夫と2人きり。何を話せばいいの

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いつも答えに窮する

いつも答えに窮する

そこかしこで言っているので秘密でもなんでもないのだが、わたしにはさほど大した職歴がない。加えて、今はライターなんてやっているけれども出版社で働いていたとか、どこかの会社でライティングに関わっていたとか、そういう経験もまったくない。

わたし自身がクラウドソーシング出身のライターなためか、周りにもそういった経歴を持つ人が少なくない。だから自分の中ではそれほど珍しくもないのだけれど、やはり一般的には「

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新しいが始まる

新しいが始まる

7月が終わる、終わってしまう。ついこの間「新元号は令和!」と騒いでいたばかりなのに、時の流れとはなんと早いものなのか。

8月が始まる。新しい月だ。新しい、というのはなんとなくよいものだ。緊張もするけれど、ワクワクもドキドキもウキウキも一緒に連れてくる。

新しい年、新しい月、新しい週、新しい一日。新しい服、でもいいし、新しい人間関係なんてのも、悪くないかも。

新しくなるとは、変化が起こるという

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不幸を数えるな

不幸を数えるな

と、とても仲の良い友達に叱られたことがある。

そのときは正直「なにくそ」と思ったり思わなかったりもしたのだけれど、今になって改めて考えると、ああ、確かにその通りだったなとすとんと落ちてくる。

その当時、わたしは長年にわたる家庭内のゴタゴタに疲弊しきっていた。言い訳をさせてもらうのならば、そこまで疲れ切ってしまった理由は至極真っ当なものであったと今でも思っているし、なにも積極的に不幸を数えにいっ

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愛される才能

愛される才能

人生において最も大きな成功は、たくさんのお金を稼ぐことでも、ビジネスチャンスを掴むことでもなく、ただただどれだけの人から愛されるかではないか。

そんなことを、どなたかが言っていた。

それでいうと、わたしは結構な成功者じゃないかな、と思うのだ。

これは聞きようによっては自慢に聞こえるのかもしれないし、実際に自慢なのかもしれないけれど、わたしは昔からわりと可愛がられ体質だ。とはいっても、たくさん

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