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#スキしてみて

ガラクタの恋

ガラクタの恋

この平凡な日々の中で
ただ前を向いて歩く

そんな当たり前が
なんと困難なことだろう

僕は足を無くした子供みたいに
明日を夢見て泣きじゃくる

掌に納まるものなど何もなく
心はぽっかり空っぽだ

君の頬に触れたくて
伸ばした腕はガラクタで

からからと音を立てて
転がり落ちたのは両の目だ

真っ暗闇で彷徨う声は
誰の耳にも届きはしない

始まりがないものだから
終わりがなくて果て

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キミとボク

キミとボク

渇いた身体がキシキシと
崩れるように衰える

誰が見る目も考えず
我が道進んで振り返る

後悔なんてモノはもう
カラカラに渇いた砂のよう

焦る気持ちを引きずりながら
永い時間を生きていく

あの頃見ていた夢なんて
とっくの昔に見えなくなった

そんな僕らの未来の先は
未だ見えない先の先

涙を流して転がりながら
僕らは仲間と笑っているよ

君に届け

君に届け

ここに居ない誰かに
届く言葉を紡ぐには

僕は何をすればいいのだろう

ここに居ない誰かに
届けたい言葉があるから

僕は今日も泣き笑い

貴方を想い、生きている

だいすきな人

だいすきな人

大好きな人に褒められたくて
今日は少し頑張った

こんな単純な自分を

今日は昨日より

好きになれた

休日の仕事

休日の仕事

空はよく晴れている
今日は洗濯物もよく乾くだろう

冷たい風は変わらずに
終わらない冬を感じさせる

ベランダは軋む
静かな部屋にも響くように

珈琲は一人分
ドリップすれば事足りる

始まったばかりの今日の
終わりを待つ一日の始まり

告白

告白

君に、伝えたいことが沢山あるのです

それでも、臆病な僕は
言いたいこと半分で口を閉じる

大好きだから、嫌われたくなくて

そんなことで嫌いにならない君だと知っているのに

愛想笑いで誤魔化す僕は

いつまでも君を、忘れられないでいるんだ

ディスタンス



君に触れたい
君に触れたい
君に触れたい

当たり前の日々の中
ためらわれたあの距離が
今はこんなに悔やまれる

君に触れたい
君に触れたい
君に触れたい

君のとなりには
今、誰がいるの

あの人の言うこと

あの人の言うこと

自分らしく生きなさいと
あの人は言うのだけれど

この生き方しか知らない僕は
途方に暮れて立ち尽くす

自分らしく生きるには
どこに向かえばいいですか

それはあなたが決めるのよと
あの人は言うのだけれど

そんな選択をする方法を
どの教科書で学ぶのですか

生きづらいこの世界で
今日も僕は生きる

冷たい朝は

冷たい朝は

目が覚めて
エアコンの暖房を入れる
温まるまで布団に潜り
まどろみの中で思うこと

君は今日も笑っているかい

枕元のスマホを開いて
返事のないLINEを開く

君は今日も笑っているかい

出来ればそこに、僕が居られたら

長距離電話と猫

長距離電話と猫

電話をする時に限って、猫が邪魔をしに来る。
普段ろくに鳴かないくせに、嫌がらせのように電話を始めるとスマホ近くで鳴くのだ。

「大丈夫?猫ちゃん淋しいの?」

優しい君は少し笑いながらそんなことを言う。

「猫もヤキモチ妬くのかな。」

そんな会話を何回繰り返しただろう。

会えない距離がもどかしく、彼女が我先に話し出す頃にいつもこいつが現れる。

母親が拾ってきた、ハチワレの仔猫。
何故か僕に懐

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男と女

男と女

君が掴んでくれたこの手を
振りほどいたのは、僕の方だ。

「大丈夫、頑張ろうよ。ね、一緒にさ。」

そう言って、君が僕の手を握った時。
とてつもなく、惨めな気持ちになったんだ。

大人気ない。男らしくもない。おチョコよりも小さい人の器だと、僕自身が思う。

八つ当たりだった。優しさに甘えた。

「人生、順風満帆なお前には分からないよ。」

そう言った時に、視界の隅で見えてしまった君の目を、僕は一生

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ある女の日常

ある女の日常

天気の良い朝に
窓を開けて深呼吸をする

寒さに振るえ、慌てて窓を締める

憧れの生活には程遠い
振り返りホコリの溜まった本棚に
軽く絶望する

お気に入りのシャツは
生乾きのままぶら下がっている

朝の星座占いは1位
気分がいい

時計を見ると、すでに家を出る30分前である

バタバタと顔を洗い歯を磨く
2番手の洋服を選び
せかせかとワンパターンなメイクをする

メイクに10分ってかけすぎじゃな

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いつもの話

いつもの話

冷たい空気を頬に感じながら
「寒くなったね」
と笑う君と歩く朝
「今日は鍋にしよう」
と小走りに進む君の背中に
「朝から晩飯の話かよ」
と小さくつぶやいて僕は
「キムチ鍋な」
といつもと同じ答えを返した

モーニングコーヒー

モーニングコーヒー

目が覚めて
寂しいなんて思うのは
君がもうここに居ない
それだけが現実だからだ
朝のコーヒーの淹れ方がわからなくて
古いインスタントコーヒーの
苦味だけで目を覚ます
今日からこれが
ぼくの日常だ