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学校生活の日記と本とかまち歩きの感想を載せると思われます。思われました。 兵庫出身京都…

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学校生活の日記と本とかまち歩きの感想を載せると思われます。思われました。 兵庫出身京都在住。

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記事一覧

『ボレロ 永遠の旋律』の感想

この文章を書く今も、頭の中からボレロが離れない。 ボレロはとても好きな曲で、そもそも小さい頃にNHKの夕方クインテットで聴いたのが初めてだろう。小さい頃にも好きだ…

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4週間前
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酔っ払い

一日が千秋であれば、既に千五百の秋が去っていったことになる。 常々、酔っ払うの”ぱらう”とは何だろうと思っている。何であれこのぱらうというのは酔っ払いの口を楽し…

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1か月前
3

夏、遠雷、小籠包

遠く雷が鳴る季節である。 この、遠くから迫るような音を聞けば、思い出すのはゴジラの冒頭。その後は大抵ひどい土砂降りになるから、ゴジラのモチーフからは案外遠くもな…

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1か月前
3

街の上で 感想

このタイトルで察しがついた人もありましょうか。今回は映画の感想です。 そして察しがついた人は何を今頃と思うでしょうが、しかし何を隠そう再上映されてたので先程観て…

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1か月前
1

新10000円札

新10000円札とは、すぐにお別れしてしまった。 それというのもどこで使えないか分からないので、旅先でもあるから崩してしまわざるを得なかったのです。 新しい顔は渋沢さ…

M Y
2か月前
1

『自分の中に毒を持て』感想

太郎氏が全身全霊をかけたドロップキックを喜色満面で繰り出しているそんな時、私のはせいぜいが右ストレート(それも体重を残して左手を顔の横にした形で)とかだろう。 雑…

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2か月前
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ネタバレ『神に愛されていた』感想

2時間で読んで、30分余韻に浸って、今、これを書いています。 素敵な素敵な小説でした。 光と影という表現があります。 本作の二人の主人公は、ほんの一時だけの重なって…

M Y
2か月前
3

『夢の中』と『アステロイドシティ』を一緒くたにするけったいなレビュー

これは現実か、はたまた幻にすぎないのかみたいな歌詞から始まる歌があった様に思います。『夢の中』はそういう映画でした。 映画はある男女の会話や仕草ややり取りを通じ…

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3か月前
5

カントリーロード

JASRACが怖いので、本稿は引用を避けて、頑張って書いてみる。 ので、読者諸賢も頑張って読んで欲しい。 カントリーロードについてである。 カントリーロードという曲が大…

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4か月前
5

続マクド

以前某所でマクドについて書いた。またこのnoteでもマクドについて書いたことがある。 したがって、タイトルに「続」が付いている。続が着くと駄作になるという向きもある…

M Y
4か月前
6

そばの悪口 -駅そばについてのイントロとして-

駅そばについて書きたい。書きたいが、実のところ蕎麦はそんなに好きじゃない。 という話で書きすぎてしまった。唇寒しである。 私的麺類ランキングの中でもほとんど最下…

M Y
4か月前
4

年末のこと

この年末は碌なもんではありませんでした。返す返すも碌でもない。ほとんど良いことが無かったと言っても過言ではないでしょう。 まあ半分ほどは身から出た錆とは言え、そ…

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5か月前
5

卒業

湿っぽい、何も上手くない文章を書きました。 今じゃないと書けないと思ったので書きました。 関係者以外はぜひ読まないでください。 関係者の方は、読んでも、すぐ忘れて…

M Y
6か月前
1

おみくじ惨敗

普段占いなどは信じないという態度でいるが、引いたら引いたでその結果を引きずるたちなのである。 だから私は自分からおみくじを引かない。 ある夏の日、数人で伏見稲荷…

M Y
8か月前
6

森見登美彦『夜行』感想

『夜行』、夜を行く。YOASOBIは駆けていたが、森見氏はどうももう少しゆっくりと夜を楽しむらしい。『夜は短し歩けよ乙女』というタイトルも同氏のものである。 ところで以…

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9か月前
6

ハノイ・タクシー

初めてのベトナムに、降り立ったばかりの私を熱烈に出迎えてくれたのはタクシーの客引きであった。 偏西風に逆らう長時間飛行を終えたばかりである。であるのに、ターミナ…

M Y
1年前
2
『ボレロ 永遠の旋律』の感想

『ボレロ 永遠の旋律』の感想

この文章を書く今も、頭の中からボレロが離れない。

ボレロはとても好きな曲で、そもそも小さい頃にNHKの夕方クインテットで聴いたのが初めてだろう。小さい頃にも好きだった記憶が朧にある。
ボレロの素晴らしさは、やはりあの繰り返しのメロディと一貫したクレシェンドである。そしてまた、それらが全てエンディングを引き立たせるものとなっていることであろう。
常々、私はホイジンがの『ホモ・ルーデンス』を褒める時

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酔っ払い

一日が千秋であれば、既に千五百の秋が去っていったことになる。
常々、酔っ払うの”ぱらう”とは何だろうと思っている。何であれこのぱらうというのは酔っ払いの口を楽しませる。よっ、と来て、ぱらってる、と行く時には、なにやら舌が弾むようである。
この頃は秋の来るのも十や百で、すっかり安心しきっていたものを。
ロキソニンやらアセトアミノフェンが優しい。バファリンは財布に優しくない。胃か大腸か知らないが、優し

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夏、遠雷、小籠包

遠く雷が鳴る季節である。
この、遠くから迫るような音を聞けば、思い出すのはゴジラの冒頭。その後は大抵ひどい土砂降りになるから、ゴジラのモチーフからは案外遠くもなかったりするかも知れない。そんなとき、ちょっと気分が上がるのは、ゴジラが好きなのと、遠雷にまつわる素敵な歌々と、それから躁的防衛というやつらしい。躁的防衛というのを習ったのは母校の国語の先生の授業である。基本的に面白くなかった授業の中で記憶

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街の上で 感想

街の上で 感想

このタイトルで察しがついた人もありましょうか。今回は映画の感想です。
そして察しがついた人は何を今頃と思うでしょうが、しかし何を隠そう再上映されてたので先程観てきた次第です。

そもそもこの映画を知ったのは一年半前に下北沢のカフェでした。チラシが置いてあったのです。A4裏表のやつでした。見ればしかも主題歌がラッキーオールドサン。ある種の悲劇です。もう既にこの映画は上映期間を終えていたのにも関わらず

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新10000円札

新10000円札とは、すぐにお別れしてしまった。
それというのもどこで使えないか分からないので、旅先でもあるから崩してしまわざるを得なかったのです。
新しい顔は渋沢さんで、私は彼がそこそこ好きです。ついては叶うことならずっと一緒にいたかったんですが。瀬を早みとは言わずとも、どうにも運命というのはままなりません。
ところでこれを崩したのは天下のセブンイレブンです。自動精算機で使えるか逡巡していると店

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『自分の中に毒を持て』感想

『自分の中に毒を持て』感想

太郎氏が全身全霊をかけたドロップキックを喜色満面で繰り出しているそんな時、私のはせいぜいが右ストレート(それも体重を残して左手を顔の横にした形で)とかだろう。

雑なまとめ方をお許しいただきたいが、本書は「自分として純粋に生きること」、「無条件に生命をつき出し爆発する」ことのススメである。
彼の本、『自分の中に毒を持て』を読み始めた時、その姿がチャールズ・ストリングランドと重なった。モームの『月と

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ネタバレ『神に愛されていた』感想

ネタバレ『神に愛されていた』感想

2時間で読んで、30分余韻に浸って、今、これを書いています。
素敵な素敵な小説でした。

光と影という表現があります。
本作の二人の主人公は、ほんの一時だけの重なって、正にその光陰を繰り返します。
光が当たる天音の影に落とされた冴理。天音は初めて読んだ小説、冴理の小説を聖書として、冴理は天音の小説に受難し、十字架を背負いながらすれ違いや回り道を繰り返して坂を登り、最後には互いに感情を束ねたブーケを

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『夢の中』と『アステロイドシティ』を一緒くたにするけったいなレビュー

『夢の中』と『アステロイドシティ』を一緒くたにするけったいなレビュー

これは現実か、はたまた幻にすぎないのかみたいな歌詞から始まる歌があった様に思います。『夢の中』はそういう映画でした。

映画はある男女の会話や仕草ややり取りを通じて展開します。終始不思議な、正に夢現な雰囲気の中で、ストーリーらしきものが何となく見出され、ラストシーンでは像を結ぶようにはっきりと物語が前に進みます。
本作はコミュニケーションをテーマにしたそうですが、主役二人が話す会話の食い違いは夢の

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カントリーロード

JASRACが怖いので、本稿は引用を避けて、頑張って書いてみる。
ので、読者諸賢も頑張って読んで欲しい。
カントリーロードについてである。

カントリーロードという曲が大好きである。
もちろん『耳をすませば』で知ったクチである。これもまた名作で、それも相俟ってこの曲が益々意味を増して輝きを増している。
拙稿『続マクド』で書いたが、耳をすませばで描かれる風景は私の地元によく似ている。郊外住宅地という

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続マクド

続マクド

以前某所でマクドについて書いた。またこのnoteでもマクドについて書いたことがある。
したがって、タイトルに「続」が付いている。続が着くと駄作になるという向きもあるかも知れないが。

私を知る人は既にご存じかも知れないが、私はマクドが好きだ。まずはこれを表明しておく。
今回マクドについてまた書くのは、マクドのあるCMを見たからだ。
「マックは、ホームシックにすこし効く。」
という言葉を添えて、慣れ

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そばの悪口 -駅そばについてのイントロとして-

駅そばについて書きたい。書きたいが、実のところ蕎麦はそんなに好きじゃない。
という話で書きすぎてしまった。唇寒しである。

私的麺類ランキングの中でもほとんど最下位を占めるのが蕎麦である。別に嫌いというわけでもなくて、ただ他の麺類に及ばないだけで万年下位の不遇な麺である。
例えばラーメンは、味が濃くて種類もあって美味い。出汁に脂はもうほとんど鬼に金棒に近い。二日酔いの時など絶好である。
そしてうど

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年末のこと

年末のこと

この年末は碌なもんではありませんでした。返す返すも碌でもない。ほとんど良いことが無かったと言っても過言ではないでしょう。
まあ半分ほどは身から出た錆とは言え、それにしても碌でもない。
碌でもない碌でもないとは失恋のこと。失恋のこととは思いが叶わなかったこと。世も末ながら、愛故に人は苦しまねばならんのでしょうか。私の年末は悔いばかり、恥ばかり。恥の多い人生とは言いながら、彼はモテモテだったじゃあない

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卒業

湿っぽい、何も上手くない文章を書きました。
今じゃないと書けないと思ったので書きました。
関係者以外はぜひ読まないでください。
関係者の方は、読んでも、すぐ忘れてください。

なぜ、政策学研究科に入ったのかと聞かれれば、専門性を深めるためと答えます。
政策学研究科に入って何が良かったのかと聞かれれば、この素晴らしい先輩方と会えたことだと答えます。

大学院に入ってからと言うもの、尊敬できない先輩は

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おみくじ惨敗

普段占いなどは信じないという態度でいるが、引いたら引いたでその結果を引きずるたちなのである。
だから私は自分からおみくじを引かない。

ある夏の日、数人で伏見稲荷大社にお参りした日のこと。そう、引いてしまったのである。おみくじを。致し方ないことであった。一定の社交性を持つ人であれば、皆で一緒におみくじを引こうという時に自分だけ引かないということなどできはしないのだから。
さて、ところで引いたおみく

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森見登美彦『夜行』感想

『夜行』、夜を行く。YOASOBIは駆けていたが、森見氏はどうももう少しゆっくりと夜を楽しむらしい。『夜は短し歩けよ乙女』というタイトルも同氏のものである。
ところで以下はネタバレを含むから、読む人は気をつけて欲しい。

物語はある画家の「夜行」という連作を中心に展開する。「夜行」は「永遠に続く夜」をテーマとする連作であり、それぞれ「尾道」であったり「奥飛騨」であったりの場所と、一人の女性がモチー

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ハノイ・タクシー

ハノイ・タクシー

初めてのベトナムに、降り立ったばかりの私を熱烈に出迎えてくれたのはタクシーの客引きであった。
偏西風に逆らう長時間飛行を終えたばかりである。であるのに、ターミナル間の移動が必要だった。到着口から客引きの群れが見えたが、無視してシャトルバスの乗り場へ向かう。
三宮でも難波でも、客引きにコストをかけるようなのはロクでもない。定めしハノイでもさもあらん。これはもはや世界の一般法則と言っても過言ではないだ

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