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みなさんの宝物

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noteで出会ったステキな作品を✨宝物✨として集めていきます。
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2022年5月の記事一覧

仲直りはショートケーキで

仲直りはショートケーキで

同棲している恋人と喧嘩をしたときは、いつも気まずくなる。同じ空間にいるのに、2人ともどこかぎこちない。一言も会話はなく、無言の時間がどんどん流れる。その日のうちに仲直りができれば、問題ないのだけれど、今日は仲直りができそうな雰囲気ではない。

普段はくだらない話で盛り上がったあとに、ダブルベッドで一緒に眠りにつくのに、今日は彼女がベッド、僕はソファーの上にいる。不穏な空気を残したままのリビング。飲

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特別な存在になれなくても

特別な存在になれなくても

昔は特別な人間になりたいと思っていた。特殊能力を持つとか、そういった類のものではない。やりたいことがうまくいくとか、好きなときに美味しい食べ物を自由に食べる暮らしができるとか、恋愛で失敗しないとか、会社員でうまくやっていくとかとかそういった類の特別である。

社会人になって、自分ならできると息巻いてみせたはじめての仕事はうまくいかなかったし、この仕事ならうまくできそうと思って、新たに挑戦した仕事も

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本音

「ずっと一緒」というお守りのような言葉。言葉なんてただの飾りだった。息を吐いて消える。それぐらいの効果しかなかった。もしかして忘れてしまったの?記憶喪失かな?気持ちがなくなったただそれだけのこと。なんで今も笑えているの?私のことはもういなかったことにできたの?

かき乱される感情。五感をフル動員して、君を感じていた私。1+1=2だったあの頃。2-1=1になってしまった今。何か

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最期を迎えるときに

どうしてこうも病院は、いつも白くてきれいな場所なんだろうか。

日が差すと、病室は一段とやさしく光る。

ベッドに腰掛けながら、きみの寝顔を見ている。

その光がきみにもうつっていた。

光に照らされるきみは、まるで天使のようだった。

生きているのに、もう目を覚まさないんじゃないかと思うほど、静かに、美しく眠っている。

とても透き通って見えた。

このまますこしずつ色を失っていって、しまいには

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「鍵の閉まる音」/都心で暮らす女性の細やかな感情の機微と、その切ない想いを綴った作品。

「鍵の閉まる音」/都心で暮らす女性の細やかな感情の機微と、その切ない想いを綴った作品。

鍵の閉まる音

「ねえ、私たち付き合ってるのかな?」

このアパートで一人暮らしを始めてから
この言葉を何度言っただろう。

だいたいこちらが期待している答えは返ってこない。
こちらが質問したのに質問で返ってくる。

「付き合うって何?」

「そう言うこと気にするタイプ?」

ああ、聞くんじゃなかった。

そして、いつもよりよそよそしくなって
そんなに早く出かける用事もないくせに

「俺先出るわ」

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ネコは9回生まれ変わる?

ネコは9回生まれ変わる?

【イラストに物語つけてみた! 第二弾】の四作目は、イラストをたくさん使った「追いかけて」。作は【ヒツジ合唱隊員】が担当。

脚本をイラストと一緒にお楽しみください。

追いかけて

あなたは、気づいてないだろうけど。
ずっと見てたんだ。
ずっと。ずっと。ずーっとね。

初めて会ったのは
あなたが まだ ほんの子どものころ。

とっても楽しそうに遊んでいたとき。

ドキッとしちゃった。
だって、あな

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