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ようおこし(短めnote)

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ようこそいらっしゃいまし。 お茶とお菓子をお出しするような感じで、今まで書いた中でも(多分)1000字前後の短めのnoteを集めました。初めましての方も、そうでない方も。
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記事一覧

チガヤ #空白小説

チガヤ #空白小説

〈吾輩は猫である。名はチガヤという〉

空白小説大賞、まさかの2作目が生まれました。

1作目はこちら。

特に記載はなかったけれど、複数応募大丈夫でしょうか。

今回は、部屋に落ちていた謎の植物?から物語が広がっていきました。

「猫のしっぽみたい 植物」などのワードで検索していたら出てきた植物のひとつ、それが茅萱(チガヤ)でした。
多分、見たことある。よくその辺に生えてる、ススキもしくは白いね

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ねこ(仮)

ねこ(仮)

ここのところ、自分で自分がわからないのです。
文章を書いていても、こんな自分のまま書き進めて公開してしまって大丈夫なのかと。もしかしたら、私はとんでもないことを書いてしまっているんじゃないかと、不安でいっぱいでした。

ずっと書き続けている文章が、テーマ的にnoteで今日(4/24)まで開催しているコンテスト『思い込みが変わったこと』に合うんじゃないかと気付き、久しぶりにコンテストに参加してみよう

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I'm here(ここにいる)

I'm here(ここにいる)

娘が通う保育園では、年中・年長さんクラスになると朝の出欠のお返事を「I'm here」と英語で答えることになっている。
今では、幼児期から保育の中に自然と英語を組み込んでいる園もめずらしくないんじゃないかな。

「I'm here」=「私はここに居ます」

私は園の給食をつくる人なので、毎朝そんなやりとりを聞きながらその日の作業にとりかかる。

「I'm here」って、なんだかいいなぁ。

「私

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溶けない飴玉

溶けない飴玉

「ずっと」
「絶対」
「永遠に」

その類の言葉には、基本的に期待を抱いていないというか、あまり信用していない。
……って言うとなんだかとてもドライな印象だけれど。

言われて嫌なわけじゃなくて。むしろ、とても心に響くこともある。
「その人」に言われるからうれしい、そんな言葉ってあると思う。同じ言葉でも。

そう思える人が、何人か思い浮かぶ。
きっと、その人のことをとても信頼しているんだと思う。大

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蝋、虚ろ、移ろう

蝋、虚ろ、移ろう

毎朝、交差点で見かけるたびに気になっていた。
今日はタイミングよく信号が赤だった。

冷たい空気の中に春の日差しが交わる2月。
虚ろが鳴く灰色の朝、自転車を走らせる。
寒さに慣れるにつれ、少しずつ色が飛び込んできた。

ここのところ、交差点で見かけるその姿に惹かれている。
もっと近くに寄ってよく見たい。
触れてみたい。
そう思いつつも、迫る出勤時間と青信号に急かされていつも素通り。後ろ髪ひかれなが

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夢と現実の間(あわい)

夢と現実の間(あわい)

雑音。
居間で家族が談笑している。
飛び交う言葉、テレビの音量、そのひとつひとつに落ち着かない。せめてもう少し静かだったら……。
そう思いつつもテレビの音量を下げてもいいですかという一言が言えなくて、そっとその場を離れ2階の自室に逃げ込んだ。
無愛想な子だと思われても構わない。自分の心を守ることの方が大事だ。今は、何も見たくないし聞きたくないから。

暗く静かな部屋の床に、泥のように横たわる。

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書けるのは幸せ

書けるのは幸せ

前回のnote『音楽について書きたい、読みたい』、公式さんにTwitterでシェアまでしていただきました。

「音楽と文章への愛が詰まったnoteです」

添えられた文があったかい。
あぁ、本当に読んでくださった方がいてのピックアップなんだ。こんなふうに感じていただいたんだって知れて嬉しい。
たくさんの方に読んでいただけて、ありがたいです。

私が最後に応募するつもりの音楽文ですが、なかなか苦戦し

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言い間違い #5分でnoteを書く

言い間違い #5分でnoteを書く

誰にでも言い間違いの一つや二つあるかと思う。

子どもの言い間違いは、かわいい。
わが家の3歳児(と、たまに10歳児も)は言い間違いの真っ盛り。とても、かわいい。

しかし自分の言い間違いとなると話は別。
特に、真面目で厳かな雰囲気の中での言い間違いは冷や汗もの。

あれは、夫と喧嘩していたときのこと。
あ、わが家の喧嘩は喧嘩というより言葉達者で頭の回転の早い夫が私をコテンパンに言い負かしているの

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路上の寧静

路上の寧静

大分駅前地下道には、今日もギターを掻き鳴らす路上ミュージシャンと、そんな彼ら彼女らの歌を心の拠り所とする者たちが屯している。私もその一人だ。

ここには、安らぎがある。
学校に居場所がなく、家にもまだ帰りたくない。そんな自分もここは受容してくれる。

それでいて、情熱もある。
旋律となって繰り出される言葉はエネルギーに満ち、心はそれぞれのステージを見据えている。
いつか自分もあの場所へ行けるだろう

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生きるを楽しむ

生きるを楽しむ

ある日。
値下げコーナーにて見つけた、コロンとしたフォルムのお椀。

かわいいなぁ。
手に取り、くるっと底を反して値段を確認する。
300円。少し迷う。家族分買うとなると1500円か。

普段うちで使っている食器はというと、私が一人暮らしをするときに実家から持ち出した食器と、主に100均で買い足した食器。そしてお義母さんの代から使われている食器たち。
統一感はなく、あり合わせで、ちぐはぐだ。

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母のりんごとお弁当

母は褒め上手だ。
よく私が描いた絵を褒めてくれた。優しい子だと言ってくれた。私が作った料理やお菓子をおいしいと食べてくれた。

そんな母は私が高3のときに家を出て行ってしまった。経済力のある父に私と弟を託して。

離婚後も、たまにお惣菜やりんごを持って母はうちを訪ねた。なぜりんご?と不思議だったけれど、「林檎が赤くなると医者が青くなる」と言われるように、私たちの健康を祈っていたのかもしれない。

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已己巳己な父娘

已己巳己な父娘

父は名前に巳の字を含む。
あれ?己だったかな。いや、巳で合ってるか。
いつも、どっちだったっけと悩んでしまう。実の父の名前なのにな。

「お父さん似だね」と言われるがまま、自分はお父さん似なんだと思っていた幼少期。僅かな反発心を抱くようになったのはいつの頃だろうか。

高3の冬、両親の離婚が決まった。
「お父さんは自分で決めたことはちゃんとする人やけん」という母の言葉通り、父は一通りの家事をこなし

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