見出し画像

映画『窓辺にて』を観た話。

話は昨年の11月に遡る。

イーロン・マスクに抹殺されてもおかしくないぐらい過疎ってる私のTwitterで、備忘録的に『窓辺にて絶対観に行かなきゃ終映しちゃう』とつぶやいたら、今泉力哉監督ご本人にいいねしていただきまして。

これはもう『絶対行けよ』っていうフリだと思い
仕事帰りに梅田まで行きまして鑑賞してまいりました。

恋愛映画『窓辺にて』。

稲垣吾郎を主演に迎えた、コメディ的なラブストーリー。コメディ?果たしてこれはコメディか?シリアスというわけではないし、かといって世界がひっくりかえるほどの事件が起きるわけでもなく、何だったら自分の身の回り半径300メートル程度で起きていてもおかしくない筋書きだと思う。

ただ一つ「主人公が抱えた悩み」が
あまりにも特異であることを除いては。

主人公の市川茂巳(演:稲垣吾郎)は、元小説家の元フリーライター。妻であり編集者の紗衣(演:中村ゆり)とそれなりに幸せな生活を送っているしかし彼は、その妻に関係する、他人から絶対に理解されない「ある悩み」を抱えていた。

その悩みを一体誰に打ち明ければ良いものか物思いに耽るうち、取材で新進気鋭の現役学生作家・久保留亜(演:玉城ティナ)に出会う。自由奔放な留亜と交流をするうち、茂巳は紗衣との結婚生活を反芻していく・・・


まず思ったのが、稲垣吾郎の使い方がバッチリ。妻が「担当している作家と不倫をしている」ことを知ったにも関わらず怒りが全く湧かなかったというほどの感情バグ人間。吾郎ちゃんのちょっと淡白で熱量の少ない喋り方がすごくこの役にピッタリで、「あーそんなことこの人なら思っちゃいそうだな」という妙な説得力があった。

あと留亜のキャラ。すごく立ってるというか、今の若い子の性格を一部分だけサクッと切り取って魅せるのがすごく上手い。上手に茂巳を振り回しつつ、所々で見え隠れする本音というか「自由さに紛れ込ませた自分の素」みたいな物に心を掴まれる。とにかく、心を許せないキャラなのだ。


でもこの作品をふと反芻した時に
やっぱり笑えないところがあるというか。

自分が好きだと思って買ったものだからこそ、捨てる時には散々悩む。それと一緒で一度手にした幸せは中々手放そうとは思えない。キッパリと自分の所有物をリリースできるのか。それが、自分の伴侶だったとしても。

「やめるもやめないも。続けるも続けないも。最後は自分で決めるしかない」。留亜が書いた小説の一文。一見すると手垢のついた言葉かのように見えるが、この芯を食った一文があるからこそこの映画に強烈な説得力が生まれている気がする。ものすごく素人考えな感想ではあるが。

まあなんだかんだウダウダ語りましたが、どうやってこのレビューを締めようかものすごく迷って1ヶ月以上寝かせていたんです。この記事。でも一つだけ、よーくこの作品を噛んで噛んで味がしなくなるまで噛んで思ったことは、

「気づかないふりができる」ようになったら
もう一歩成熟した大人になった
っていうことなのかなということ。

まあ、「気づかないふり」をするのが
果たしていいことか悪いことかというのは
棚の上に置いておいて、ですけど。


『愛なのに』と『猫は逃げた』をダブル鑑賞して以来、今泉・城定両名の虜にすっかりなってしまった私。ご両人の次回作には大いに期待したい・・・と締めるつもりだったが、城定監督は『夜、鳥たちが啼く(全国ロードショー中)』今泉監督は『ちひろさん(NETFLIXで来年2月公開)』と、立て続けの公開ラッシュだったことを思い出した。

すげぇな今泉監督。
映画へのバイタリティがハンパない。
その熱量私もすごく欲しいです。



おしまい。



こちらの記事もおすすめ。⇩