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水木三甫の心葉♡♧詩集

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心葉♡♧詩集では、心に感じたままを言葉に置き換えて表現した詩を掲載します。 まだまだ表現力不足で、うまく伝えられない未熟な僕ですが、進化していく姿を追いかけていただき、感想などを… もっと読む
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2023年6月の記事一覧

ホタル(詩)

ホタル(詩)

真っ暗闇の中
川のせせらぎだけが聞こえる

緑色の光を点滅させて
ホタルが飛んでいる

暗闇のそこらじゅうで
緑色の光が点滅している

生を継続するために
必死になって光っている

写真を撮るがただの光の点にしか写らない
緑色のまわりを柔らかく包む光が写らない
実際に目で見るしか味わえない幻想の世界

現実に見なければわからない世界がある
現実に見て初めて美しく見える世界がある
僕はこれからも現実

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自尊心(詩)

自尊心(詩)

自尊心の種を蒔き
自尊心の芽が育ち
自尊心の茎が伸び
自尊心の花が咲くはずだった

そこに嵐がやってきて
自尊心を根こそぎ吹き飛ばした

僕の自尊心は今ごろ何処にいるのか
僕の自尊心は何処かに再び根づいたのだろうか
僕の自尊心は芽を育て、茎を伸ばして、花を咲かせているのだろうか

僕は僕の自尊心を探しに出かける
見つけるのにどれくらいかかるのかわからない
でも、そこにしか僕の居場所はないから
僕は

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海辺の天使(詩)

海辺の天使(詩)

太陽の雫を体に受けて
君は砂浜を走る

はちきれんばかりの青春を謳歌し
君は笑顔で走る

まわりの男たちの視線などまったく気にせず
君は海風を浴びる

小麦色の肌を惜しげもなく
君はこの世界にさらす

君には真夏の海が似合う
それとも君自身が真夏なのか、君自身が海なのか

君は僕の座るパラソルの前で立ち止まり
手に持ったソフトクリームを僕の前に差し出す
僕はソフトクリームを一口食べて君に返す

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月の涙(詩)

月の涙(詩)

涙が止まらない夜に
窓を開けて月を探した
月には雲がかかっていて
ほんわりした明かりが夜を照らしていた
月に行きたいと思った
月に行けば新しい自分になれそうな気がした
しばらくして月は雲に隠れてしまった
布団に横になると
涙は止まっていた
悲しみがなくなったわけではないけれど
代わりに月が泣き出したのか
窓の外から雨の音が聞こえてきた

猛暑日(詩)

猛暑日(詩)

何もかもが重なり合う夏の午後
かき氷の溶ける早さにとまどう子どもたち
太陽の輪をそのまま天気図に貼り付けたような高気圧
視界をふやかすような陽炎の風景

さあ、そろそろうちに帰らないと
町が干からびる前に
波打つアスファルトに飲み込まれる前に

さあ、早く夏から逃げないと
ソプラノ色の風に導かれて

妖怪(詩)

妖怪(詩)

ものごころがついたときから
他の人間とは違うと気づいていた
人間の中に交じっていても
いつも私は一人ぼっちだった
家庭でも学校でもいつも爪弾きにされた

私なんかいてもいなくても関係ない存在だった
どうすればみんなとおんなじ人間になれるのかわからなかった

その頃の私の願いはひとつだけだった
早く人間になりたい

初めてのキス(詩)

初めてのキス(詩)

心臓が破裂しそうなほど膨らんで
心が宙に浮き上がった
慌てて手足をバタバタさせたら
体ごと宙に浮いた
空を飛べるのね、と君は感心するが
焦れば焦るほど空高く飛んでしまう
君は僕にうっとりした笑顔を向けているが
確か僕が高所恐怖症なのを知っていたはずだよね

手足を止めてみれば、と君が言ったから
そのとおりにしたら、ゆっくり地面に降りてきた
目の前の君が目を閉じて顔を上げる
僕は君の肩を抱いてキスを

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現実迷路(詩)

現実迷路(詩)

女性週刊誌のような曖昧な現実の中で
君との関係だけが現実だと思っていた
君からの別れ話という現実味のない現実の前に
僕はただ一人非現実という穴の中に逃げる
穴の中の非現実が現実的な僕の存在をフィクションにする
僕は穴の中から這い出して
現実の意味を模索する
君のことを早く忘れることが
現実的な答えなのだろう
現実とは忘れることなんだ
僕は非現実の世界から現実を見つけながら
生きていくしかないのだろ

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あいうえお詩4

あいうえお詩4

<同棲>
ド どうせ愛し合っているのなら
ウ うちに来たほうが
セ 生活費も節約できるから
イ いいんじゃないの

<愛しさ>
イ いつも会っているけど
ト ときどきいろんな表情を浮かべる君
シ 正直、どの表情も素敵だよ
サ さあ、今日はどこに行こうか

<真夏日>
マ まったくこの暑さじゃ
ナ 何もする気にならないから
ツ ツマミでも買ってきて
ビ ビールでも飲もう

<曖昧>
ア あなたが私の

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あいうえお詩3

<お別れ>
オ お前とも今日
ワ 別れることになったから
カ 会話の記録や
レ 連絡先はお互いに削除しよう

<黄昏>
タ たくさんの思い出に涙が止まらない
ソ 卒業の日の夕方
ガ 学校の窓から見える電車の
レ レールも赤く滲んでいた

<友達>
ト とっても好きなのは事実だけど
モ 申し訳ないけど恋愛感情とは違うの
ダ だからもし恋人が欲しいのならば
チ 違う人を探してみてよ

<お見舞い>

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あいうえお詩2<実験的詩>

あいうえお詩2<実験的詩>

<面影>
オ お前が死んでから5年も経ったが
モ 網膜には未だに
カ 飾り気のない
ゲ 元気なお前の顔が焼きついている

<恋文>
コ この気持ちをどう伝えたらいいのか
イ 意外と難しいことだと気づいた
ブ 不器用な僕だけど
ミ 見せられる程度の文章にはしたいと思っているよ

<旅立ち>
タ 楽しみもなく
ビ ビクビクして生きているくらいなら
ダ 誰も知らない場所に行って
チ ちょっとくらい息抜き

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あいうえお詩(実験的詩)

あいうえお詩(実験的詩)

あいうえお作文ならぬ、あいうえお詩を作ってみました。

<あ行編>
ア 愛している人から
イ 言い訳交じりに別れを告げられた
ウ 運命だと思っていたのに
エ 永遠の愛を信じていたのに
オ 大人になりきれてなかったんだね、僕はきっと

<か行編>
カ 改札口で待っていると
キ 君が出てくるのが見えた
ク 靴の音が近づき、遠のいていった
ケ 結局今日も打ち明けられなかった
コ 告白の言葉は何度も練習し

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牡丹の花(詩)

牡丹の花(詩)

牡丹の花がポトリと落ちた
花が重すぎて茎が耐えられなかったのだろう
もっと小さければ枯れるまで生きていられただろうに

牡丹の花は大きく艶やかに咲く
短い生を悔いることもなく
自慢気に咲き誇る

ああ、牡丹の花よ
君の生き方が羨ましい

未練ばかりの人生を背負い込み
いつか枯れ果てる人間の往生際の悪さよ
牡丹の潔さを少しは見習うがいい

人生なんて(詩)

人生なんて(詩)

遠くにある何かを目指して歩いていく

それが何かはわからない

やがてその何かにたどり着いたらゲームオーバー

人生なんてそんなもの